LOGIN怖い話まとめ第2弾 様々な怪談100本をまとめた怪談集となっております 前作にも出たR子やSも、登場するとかしないとか……?
View More小学生の時、歩き通学だったんだけど、通学路に変な家があった。震度4くらいで潰れそうなほどボロい日本家屋なんだけど、ブロック塀は洋風で、置物とかを置くための穴が6つ開いてて、それぞれ髪色の違う小人の置物が置かれてた。
誰が言い出したのか、小人の置物に悪さをすると呪われるという噂が子供達の間で流れてて、通学路でその家の前を通ると、「お前行けよ」と悪ふざけをしていたものだ。
俺が小2の時、小6で班長のAってやつが、小人の置物をわざと壊した。通学中、4年生が俺達下級生に、例の噂を話したんだけど、俺達はすっかり怖がっちゃって、中には家の前を通るのが嫌だと泣き出す子もいた。
Aは「そんな噂馬鹿らしい」って言って、赤い髪の小人の置物を叩きつけて壊した。 誰もが呆然としていて、Aは得意げに、「ほらな、何もないだろ? はやく学校行くぞ。遅刻したら俺が怒られるんだからな」と言い、未だに泣いてる子の腕を引っ張って登校した。下校前、歩き通学は班ごとに別れて、班長の6年生が全員いるか確認してから先生に報告して帰るんだけど、その日、Aはなかなか姿を見せない。6年の担任の先生が来て、Aが早退したことを知らせた。
副班長の5年生と一緒に帰ることになったんだけど、不思議なことがあった。今朝、確かに赤髪の小人はAによって叩き壊されてたはずなのに、下校時にはもういる。髪色は同じだけど、顔とポーズが違うことから、家主が新しいものを買ったんだろう。
時が経ち、俺が6年生で班長になった。歳の離れた小学2年生の弟と一緒なのは、ちょっと気恥ずかしい。
2年生は弟の他にふたりいて、3人は俺や他の子達が注意しても、上履き入れをぶん回して遊んでた。弟だけならぶん殴って止めるんだけど、他の子はどうしようもないし、ここで弟を殴って騒ぎになったら嫌だから我慢した。何かが割れる音がして振り返ると、例の日本家屋の前にいて、弟が上履き入れで小人の置物を割ってしまったらしい。破片などは家の敷地内だ。
「何してんだよ!」 我慢できずに弟をぶん殴って、副班長の女子に先に行くように言うと、弟の首根っこをひっ捕まえて、インターホンを鳴らした。出てきたのは意外にも若くて美人なお姉さんで、言葉が詰まった。
「あら、どうしたの?」 「すいません、うちのバカが、あそこの置物割っちゃったみたいで。こいつ、お年玉貯金してるんで、そっから弁償させます」 弟の頭を掴んで一緒に頭を下げると、笑い声が降ってきた。顔を上げると、お姉さんは笑ってる。「君は弟思いのいい子だね。大丈夫、小人は■■ってもらうから」
一部聞き取れなかったけど、許してもらえたと思った俺達は学校に向かう。 「兄ちゃんひどいよ。お年玉は僕のだ」 「バカ。割ったら弁償しないといけないんだよ」 いくら言い聞かせても、弟はすねたまま。まだ小学2年生の弟に俺から言ってもわからないだろ。あとで両親に厳しく叱ってもらおうと思いながら登校した。2時間目の体育が終わって教室に戻る途中、弟の担任に捕まった。体育館に行くには、1,2年生の教室の前を通らないといけないんだ。
「弟くん、いきなり高熱出しちゃって。今保健室で寝てるの。お母さんがもうすぐ来ると思うんだ」 「分かりました。うちのがすいません」 2時間目の後は長めの休み時間があるから、俺は友達に保健室に行ってくることを伝え、保健室に行った。弟はベッドの上でうなされてた。俺が保健室に入って3分もしないうちに母さんが来たので、登校中は元気だったこと、日本家屋の置物を壊したことを伝えた。
