台詞の語尾が煌めくとき、画面の空気が確かに変わる。
美辞麗句を使った台詞は、単純な感情表現よりもずっと深い層へ触れてくると感じている。
画面上で言葉が詩的になれば、キャラクターの内面や世界観が一瞬で拡張される。例えば『新世紀エヴァンゲリオン』のように、一見抽象的な表現が不安や孤独の輪郭を際立たせ、視聴者は言葉の隙間からその人物の傷や願いを読み取る。同時に演技や音楽、カット割りと組み合わさることで台詞は単なる情報伝達を超え、象徴やモチーフへと昇華していく。
個人的には、訳し方や字幕表示のされ方でも受け取り方が変わることに興奮する。美辞麗句は誤訳されると空気を失うけれど、適切に扱えば一生記憶に残る一言になる。だから台詞一行の選び方には、作り手の覚悟が見えると思っている。