演出の余白を残すことで、だらしなさが自然に伝わる場面がある。絵を詰め込みすぎず、あえて動きを抑えたり、視線を逸らす瞬間を作ることで、だらしなさや無関心が際立つ性質に惹かれている。
カット割りの工夫も鍵になる。長回し気味にしてキャラクターの無為な時間を見せる、あるいは逆に細かいカットで断片をつなぎ合わせて生活の乱れを示す。色彩でも同じで、彩度を落としたり補色を無視した配色にするだけで部屋や服のだらしなさを暗示できる。自分が印象に残っているのは『
四畳半神話大系』の、画面に余白を残す演出でキャラクターの無気力が強調される手法だ。
さらに、編集で敢えてタイミングをずらすと効果的だ。笑いのツボや息継ぎのタイミングをほんの少し遅らせることで、だらしなさは生々しくなる。声のテンポ、間のとり方、カットの長さ、色の選択──これらを組み合わせて“だらしなさ”を多層的に作り込む過程が好きだ。