この種の話題になると、毎回ファンとして複雑な気持ちになる。未発表キャストの“
洩れ”は制作側にもファンにも波紋を広げるから、声優事務所は状況に応じてかなり手際よく動くことが多い。まず目に見える対応としては、公式声明の発表または否定がある。発表が近い作品なら「時期を待ってほしい」といった抑制的なメッセージで火消しを図ることが多く、まったくの誤情報なら事務所名義で明確に否定する場合もある。私が追ってきたケースだと、迅速に対応するほどファンの混乱が小さくなる印象が強い。
同時に、内部対応は割と即座に動く。流出元の特定のために関係者への聞き取りやログ調査を行い、必要なら制作委員会やプロデューサーと連携して事実確認をする。明確な流出が確認されれば、法務部が着手して警告書や差止請求を送ることがあるし、悪質な場合は損害賠償請求や刑事告訴に踏み切ることもある。私はこれを見て「事務所もリスク管理として法的抑止力を持たせたいんだな」と感じた。さらに内部規律の観点では、当該タレントに対して口頭注意や謹慎処分、最悪の場合は契約解除という対応がとられることがある。これらは事務所ごとの方針や契約内容、流出の経緯でかなり違ってくる。
予防策も重要で、事務所はもともと機密保持契約(NDA)を徹底したり、台本やキャスト情報の配布範囲を最小化したり、資料に透かしを入れるなどの措置を講じている。近年はデジタルセキュリティの強化、アクセス権限の細分化、SNS監視の導入なども増えている。仕事の性質上、情報共有は必要だが、同時に洩れが出ないように「必要最小限の公開」に留める流れは強まっている。
ファンコミュニティの取り扱いもポイントで、事務所は炎上防止のために公式サイトやSNSで丁寧に経緯を説明するか、あるいはしばらく沈黙を守る選択もする。大手ほど法務や広報の整備が進んでおり、冷静な対応を期待できる一方で、対応が硬直化して冷たい印象を与えることもある。小規模事務所は素早くタレント本人が謝罪や説明を行うことが多く、ファンにはかえって好意的に受け取られるケースもある。
結局のところ、声優事務所の対応は「事実確認」「法的措置」「被害拡大の防止」「今後の予防」の四本柱で動いていることが多い。個人的には、情報が洩れることで作品の興奮や発表の喜びが損なわれるのを見るのがつらいので、関係者が責任もって迅速かつ透明性を持って対応してくれることを願っている。