小説版の『エルマのぼうけん』を読んだ後でアニメを見ると、ストーリーのテンポの違いが際立つ。文章で描かれる
情景はゆっくりと脳裏に広がっていくのに対し、アニメはリズミカルに展開が進む。例えばエルマが森を抜けるシーンなど、小説では自然の描写に数ページ割いているところを、アニメでは短いシーンで済ませている。
音楽の存在も大きい。アニメではBGMや効果音が感情を引き立てるが、小説では静寂さえも表現の一部になる。どちらが優れているというより、同じ物語を異なるアート形式で味わえるのが面白い。特にファンタジー作品の場合、媒体ごとに全く異なる体験ができるのは貴重だ。