現場で何度も討議に参加してきた経験を元に説明すると、
アーマービキニのデザイン基準は見た目の印象以上に「動き」と「物語」を支える設計図だと考えている。まず制作側の共通言語になるのはシルエットの判別性。小さなサムネや遠景でも誰の装備か判るように、露出の面積だけでなく、ラインやパーツの配置でキャラクター性を担保する。防具としての機能美をどう見せるか、戦闘時の可動域をどう確保するか、照明に当たった時のハイライトの拾われ方まで、絵コンテや色指定に落とし込んでいくのが私の関わり方だった。
次に実務的なチェック項目を整理すると、カバレッジ(どの部位を保護するか)、ジョイント周りの隙間設計、布や金属の質感を示す色見本、動作テスト用のポーズ集、さらに可動で崩れない構造(アーマー同士の干渉回避)などが必須だ。アニメは2Dとはいえ画面内で重力感や素材感を出す必要があり、ライティングや影の落ち方を想定したトーンカーブ指定も添える。ときには放送局や年齢指定の基準に合わせて露出を抑えた代替デザインを用意し、海外配信や玩具化を視野に入れた設計変更のガイドラインも作成した。
最後に倫理とマーケティングの観点も無視できない。物語上の正当性を持たせること、性差表現に配慮すること、そして商品展開時にコスプレやフィギュアとして成立する構造に整えることが同時に求められる。例えば『
fate/stay night』のように戦闘描写とキャラクター性を両立させる作品を参考にすると、装飾と機能のバランスがどれだけ重要かが分かる。見た目のインパクトは大事だが、長期的に作品を支える基準は耐久性(演出的にも社会的にも)と整合性だと私は考えていて、その線引きにいつも気を配っている。