同人界の
モグリ問題は、作品を大切にする作家にとって見過ごせない話題だ。まずは“モグリ”が具体的にどういう行為を指すかを押さえておくと見分けやすくなる。無断で同人誌を複製・転売する人、自分の作品として他人の作品を売る者、あるいはイベントで正式登録をせずにブースを出すような行為まで、範囲は広い。見分け方の基本は「違和感」に敏感になること。価格や流通経路、作りの粗さ、出展者の情報の薄さなど、ちょっとした積み重ねが手がかりになる。
具体的なチェック項目を挙げると役に立つ。まずオンラインならば出品者のSNSや販売履歴を確認する。正規の作家なら活動履歴があり、過去作品や制作過程の投稿、ファンとのやり取りが見つかることが多い。逆にアカウントが最近作られたばかりで作品紹介がゼロ、あるいは同じ画像が別のアカウントで使われている場合は警戒すべきだ。画像の逆検索や拡大して印刷の粗さ・余白の違いを確認するのも有効だし、PDFや画像のファイル名・メタデータが不自然だと盗用の可能性が高い。イベントで直に見かけた場合は、頒布物の仕上がり(紙質や印刷のズレ)、サークルカットやサークルスペースの登録状況をイベント公式カタログや運営に照らし合わせると確かめやすい。価格が相場より極端に安い、支払いが現金のみで領収書を出さない、商品説明があいまいで作家名が曖昧──こうした点も要注意。
疑わしい相手を見つけたときの対処法も心得ておきたい。感情的に非難する前に証拠を集めることが重要で、スクリーンショットや購入履歴、画像の逆検索結果などを整理しておく。直接連絡するなら冷静に事実確認を求め、応答が無い・言い訳が続く場合はイベント運営や販売プラットフォームの通報窓口を利用する。私自身、ひとつのケースで穏やかに確認を求めたら誤解が解けたことがあり、まずは対話を試みる価値があると感じている。ただし悪質な複製や明確な盗用があるなら、削除依頼や利用停止申請などプラットフォームの正式手続きを踏んだほうが確実だ。
予防策としては、作品に目印を付けておく、印刷所や流通ルートの信頼性を確保する、通販や委託先の取引記録を残しておく、同人PDFなら透かしやトリミングで元データと差をつけるといった手がある。コミュニティ内での信頼を築くことも大切で、イベント参加証やサークル名を公開しておくことで不審者を遠ざけられることが多い。結局のところ、疑わしい点に気づいたら即断せず記録を残して冷静に行動すること、そしてコミュニティや運営に相談することが一番の防御になると実感している。