LOGIN「あなたの旦那さんの子、できちゃった」 親友にそう告げられた瞬間、私の世界は壊れた。 しかもその理由は―― 「だって、美咲産めないじゃん」 夫と親友。 一番信じていた二人に裏切られた私は、静かに決めた。 もう、許さない。 愛も、人生も、未来も―― 全部、奪い返す。
View Moreポケットの中で、スマホが震えた。 画面に表示された名前に、一瞬だけ呼吸が止まる。 沙織。 嫌な予感がした。 震える指でメッセージを開く。 そこに書かれていたのは... 「そろそろ美咲との結婚記念日だよね?。妬いちゃうの嫌だから私への愛を証明してもらいたいなー。」 その一文を見た瞬間、頭の奥で何かが崩れ落ちる音がした。 .......逃がしてはもらえないのか。 俺は、沙織にメッセージを送る。 「結婚記念日?覚えてないな......証明って何をしたらいい?」 すぐに返信が来る。 「あんなに愛し合った場所に美咲が帰ってくるなんて...... なんか嫌だからさ。今度はテレビ電話繋いで互いにするの」 「馬鹿な事言うんじゃないよ。流石にそれはまずいって」 「拓也さんは我慢できるんだ......あんなに2人で愛し合ってたのに.......」 「わかった!わかったから!美咲が寝てからでも.......」 「嫌、私がしたい時に私が連絡するから!じゃあまたね」 沙織からのメッセージは止んだ。 なんて馬鹿げた事を言い出すんだ。 でも... これは、全部俺が招いた結果だ。 元より逃げ場なんて、どこにもない。 美咲の笑顔が、脳裏に浮かぶ。 あいつは何も知らないまま、俺を信じている。 ......なのに俺は。 「美咲……本当に、ごめん……」 誰に向けるでもない謝罪が、小さくこぼれた。 震える指で、沙織に返信を打つ。 「わかった。言う通りにする。連絡待ってるよ」 送信ボタンを押した瞬間、取り返しのつかない現実が、確定した。 .......それから。 俺は仕事を理由にして、 美咲との接触を意図的に避け続けた。 届くメッセージには、最低限の返事だけを返す。 「いつもお仕事お疲れ様」「まだ残業してるの?」 「頑張りすぎないでね」 そのどれにも、曖昧な言葉でしか返せない。 ......わかってる。 最低だってことくらい。 でも...... 正直に言えば。 もう、美咲とも沙織とも関わりたくなかった。 こんな事態にしたのも自分の所為だ。 「わかった...」なんて言ったくせに、現実から目を逸らしているのは... 他でもない、俺自身だった。 明日バレてもいい…… そんなヤケになった自分を、どうにかやり過ごす。 最低限
「美咲に何かあったの?拓也さん」 にっこりと笑う沙織に、俺は強く言葉を返した。 「美咲のお義父さんが倒れたって連絡があった!!今は構ってやれない!お願いだから邪魔しないでくれ!!」 その瞬間...... 沙織の表情が、はっきりと歪んだ。 「......美咲の話はしないでって言ったよね!!」 張り裂けるような声で叫ぶ沙織 その目は、まるで笑っていなかった。 背筋に、ぞわりとした寒気が走る。 ......なんなんだよ。 どうして、こんな時にそんなことが言える。 胸の奥に、焦りと同時に言いようのない違和感が広がっていく。 そして初めて―― 俺は沙織を“疎ましい”と感じた。 けれど、それは同時に自分自身への嫌悪でもあった。 美咲を裏切っているのは、俺だ。 この状況を招いたのも、全部......俺自身。 だったら、これは当然の報いなのかもしれない。 ここで取り乱せば、全てが終わる。 分かっているのに、胸の奥で何かが、ゆっくりと黒く濁っていく。 愛情だったはずの感情が、形を失い、“執着”へと変わっていく。 ......それを、俺ははっきりと自覚していた。 「......ごめん。悪かった。気が動転してた」 「うん……ならよかった」 何事もなかったかのように、沙織は俺に抱きついてきた。 その腕の力が、やけに強い。 俺は、それを振り払えなかった。 むしろ.......抱きしめ返してしまった。 これから起きることをもう考えたくなかった。 そして沙織と2人、美咲との自宅に向かう...... 移動中に改めて現状を話すと、沙織は迷いなく言った。 「美咲は実家に行ったってこと?私たちがずっと一緒に いれるチャンスじゃん!」 そして、続ける。 「せっかく邪魔な美咲がいないんだよね?なら私は何も我慢することはなくない?」 「.......」 「そしたら、二人でもっと一緒にいれるしちゃんと私もアリバイ作り協力するからさ」 無邪気に笑うその顔が、どうしようもなく怖かった。 ......もう俺には、止められない。 ごめん。美咲…… 「まずはさ、私が美咲に用事があって帰宅途中の拓也さんに声をかけたことにしよう!」 その提案に、頷くしかなかった。
