ムカミユーマといえば、やはり『また、同じ夢を見ていた』が強く記憶に残っています。この作品は、孤独な少女と周囲の大人たちの関係を描いたもので、登場人物それぞれの過去や現在が複雑に絡み合う構成が秀逸です。
少女の視点から見た世界と、大人たちの事情が交差するシーンは胸に迫るものがありました。特に、誰もが抱える「理解されたい」という願いと、現実の溝を描いた部分は、読んでいてじんわりと心に染み渡ります。
ムカミユーマの真骨頂は、このような一見
平凡な人間関係の中に潜む深い感情を、飾らずに描き出すところにあると思います。重たいテーマながら、どこか温かみのある筆致が特徴的です。