로그인ある日あたしは人形になった。 記憶は無いけれど間違いなく人間だった自覚がある少女人形の〈どーる〉は、偶々出遭ったコミュ障大学生・間嶋久作と共に自分の正体を突き止めようとする。しかしその最中、久作の気になる同級生・結月沙苗が校舎の屋上から転落し……それを皮切りに起こるのは殺人未遂や特殊詐欺、そして殺人といった物騒な事件ばかり…何故か人形を巡るファンタジーにはちっともならないミステリな非日常である。 それでも仲間になってくれた久作の怪しい先輩・希津水破一郎、天才演劇少女・楠本真名の助けも借りながら、どーると久作は事件と自分の謎に挑んでいく。 どーるの人形ならではの視点と破一郎の破天荒推理が奇跡的に噛み合って、謎が何となく解けたり解けなかったりしているうちに、やがて全ての事件を繋げる悪意も浮き彫りになってきて……
더 보기Disclaimer: This book deals with mature content, eg: drug addiction, rape scenes. While the author has taken great lengths to ensure the subject matter is dealt with compassionately and respectfully it may be troubling for some readers. Discretion is advised.
Ivanna
It’s the 10th day of my marriage. And the 10th time he showed his so-called rights on me. He says he loves me, he can do anything for me. In return, he wants me every day, or I can say every night. Is it love? Is this how a man defines his love?
He never asked me what I wanted, he never tried to find the pain behind my moans. He never realised how much hurt I was, he never noticed my tears which were not of pleasure.
He thought I was enjoying his acts but I didn’t. I bleed every night, he didn’t care. I cried in pain, he didn’t care. I hissed when he treated me roughly, he didn’t ask me how I am feeling.
Is this the definition of his love?
I struggle to get up from the bed. It is hurting like a hell, I cry out louder. But the man who claims to love me has already left after fulfilling his desires. Will I be able to spend my whole life with this monster? Should I give up on my pain? I’m not born to be owned by anyone. However, no matter how much I try to escape from him, will I be able to save myself or destiny will play its game against me?
