編集の技術について興味を持ち続けてきた。編集は単なるつなぎではなく、
含蓄を生む最終の調律師だと思っている。『進撃の巨人』の緊迫した戦闘や告白の場面では、カットの長さを意図的に伸縮させ、観客の呼吸を編集でコントロールしている。具体的には、短い断片を連続させることで
錯乱や恐怖を表し、長いワンカットで悲しみや覚悟をじっくり見せる。
音響の扱いも編集と密接に関わる。効果音をあえて前後にずらしたり、主題歌のフレーズを間に挟むことで、言葉以上の意味が立ち上がることがある。この手法はしばしばサブテキストを生むため、台詞の“裏側”を聞かせるような効果を生む。場面に入る前の静かな導入、あるいはカット後の余韻を残す“切り方”が、しばしば視聴者の記憶に焼きつく。
さらに、象徴的なカットを繰り返すリフレイン手法も効果的だ。たとえば特定のアイテムや光の入り方を断片的に挿入し、後でそれが
結実するように見せることで、連続性と含蓄が強化される。編集は目立たないが、名場面の成立には欠かせない最後の魔術師だと私は考えている。