身重の私を捨てて、後悔しても遅い私の名前は篠原優(しのはら ゆう)。
妊娠七ヶ月、夫の長谷川翔(はせがわ かける)は私を「汚い」と嫌った。
「俺に触るな!」
玄関先で、彼は嫌悪感を露わにして私を突き飛ばした。
「油臭えんだよ、吐き気がする」
その声を聞きつけて部屋から出てきた義母は、煮込んだばかりの特製スープを翔に差し出した。
「優、翔が潔癖症だって知っているのに。
妊娠してるからって、自分の身なりくらい清潔にできないの?
翔は仕事で疲れてるんだから、少しは気を遣いなさいよ」
私はその母子を見て、胃の中が引っくり返るような吐き気を催した。
背を向けた瞬間、スマホの画面が光り、一枚の写真が目に飛び込んできた。
翔の新しいアシスタント、小林莉奈(こばやし りな)だ。
写真の中の女は、親しげに翔の肩に寄りかかり、満面の笑みを浮かべている。