学術書を漁っていると、くの一は単独のヒーロー像には収まらない幅広い任務を持っていたと確信するようになった。俺は文献に目を通すたび、彼女たちが果たしたのは諜報、攪乱、
護衛、そして時には交渉の仲介まで含む『補助的かつ決定的』な役割だと理解するに至った。
例えば敵対勢力の内部に入り込み、相手の信頼を得て内部情報を引き出す工作は高度な演技力と人間観察力を要求した。また、複数の拠点を使って安全に情報を伝達するネットワーク運用、偽の手紙や小物を使った誤導工作など、戦略的な思考を伴う任務も多かった。
江戸時代の犯罪・治安を描いた'鬼平犯科帳'に描かれるような諜報と摘発の構図を参照すると、くの一は隠密側の最前線で知恵と柔軟性を発揮していたことが浮かび上がる。俺はそうした現場感覚の細やかさにいつも感心する。