人間の弱さや悲しみを深く掘り下げた作品を探しているなら、『罪と罰』は外せない選択肢だ。主人公のラスコーリニコフが犯した罪とその後の苦悩は、読者に「哀れみ」とは何かを考えさせる。貧困や社会的な圧迫から生まれる絶望感が、彼を追い詰める過程は胸を締め付けられる。
日本の作品では『こころ』が静かな哀感をたたえている。先生と青年の関係性を通じて、自己嫌悪や後悔といった感情が「哀れみ」の形を変えて現れる。とくに後半の遺書の部分は、人間の弱さに対する深い洞察に満ちている。
ファンタジー作品なら『バーティミアス』シリーズのジンが印象的だ。強大な魔力を持つ
精霊でありながら、人間に使役される立場の悲哀が随所に描かれる。皮肉屋で尊大な彼の台詞の裏に潜む孤独は、思わず「
可哀想に」とつぶやきたくなるほどだ。
哀れみの感情が複雑に絡み合う作品として『レ・ミゼラブル』も挙げておきたい。ジャン・ヴァルジャンとジャヴェールの関係は、単純な加害者と被害者を超えた次元で「哀れみ」の本質を問いかけてくる。