企画の核としてまず考えるのは、
体たらくというテーマが持つ二面性だ。だらしなさや失敗をただ笑い飛ばすのか、それともそこにある痛みや社会的背景を掘るのかで、作品の色合いが大きく変わる。僕はいつもまず登場人物の『取扱説明書』を作る感覚で、彼らがどのようにだらしなくなったのか、どんな価値観や習慣がそれを生んだのかを細かく描写することから始める。
次にフォーマットの選択だ。短編連作、長編小説、マンガ形式、あるいはエッセイ風のノンフィクションまで、表現手段で同じテーマでも受け取り方が変わる。例えば『おそ松さん』のようなコメディ寄りのアプローチを取れば軽やかに読ませられるし、シリアス寄りなら読者の共感や反発を誘う。
最後に販売戦略。読者層を想定して、SNSでの切り取り方や書店での棚立て、特典の付け方を決める。僕はいつも、テーマが尖りすぎないように注意しつつ、作品が持つユーモアと痛みのバランスを意識して仕上げる。これが僕なりの企画の流儀だ。