最近では『Made in Abyss』のサウンドトラックも、深淵をテーマにした独特の世界観を音で構築しています。Kevin Penkinの作曲する神秘的な旋律は、底なし沼の持つ危険と美しさを同時に表現していて、聴いていると吸い込まれそうな気分になります。特に『Hanezeve Caradhina』という曲は、声楽と電子音の組み合わせが異世界的な深みを感じさせます。
聖書の『出エジプト記』に描かれるモーセの海の分割は、数多くのメディアでドラマチックに表現されてきました。音楽の世界でも、この壮大な瞬間を捉えた作品はいくつか存在します。ハリウッド映画『十戒』(1956年)のエルマー・バーンスタインによる交響曲は、波が壁のように立ち上がるシーンに重厚なブラスセクションを配し、神の力の圧倒的なスケールを音で再現しています。
最近では『プリンス・オブ・エジプト』(1998年)の『Red Sea』がアニメーションのダイナミックな映像と相まって、弦楽器の急速なアルペジオで水が割れる瞬間の緊迫感を見事に表現。宗教音楽の分野ではヘンデルの『イスラエル・イン・エジプト』の合唱曲『He rebuked the Red Sea』が古風ながらも力強い解釈を提示しています。これらは単なるBGMではなく、聖書の物語が持つ霊的な畏怖を音響化した芸術作品と言えるでしょう。