舞台制作に関わった経験から、
ヴァーチャル舞台を実写化する際の最大の壁は“運動法則と存在感の変換”だと感じている。僕は映像と舞台の両方を見てきた立場として、CG的に成立していた動きや光の表現をそのまま人間の俳優と物理的な装置に移すと不自然に見えがちだと気づいた。
そこで現場ではモーションキャプチャーとプリヴィジュアライゼーションを密に回す。俳優にセンサーをつけてアニメーションをリターゲットし、LEDウォールやプロジェクションマッピングで背景をリアルタイムに変化させると、視覚的一貫性が出る。音響面ではヴォーカルエフェクトやハーモニーのプリレンダリングを舞台と連携させることが多い。さらに、演出側とVFXチームの共通語彙を作るために、コンセプトアートやビートごとのカメラプランを共有するリハーサルが不可欠だ。
実例として'初音ミク'系のライブで見られる工夫は参考になる。重要なのは技術頼みで終わらせず、俳優の演技や衣装、物理的な小道具で“バーチャル感”を補強すること。そうすれば違和感を減らしつつ観客に新しいライブ体験を提供できると確信している。