保健室から出ると、弟の荷物をまとめて持ってくる担任とすれ違った。学校から帰ると、母がパニック状態だった。落ち着かせて話を聞くと、家に弟を連れ帰った後、ゼリーなどを買いに出かけたらしい。
帰って部屋に入ると弟はいなくて、そのかわり、置物のかけらがあったと言う。嫌な予感がして日本家屋に行って小人の置物を見ると、ひとつ新しくなってるものがある。髪色は青だが、顔つきや服装が弟に似ている。
俺は小人の置物を抱えてインターホンを鳴らした。今朝のお姉さんが出てきて、俺を見るなりにやっと笑う。「今朝の子じゃない。どうしたの?」
「あ、あの! これ、俺の弟ですよね!? 戻してください!」 「ダメよ。割ったのはその子なんだから」 「警察に言いますよ」 「警察が信じると思う? 弟が置物にされました。なんて言っても、イタズラだとしか思わないんじゃない?」 確かにお姉さんの言う通りだ。それでもどうにかしてもらおうと思って、何度も頭を下げたけど、無理だと言われた。「一度置物になったら戻らないの。それ、元に戻しといてね。じゃないと、今度は君が置物になるから」
お姉さんは一方的に言うと、ピシャリと戸を閉めてしまった。肩を落として置物を戻しに行く途中、ふと、Aのことを思い出した。置物を戻してから赤髪の小人を見ると、Aと似ていた。
もうここを通りたくない。でも、俺の一存で通学路を変えることなんてできない。考えた結果、この家の人がニヤニヤしながら登下校している俺達を見たり、ちょっかいかけたりしてると嘘をつくことにした。先生に早速相談すると、先生は呆れ返ったようにため息をついた。
「バカなこと言うな。あの家はとっくの昔から空き家だよ」僕がまだ漫画家の卵として色んな出版社に原稿を持って行きつつ、会社員をしてた頃、同級生だったAから電話があった。「よぉ、久しぶり。お前、まだ漫画描いてるのか?」「あぁ、描いてるよ」「だったら、今俺が働いてるところ来いよ。きっと、いいネタになると思うぜ」 誘いは嬉しかったけど、Aの職業は義肢装具士。彼の職場はたぶん、病院とかリハビリ施設だろう。そう思うとすぐにイエスとは言えなかった。「俺、今はケッソン村ってところで働いててさぁ。珍しい風習がある面白い村なんだよ。いいところだから来いよ」「ケッソン村? どこにあるんだ、それ」「同じ県のどこかとだけ。詳しい場所はメールする。じゃあな」 一方的に電話は切られ、数分後にメールが来た。ケッソン村の住所と、「いつ来てもいいけど、前日には連絡くれ」という内容だった。 僕は木・金に有給を入れて四連休を作り、ケッソン村へとやらに行った。僕が住んでるところから、車で1時間半のところに、ケッソン村はあった。 村というと古めかしい家が並んでいるのを想像していたが、今時の洋風な家がほとんどだし、コンビニやスーパーもあって、生活するのに困らなそうな場所だ。 Aが職場として使っているという公民館に行くと、5,6人ほど人がいる。来客が珍しいのか、彼らは僕をじっと見てくる。それだけでも気味が悪いのに、彼らの半数以上は一部が人工物だった。義足や義手の人もいれば、義眼の人もいる。そういった人に偏見があるわけではないが、こんなにいるのは少し異常だ。 車から降りて彼らに挨拶をすると、Aが公民館から出てきた。「よぉ、久しぶりだな」「あぁ、久しぶり。招待ありがとう」「招待なんていうほど大層なものじゃねーよ。まずは村を案内してやる。美味い飯もあって最高だぜ、ここ」 浮かれ気味のAについていき、村を見て回る。すれ違う大人達は、ほとんどが義手や義足、義眼をつけていて、僕をジロジロ見てくるから、居心地が悪かった。 村は現代的で2階建ての小規模ショッピングモールもあったし、小さな運動公園なんかもある。見たところ、一通りのものは揃っていて、村というより小さな町と言ったほうがしっくり来る。 異様な点といえば、さっき書いた通り、体の一部が人工物の人が多いことだ。 しばらく歩き回ると、個人経営の蕎麦屋についた。「おう、先生いらっしゃい」「
