メロディ的なフックは少なめだが、その代わりに繰り返されるモチーフやリズムの変化で記憶に残る。合唱とパーカッションの対比が感情の起伏を作り出し、劇中の暴走や静けさを直接的に伝える効果が強い。聴き終えた後も耳に残るのは、音の“重さ”と“隙間”の使い方であり、それが作品全体の冷たさや血沸き肉躍る瞬間を際立たせていると感じる。参考に挙げるとしたら、映画音楽のクラシックである'2001: A Space Odyssey'が音と映像の不可分性を示しているが、'Akira'はもっと直接的で原始的な衝撃を与えてくる。
楽曲構造は伝統的な引きのあるテーマよりも、テクスチャとダイナミクスで場面を支配するタイプだ。個人的には、こうしたミックスと音響処理の巧みさが、視覚と同じくらい物語に寄与していると思う。比較として取り上げるなら、アニメ音楽では'Ghost in the Shell'の静謐で洗練されたサウンドとはまったく別ベクトルのアプローチだと感じる。