興味深いことに、英語には嘘を肯定的に捉える諺が少ないんです。『Call a spade a spade』(ありのままを言う)とか『Tell it like it is』といった表現の方が圧倒的に多い。
そんな中で『必要悪』的なニュアンスを出せるのは『Sometimes you have to lie to protect someone』(誰かを守るためなら嘘も必要)でしょうか。『The Wire』というドラマで、警察官が証拠を捏造する理由を説明する台詞として使われていました。方便というよりは苦渋の選択という色彩が強いですが、現実的な対応としての嘘を表現できます。
英語で「嘘も方便」を表現するなら、'The ends justify the means'が最も近いニュアンスを伝えられるでしょう。この言葉は、目的達成のために手段を選ばない姿勢を表す点で共通しています。
ただし、日本のことわざと比べると、英語表現の方がややネガティブな印象を与える傾向があります。『進撃の巨人』のエレンや『デスノート』の夜神月のような倫理観のグレーゾーンを扱う物語でよく見られるテーマとも重なります。
類似表現として『A white lie』(罪のない嘘)もありますが、こちらは悪意のない小さな嘘に限定されるため、ニュアンスが少し異なります。