漢字の組み合わせひとつでガラッと印象が変わるのが面白いよね。音だけで言えば「
ヒエン」は単純に「hi」+「en」の音が合わさったもので、漢字を当てると意味が幾通りにも分かれるのが特徴だ。例えば『飛燕』と書けば直訳すると「飛ぶツバメ」。中国語の古典や和歌でも燕(つばめ)は軽やかさや俊敏さの象徴として好んで使われるし、字面からは優雅で機敏なイメージを受ける。読みは漢字の音読み(音訓のうち中国音に近い読み)を組み合わせた結果で、昔から人名や筆名、雅号に用いられてきた。
別の当て字として『緋炎』があると、意味は一変して「
緋色の炎」。この場合は情熱や激しさ、視覚的な派手さを狙った表現になる。こうした例から分かるように、どの漢字を当てるかで意味・語感が大きく違うため、読みだけを聞いて安易に意味を決めつけない方がいい。僕が文字遊びで名前を考える時は、音の響きと字の意味の両方を重ね合わせて、意図したイメージが的確に伝わるかどうかを確かめることにしている。