棚を整理しているとき、ふと托卵というモチーフが並ぶ棚に目が止まった。単純な自然観察を超えて、人間関係やアイデンティティの入れ替わりを描く作品が多いことに改めて気づかされる。
個人的にまず手に取るのは『Invasion of the Body Snatchers』だ。外からやってきて元の居場所を奪うという恐怖が、托卵の“他者が自分の場所に入り込む”感覚と響きあう。SFホラーとしての読み応えはもちろんだが、置き換えられる不安を社会的メタファーとして味わえるところが魅力だ。
次に勧めたいのは『The Handmaid's Tale』。こちらは生殖や育児が管理される社会を通して、人の身体が他者の目的に寄せられるさまを克明に描く。托卵の生物学的行為とは異なるが、子をめぐる“所有”と“代理”の問題を考えるには打ってつけだ。最後に、タイトルだけで引き込まれる『The Cuckoo's Calling』を挙げる。探偵小説としての展開を楽しみつつ、タイトルが示すように“居場所と代替”のイメージが物語に層を与えている。
来る人に説明するときは、直接的な托卵描写の有無を分けて紹介すると喜ばれる。ジャンルは違っても、根底にあるテーマが共鳴するのを感じてもらえるはずだ。