愛は遅く、情は儚く結婚式当日、本来なら私たちのウェディングフォトが流れているはずのスクリーンに、突然、渡辺湊(わたなべ みなと)と彼の女友達である中村美咲(なかむら みさき)のキス写真が映し出された。
美咲は列席者の席から立ち上がり、口元を押さえながら、無邪気で罪のない顔で笑った。
「みなさん、誤解しないでね。ただの悪ふざけだから。私と湊は小さいころから一緒に育ってきたの。私、いわば彼の第二の嫁みたいなものなの」
湊は笑いながら、小声で私に言った。
「こいつ、そういう性格なんだよ。思ったことをそのまま口にするだけだし、気にするな」
私は静かに彼を見つめた。
「私たちの結婚式で、あなたたちのキス写真を流して、自分はあなたの第二の嫁だなんて言う。それが悪ふざけだっていうの?」
湊は私を見て、苛立たしげに眉をひそめた。
「たかが何枚か写真を流しただけだろ?俺たち、五年も付き合ってきたんだぞ。こんな些細なことでそこまで執着して、いつまでも責め立てるつもりか?」
私は手を上げて、彼の言葉を遮った。
「そうよ、私は執着して、いつまでも責め立てるつもりよ……」
こんなふうに強い態度を取る私を見たことがなかったのか、彼は一瞬、呆けたように固まった。
私は振り返り、会場を埋めた列席者たちに向かって、はっきりと告げた。
「この結婚式は、ここで終わりです」