まず、私はこの話の関係者ではあるけど、当事者ではないことを伝えておく。 社会人になると、Aという同僚と仲良くなった。Aは芸能人と言っても信じてしまうくらいには可愛いし、優しい上に細かい気配りもできるから、人気がある。 1年経って仕事にだいぶ慣れた頃、Aが神妙な顔をして、「話があるんだけど、仕事終わったあといい?」って言ってきた。 1年も経つとお互いの好きなものや性格が見えてくる。意外と共通点が多いAとは親友といっても過言ではないほど仲が良いので、「もちろん」と即答する。 仕事が終わると、Aの希望で個室の飲食店に入った。食事が運ばれてくると、Aは話しだした。「私ね、ストーカーに困ってるの」「え、誰!?」「Bさんなんだけど――」 Bというのは30代の既婚者で、私達の上司だ。面倒見が良くて、私達の教育係も自分からやってたし、教え方も丁寧で尊敬していた。「入社してすぐ、何かあった時のためにって、連絡先交換したでしょ? 最初は普通に仕事の話しかしてなかったんだけど、少しずつ内容が変わってきてね――」 AはBとのやり取りを見せてきた。最初は私もしたような仕事の話だったけど、徐々に変わっていった。 まずは仕事の話のついでに、ちょっとしたことを褒める。「今日の髪型似合ってた」とか「いつも珈琲飲みたいって思った時に持ってきてくれるから嬉しい」とか。 そのうち「今日の服可愛かったけど、もう少し可愛い色でもいいんじゃない?」とか「肌綺麗だよね。もっと見たいな。資料室でこっそり見せてよ」とか、セクハラ発言に変わっていく。「どうして返事くれないんだ?」「この服絶対似合うから着てみてよ【URL】」「グロス変えた? ぷっくりしててえっちだね。舐めてほしいな」「この前教えた服、まだ買ってないの? 買ってあげようか」「柔軟剤変えた? それとも香水? 前の匂いの方が好みだったな」「今週の有給同じ日だから、デートしようよ」「少し胸大きくなってない? 大人になっても胸って膨らむんだね」「うなじ見たいからポニーテールにしてきてよ」「好きだよ」「照れてるの? 返事してよ」「おーい」「どうしたの?」「おいってば」「返事しろ」 他にも、Aの隠し撮りした写真を送り、感想を書いたり、AV女優の写真を送って、「この子より胸大きそうだよね。触りたいな」とか、気持ち悪いこと書いてあった。
若い頃、100万円貯めてから旅に出た。子供の頃、棒を倒して、倒れた方に曲がっていくってやったことない? あの方法で旅をしてたんだ。 流石に木の棒を電車やバスに持ち込むわけにはいかないので、指示棒を買って、それを使った。先っちょに指し指がついてるやつな。 電車とかバスに乗る時は、路線図を広げて、指示棒で決める。分かれ道があった時もそう。 なんなら、メニューを決める時でさえ使う時もあった。 指示棒の向くまま旅をしてたら、ザ・田舎ってところにたどり着いた。店もなければ宿もないようなところで、隣の家が数百メートル先にあるようなところで、民家よりも田畑の方が圧倒的に場所を占めている。 どういうわけか、犬がたくさん歩いてる。最初は野良犬かと思ったけど、皆首輪っていうか、紅白のしめ縄みたいなのを首につけてた。 それだけでも不気味なのに、村人達は犬を見ると土下座みたいな体勢になって、崇めていた。「それ、なにしてるんすか?」 