子どもの頃に本棚で出会った一冊が今でも忘れられない。
その本は海外向けにまとめられた日本の民話集で、邦題の『おむすびころりん』は英語で 'The Rolling Rice Ball' や 'The Runaway Rice Ball' として紹介されていた。話そのものは日本語版とほぼ同じで、やさしい語り口とコミカルな展開が強調されており、挿絵もどこか親しみやすい洋風のタッチにされているものが多かった。海外の児童書翻訳者は、語感を大切にして「ころりん」の擬音を残すか簡潔に訳すかで工夫していて、その違いを見るのも楽しかった。
具体的な収録例としてよく引用されるのは、児童向けの日本民話アンソロジーで、英訳タイトルで目にする機会があるという点だ。版元や編者によって絵や訳し方がかなり変わるので、同じ話でも別の本として新鮮に楽しめるのが魅力だった。