意外な告白はいつだって物語の軸を揺らすもので、アルガードの正体の暴露もそうした瞬間の典型だと考えている。冷静に分析すると、彼は
古代の呪いを背負った存在、あるいは世界の均衡を守るために堕ちた守護者という二つの読み方ができる。どちらにせよ、その正体が明かされることで物語の倫理観が問い直される。
構成面で面白いのは、彼の正体が示す「再解釈」の連鎖だ。過去の事件が別の角度から説明され、かつての英雄譚が黒く塗り替えられる。これにより読者は登場人物の行動原理を再評価せざるを得なくなり、物語のテーマも個人的復讐から普遍的な贖罪や償いへとシフトしていく。
比較になるが、『ロード・オブ・ザ・リング』では運命や血統が物語に重みを与えた。同様にアルガードの正体は、単なるプロット装置ではなく世界観と登場人物たちの倫理を根本から揺さぶる存在で、最終盤に向けての緊張感と感情の深さを生み出すと感じる。