気持ち悪いと思いながら老婆に聞くと、「この村にとって、お犬様は神様なんだよ」って言ってた。 例えば、田畑を決めるのにもお犬様頼りらしい。普通、田んぼって決まった場所は何かない限り田んぼだし、畑って決めた場所も、ずっと畑で、植える野菜や果物も変わらないだろ? まぁ、俺のイメージなんだけど。 でも、この村では犬が1軒1軒回って、家主の顔を見て吠えたら田んぼ、吠えなかったら畑になるんだと。 俺みたいな客人が来た時も、犬が客人のにおいを嗅いでから、どこかの家に案内する。その家の人は客人をもてなさないといけない。 他にも色んなことを犬に決めてもらってる。 どっちが畜生か分からないなと思ったけど、口に出すのは辞めておいた。「おぉ、お犬様じゃ」 老婆と話し込んでると、1匹の犬が来て、俺のにおいをかぐ。「きっと家に案内してくださる」「いや、泊まるつもりは――」「お犬様に逆らうのは、お客人でも許されないよ」 老婆は俺を睨みつけながら言う。なんとも言えない気味の悪さに、背筋が凍った。 犬は数歩歩くと振り返って吠える。「ついてこいと言っておる」 うさんくさいと思いながらついていくと、民家の前で止まり、何回か吠えた。家からは小柄な女性が出てきて、俺と犬を交互に見ると、「お客様ですね、どうぞ」と家の中に招いてくれた。 断りたかったけど、断
大きくなってから、うちがおかしいと気づいた。うちには赤い髪の日本人形があって、その髪を2本持ち歩く風習がある。 半紙で作った封筒にいれるんだけど、この封筒も変わってた。普通、封筒ってどこかしらをのりやテープでとめて作るんだけど、この封筒にはそういったものは使わない。いつも婆様がくれるから作り方は分からないけど、折って作ってるらしい。 日本人形は居間にあって、戸棚の上に小さな祭壇? 神棚? みたいなの作ってあって、そこに置いてある。 お菓子とか買った時は、1回人形の前にお供えしてから食べるし、ごはんも同様で、爺様か婆様のごはんだけお盆に乗せて、数分ほど人形の前においてから、爺様達が食べる。 おかえりとかただいまも言うし、目が合うと「よ、いい天気だね」みたいな何気ない声掛けをすることもある。 もちろん返事は帰ってこない。 人形の髪を持ち歩く理由なんだけど、災いから身を守るため。実際、人形の髪には何度も助けられてたから、僕は胡散臭いとか思ったりしてないし、毎日感謝を伝えている。 助けられた時の話をいくつか聞いてほしい。 小学生の頃、授業中に鉛筆が折れてしまったけど、めんどくさがりな僕は、鉛筆が折れても他のを使うからいいやと思って、削らなかった。 この時、他の鉛筆は全滅してたし、鉛筆削りをなくしたばかりで削ることさえできない。どうしようかと悩んでると、お道具箱からカタッと小さな物音がした。 こっそり見てみると、なくしたと思ってた鉛筆削りが出てきた。 高校生の頃、クラスメイトの財布が盗まれて、何故か僕の机の中に、空になった財布が入ってた。タイミングは体育の授業の後。授業中、僕はトイレに行くために授業を抜け出したこともあって、当然僕が疑われたわけだけど、騒ぎを聞きつけた隣のクラスの子が、真犯人を教えてくれた。 その子の証言と動画のおかげで、僕の冤罪は晴れた。 コンビニの帰り、車がいきなり突っ込んできたけど、僕にぶつかる直前、ハンドルを切って方向転換したため、無傷で済んだこともある。 察しの良い人は気付いただろうけど、危機は必ず来る。そして時に不自然な形で、回避される。 危機が去った後に半紙の中を見ると、真っ赤な髪は真っ黒に変わっている。家に帰ってから漆塗りの箱に黒くなった髪を入れて、人形に「今日はこんなことがあったけど、あなたのおかげで助かりま