スコセッシの作品を年代順に追うなら、まずは1967年の『Who's That Knocking at My Door』から始めるのが理想的だ。彼の初期のリアリズムと宗教的テーマの萌芽が見える。
1970年代に入ると『ミーン・ストリート』や『タクシードライバー』でニューヨークの暗部を描き、80年代の『レイジング・ブル』ではノンフィクション的な手法が完成する。年代ごとの技術的進化とテーマの深化を感じられるのが魅力だ。最後に『アイリッシュマン』まで辿れば、その半世紀にわたるキャリアの全容が見えてくる。