結末を迎えた瞬間に胸の中がすっと冷めてしまった経験を繰り返すうち、どこで読者の
呆れが生まれるのか自分なりに整理してみた。特に壮大で長く続いた物語ほど、その落差が大きく響く。例えば一部の人が強い反発を示した'ゲーム・オブ・スローンズ'の最終章は、期待していた因果の回収やキャラクターの蓄積を台無しにしたように感じられた部分が多かった。僕はその時、作者と作品の約束事が最後で裏切られると知り合いのような親密さまで壊れてしまうと実感した。
呆れの元は大きく分けて三つあるように思う。一つ目は「期待と現実の乖離」。読者は物語の種を拾い、理にかなった収束を期待するが、そこが飛ばされたり矛盾したりすると失望が怒りになる。二つ目は「キャラクターの破綻」。これまで積み上げられた人格や動機がラストで無視されると、物語全体の信頼が揺らぐ。三つ目は「説明不足やご都合主義」。唐突な解決や忘れられた伏線があると、読後感は一気に薄くなる。
自分は今でも、そのとき感じた空虚さを忘れられない。だが同時に、その経験があるからこそ良い結末を見抜ける目が養われたとも思う。期待に見合う終わり方を味わえると、やはり感動は倍増するのだと締めくくっておきたい。