夜空に浮かんだ満月が白く輝く。 私は丘の上の道路で愛車のレブル250を停め、その月を見上げた。 五月の満月は北半球では〈フラワームーン〉と呼ばれているそうだ。花咲く季節の月──実際少し前まで寒さ凌ぎにちょうど良かったレザーのライダースーツも、今は下だけ履いて上は黒いハイネックニットで済ませている。ヘルメットもフルフェイスではなく半キャップ型の黒いダックテールだ。 ふと風が吹いて、背中に伸びた髪を揺らす。 (気持ちいい……) お母様は私がバイクに乗る事にずっと反対していた。私は決してスピード狂ではなくのんびりと風に吹かれたいだけ、お嬢様育ちのささやかな背伸びなのだと散々説明したのだが…… ─貴女は子供の頃からおっちょこちょいですからねえ。ホラ、オモチャもすぐ壊しちゃって…。 そう言ってクスクス笑うお母様にとって、私はいつまでも積み木やぬいぐるみで遊ぶ小さな女の子のままなのだろう。しかし今乗っているレブル250は車体が黒で統一されていて、そのシンプルでヴィンテージライクなデザインが気に入っている。決して可愛らしいオモチャではない。お母様はそこにも口を出してきたが…… ─妃鞠さんにはもっとお洒落なデザインが似合うのではなくて…? (いいえ、お母様…) 私はちょっとだけ笑って、アクセルを捻りクラッチレバーを離した。目の前に十字路があったが、まだスピードが上がっていないのでそのまま右折する。時刻は午後十時を過ぎて辺りに車の気配も無く、私は油断していた。 曲がった先に、人が立っていた。 (あっ……) 一瞬確認できたのは、相手が私と同年代の若い女性である事…その胸に両手で抱きかかえている白いドレスの人形……私は避けようとしてハンドルを切るが、バランスを崩す。ぶつかったかどうかもよく分からなかったが、人形の女性は道路に倒れ、レブル250も横滑りして、私はシートから放り出された。ダックテールが吹き飛んで、私は直接アスファルトに頭を打ち付けながら転がり、仰向けに止まった。 ─…確かにおっちょこちょいなのかな…… 最後に見たのは、真っ白なフラワームーン── 麗青学苑大学敷地内の奥にある通称〈文連ハウス〉には、文化部の部室が集まっている。僕─間嶋久作がキャンパスを駆け抜けてその入口前に辿り着いた時、慣れない全
わたしは捨てられた。 ずっと暮らしてきたお家から放り出された。 ユルサナイ…ユルサナイ…… 『もしもし、わたし。 今ゴミ捨て場にいるの』 「は?誰なの…?」 『もしもし、わたし。 今近くの駅にいるの』 「何言ってるの?こっち来ないでよっ…」 『もしもし、わたし。 今角のコンビニにいるの』 「やめて!来ないで!」 『もしもし、わたし。 今あなたのお家の前にいるの』 「入ってくるなっ、入ってきたら承知しないよ!警察呼ぶよっ! ……ハッ、何よやっぱりイタズラ…脅かしてっ…!」 『もしもし、わたし。 今、あなたの後ろにいるの』 「被害者の名前は蕗村珠子・七十二歳。ご主人と息子さんを亡くし、その遺産と遺族年金で麗青の丘の上に独り暮らしをしている。君達に協力してもらった似顔絵のお陰で彼女の身元と住居が判明したんだが…一昨日─木曜日の夜、その家の玄関で亡くなっているのを訪ねていった捜査員が発見したんだ。 死因は─刺殺だ」 思わずゾクリと背筋に嫌な震えが走る。僕─間嶋久作は、刑事から殺人事件のあらましを聞かされるという生まれて初めての状況に、心拍数が上がり続けていた。 ここは僕が通っている麗青学苑大学の近く、世田谷北警察署の応接室である。台風一号の影響で数日来続いていた悪天候も回復し、晴れ間が戻ってきた土曜日─爽やかな陽気に合わせて黄緑の半袖のポロシャツと薄手の白いズボンという軽装で来たのだが、それでも緊張と昂奮で膝の上の掌は汗でベタベタだった。 「その…蕗村さんというお婆さんが、詐欺の犯人なのは間違いないんですよね?」 僕は今話してくれていた刑事課の沼警部補に尋ねた。向かいのソファーに座る痩身に黒スーツの彼は三白眼をギョロリと巡らせ、左隣の槌田巡査部長を見る。狐の様な細い目に丸眼鏡を掛けたグレーのスーツの生活安全課の刑事も、険しい顔で頷いた。 「昨夜連絡した通り、蕗村珠子のPCから麗青の女子大生の写真データが何十人分も見付かったからね。勿論、君の写真も……」 槌田巡査部長はそう言って僕の右隣に座る楠本真名を見る。ビクッと背筋を伸ばす真名もポニーテールに七分袖の白いカットソー、デニムのサロペットパンツという涼しげな格好だが、やはり嫌な汗をかいているのでは
