この作品のキャラクター造形で面白いのは、誰もが「善悪」で分類できない多面性を持っていることだ。例えば、主人公の師匠役は厳格な指導者に見えるが、実は自分が教える立場に戸惑いを感じている。その葛藤が、時に不器用な態度として表れるのがリアル。
サブキャラクターの一人である情報屋の青年は、軽薄そうな外見とは裏腹に、驚くほど鋭い人間観察眼を持っている。彼の台詞回しには、本音と建前を使い分ける社会人としての
したたかさが感じられる。特に他のキャラクターの弱みを突く場面では、その言葉の裏にある真意を読み取るのが楽しみのひとつ。
女性キャラクターたちも型にはまらない描写が光る。強気な女性剣士が実は極度の方向音痴だったり、冷静沈着な作戦
参謀が甘いものに目がないなど、意外性のある癖が自然に溶け込んでいる。