江戸時代の浮世絵や滑稽本にも、人々が井戸端や縁側で世間話をする様子が描かれていますが、まさにそうした雑談の積み重ねが『四方山話』という言葉を育んだのでしょう。田畑の作業を終えた後の団欒や、季節の移り変わりを語り合う習慣が、この言葉に温かみを与えている気がします。現代でもSNSでの雑談が『デジタル四方山話』と呼べるかもしれませんが、やはりface to faceの会話には特別な味わいがあります。
表題の英語化について触れると、訳者はそのタイトルを 'Sorry for Being Cute' としています。直訳に近い選択で、語感が日本語の軽い謝罪と自己肯定の混ざったニュアンスをうまく英語に移していると思います。
翻訳では語順や助詞のニュアンスをどう処理するかで印象が変わることが多いのですが、この英題は元の短さとリズムを保ちつつ、英語圏の読者にも意味がすぐ伝わるのが利点です。僕は他作品の英題、たとえば 'Kimi ni Todoke' が 'From Me to You' と訳されたケースを思い出して、タイトル一つで受け手の期待がかなり変わることを実感しました。
訳者の意図としては原題の持つ軽やかな自己主張を損なわず、かつ販促上のキャッチーさも確保する狙いがあったと考えています。個人的にはこの英題は作品の雰囲気に合っていると感じます。