捨てられ記者の正体は、最強グループ令嬢一ノ瀬颯太(いちのせ そうた)と、最も深く愛し合っていると信じていた。
私は都内でそこそこ名の知れた経済記者で、彼は投資界の寵児だった。
しかし、私との単独取材の当日、彼はまたしてもすっぽかした。
私のことが気に入らない上司の町田が、小馬鹿にしたように嘲笑った。
「八年も寝てりゃ、一度くらい取材に応じてくれてもよさそうなのにね?もう飽きられちゃったんじゃないのか?
そりゃそうよ!自分から飛び込んで、ただで抱かせる女なんて、軽く見られるに決まってるだろ!」
相手にするのも馬鹿らしく、私は颯太に電話をかけようと外へ出た。
すると、目の前に彼の愛車、ロールス・ロイス・カリナンが停まっているのが見えた。
歓喜が込み上げ、声をかけようとしたその時。
ドアが開き、颯太がエスコートするようにある女性を降ろした。二人の距離は、あまりにも親密だった。
横にいた町田が、意地悪く囁いた。「おい、お前の男が宿敵とイチャついてるぞ?浅川さん、寝取られたな」
私は唇を噛みしめ、カリナンから目を逸らさずにスマホを耳に当てた。「……ええ、回収の手配をお願い。粗大ゴミを出すから」