『その時、冷えかけた薄暗い光で、その造られたものの鈍い黄色の眼が開くのが見えた。それは荒々しく呼吸し、手足をひきつるように動かした。 この大激変に接した時の私の感動をどうして書き記すことができよう……』─アハハハハ…また一人馬鹿が出来た! ザマアミロ……「うーん………」 どんよりと曇った空の下、僕─間嶋久作は、その立派な庁舎を見上げて立ち竦んでいた。 世田谷区にある世田谷北警察署である。 丘の上の閑静な高級住宅地の真ん中にあるこの警察署は、ちょっとしたポストモダン建築と言うのか、洒落たラインの建物である。壁の色も赤褐色の煉瓦色で、官庁と言うより美術館とか文化会館の様な佇まいだ。緑も多いセレブな街の景観を壊さない為の配慮なのかもしれないが…入りづらい。 入口の自動ドアの前には、立って辺りを監視している制服の警察官が一人いる。その警官は別にこちらを注視してはいないのだが、僕はどうも不審者としてマークされている気がしてならなかった。生来ネガティブ思考で被害妄想気味なので気のせいなのは分かっているが…入りづらい。 実際には僕はこの近くの麗青学苑大学の一年生─ただの大学生であり、何も疚しいところは無い。しかしボサボサ頭のヒョロヒョロした眼鏡男子で、安物のグレーの長袖シャツにヨレヨレの黒いチノパン姿は、セレブな御子息・御息女が通う名門の学生にしては我ながらみすぼらしいと言わざるを得ない。もし警官に『貴様偽学生だな!』と問い詰められたら、『僕がやりました!』と観念する自信がある。 かくして建物にも人にも気圧されて、僕は警察署前の歩道で固まっていたのだ。(他に出入りする人がいればどさくさ紛れに入っちゃうんだけどな……) 僕は辺りを見回すが、正午前のこの時間、付近はエアポケットに入ったかの様に人通りが途切れている。もうここで何分こうしているか…。 その時、立番の警官がこちらをチラッと見た。(うっ!)慌てて僕は近くにあった掲示板を眺めているふりをする。 男女の警察官が止まれとばかりにこちらに掌を突き出した写真に、『ストップ、詐欺!』と大きくデザインされたB4サイズのポスターが貼ってある。警官役のモデルの厳しい表情に加え、背景に激しい稲妻がビカビカと走る気合いの入ったデザインだ。そしてその横の文字だけのもう一枚のポスターに、近
─そんなに邪魔だったの…? 彼女は身動ぎもせずに立ち竦んでいる。大きく目を見開いて、驚愕とも恐怖ともつかない表情で固まるその姿は、まるで討ち取られた怪物の首を見てしまった乙女の様だ。 いや、彼女が見つめる先─煌々と照らされた光の輪の中に倒れていたのは、確かに怪物だった。 ─そんなに殺したかったの…? こんな手を使ってまで…私を…… ガタン。 走り出した電車が揺れて、よろけた誰かに後ろから押された。 「むぎゅう、苦しっ…」 「わっ、う、ううっ…」 右肩に背負った黒いリュックから小さな声がして、僕は慌てて呻き声を被せる。 周りの乗客の何人かが反応して、特に右隣で吊り革に掴まっていた中年女性が怪訝そうな目を向けてきた。当然だろう、『苦しい』と言ったのは高い少女の声─ボサボサ頭の眼鏡男子が出したとは普通思わない。それでも更に「ゲホゴホ」と噎せて喉の調子がおかしいアピールをしながら、僕はリュックを胸の前に引き寄せた。中年女性は体格が良く、茶色いソバージュヘアもオレンジ色のワンピースも何だか迫力がある。その明らかに僕より体重も力もありそうな、近所のママ友のボスといった感じの彼女の視線を避けて、左の窓側に体を捻る。 車窓の外に広がっているのは緑も多く落ち着いた街並で、沿線でも住み易い住宅地として人気の代々木上原である。 五月晴れの空の下、キラキラと風が光って流れていく── 僕─間嶋久作は小田急線の通勤準急下り線に乗って、大学のある〈麗青学苑前〉駅に向かっていた。 金曜日の午前十時─朝のラッシュアワーは過ぎていたが、新宿始発の電車に発車時刻ギリギリで飛び乗った為座席は埋まっていて、僕は入口ドアの脇に立っている。当初は吊り革に掴まる乗客がチラホラいる程度だったのだが、準急で最初の停車駅となる〈代々木上原〉で一気に乗客が増えて車内の人口密度が上がり、リュックが潰される羽目になったのだ。この駅は東京メトロ千代田線と相互乗り入れしているので、乗り換え客が多く乗ってくるのである。 と言っても勿論、リュックが苦しがった訳ではない。 声を上げたのはリュックの中にいる人形─どーるだ。 常識外れにも程があるが、彼女はまるで人間の様に見て聞いて喋って