『狼狽え』の感情を表現したシーンと言えば、まず思い浮かぶのは『進撃の巨人』のエレンが初めて巨人化した瞬間だ。仲間を守るために必死で戦う中、突然自分が巨人になってしまった驚愕と混乱。手足が思うように動かず、周囲の兵士たちが恐怖の眼差しで見つめる中で、自分が何者なのかすらわからなくなる様子は圧巻だった。
『鋼の錬金術師』でも、
エドワードが真理の扉の向こう側でアルフォンスの身体を見つけた時の衝撃は忘れられない。必死の錬成で弟を取り戻そうとした結果、逆に彼の身体を失わせてしまった自責の念と絶望。あのシーンでは、エドの表情だけでなく、震える手や崩れ落ちる姿勢までが狼狽の感情を余すところなく表現していた。
小説なら『ビブリア古書堂の事件手帖』で、栞子さんが過去のトラウマに直面した時の描写が秀逸だった。普段は冷静な彼女が、突然震え上がり、本を落としてしまう仕草から、読者にもその心理的動揺が伝わってくる。作品によって表現方法は異なるが、優れた『狼狽え』の描写は、キャラクターの人間味を際立たせる。