あの日から、沙織からの束縛が強くなる。 毎日、執拗に送られてくるメッセージ... 「今日は何時に会えるかな?」 「......連絡ないの?......私に逆らうんだ......」 「部屋で待ってるからね。来なかったら......」 と誘惑を誘うような、沙織の際どい画像とあの動画が 添付されて送られてくる。 そして俺は、その異常な行動を抑えるために、自分自身も狂った流れに巻き込まれていく……。 美咲はあの日から、まるで何かを諦めたように、おとなしくなっていた。 傷付けた罪悪感はあったが、大袈裟になる前に落ち着いたのなら... 俺は、それで済んだのだと、勝手に思い込んでいた。 最近は、どうやったら沙織との関係が切れるかばかりを考えている。 美咲も子供が欲しい...と悩んでいるみたいで、相談があったのだが... 沙織との一件が終わるまでは...興味がないふりをして、やり過ごした。 そんな生活が続いていた。 こんな生活が長く続くわけがない... 早く、どうにかして終わらせないと......その思いで常に心はモヤモヤしていた。 そして...とうとう、俺が恐れていたことが起きた。 いつものように沙織から着信がくる... 「今日、時間ある?」 「ちょっと話があるんだけど、これないかな?」 沙織から普段とは違うような文面... 「大丈夫だよ。部屋に向かえばいいかな?」 「ううん。いつもと違う感じが良いからさ。カフェにこれない?」 ......嫌な予感がする。 疑心ながらに俺は「了解」とだけ返事を打ち カフェに向かった。 奥の席から手を振る沙織。 俺は向かいの席に座る。 「どうしたの?急に...長い時間は無理だよ」 沙織に少し面倒な態度で声をかける。 「たまには良いじゃん?...ちょっと聞きたいことがあったからさ」 何か良いことがあったのか? 上機嫌な沙織は話を続ける... 「ねぇ...私と拓也の将来って...どうしたいとかどうなりたいってある?」 将来...? どうしたい? もう、終わりにしたい、は多分答えじゃない。 沙織は急に何を考えているんだ?。 そもそも関与しないって... 「どうしたいって...?」 俺は苦笑いをしながら言葉を返す。 「だから...私達の将来だよー。結婚とか、子供とか...
「必ず!約束するから待ってて」 「うん......待ってるね.....でも約束破ったら」 と途中で電話が切れた。 俺は...沙織を止めなきゃ...全てが終わってしまう...。 と言う答えだけは、はっきりとしていた。 ……♪♪♪ 沙織からメッセージが届く。 「来なきゃ、「コレ」ばら撒いちゃうかも......」 メッセージにはムービーデータが添付されていた。 そのデータを開くと.......それは、隠し撮りされたようなアングルで沙織との不貞行為が一部始終流れてきた。 「なん......だ。これ......」 膝から崩れ落ちる。 「うわぁあぁあぁ!!!」俺は、焦り、罪悪感、怒り、様々な感情がぐちゃぐちゃになりながら沙織の元に向かった。 退社後に、すぐに沙織の家に向かう。 「......よかった。来てくれたんだね。」 不機嫌そうにドアを開ける沙織に歪な雰囲気を感じていた。 「何があったんだよ!?てかあの動画って!? ...おいっ!ちょっ...」 玄関に入るとすぐに押し倒された。 上にまたがる沙織... 「ねぇ...しよ...」 「こんな時に何言ってんだよ!!あの動画も早く消して.....」 沙織が、携帯を片手にこちらに見せてきた画面には美咲への送信画面が見えた。 「や......やめてくれ......お願いだから......」 「嫌なら私を満足させてよ」 押さえつけられるように俺は抵抗しながらも沙織を受け入れた。 気持ちが晴れた沙織が俺に倒れ込む......その沙織を抱きしめる。 「こんな脅しのような真似はやめてくれ。俺の気持ちは知っているだろ......」 沙織は目を合わせずに答える。 「なんか...幸せそうに拓也の話してた。それが...なんか... 見下されてるように感じちゃって...」 俺は、その話を理解できなかった。 俺たち夫婦の仲には介入しないんじゃなかったか? 「私にもさ...何かあったら助けたいだってさ」 「頭きちゃってさ...じゃあ拓也さんちょうだいよ!って 言ってやろうかなって...」 「!?!?話したのか!?」 俺は咄嗟に沙織の顔を見る。 「話してないよ...ただ、そんな態度だから拓也さんも疲れるんだよっ
朝は、いつもと同じように始まった。 カーテンの隙間から差し込む光。 キッチンで湯を沸かす音。 テーブルに並ぶ、二人分の朝食。 ――違うのは、ひとつだけ。 私は、もう“迷っていない”。 「いってきます!」 玄関で、いつも通りの声を出す。 背後から、拓也の眠たそうな返事。 「……いってらっしゃい」 振り返らない。 振り返る必要がない。 だって――もう、外から塞ぐから。 ドアを閉めた瞬間、表情が消えた。 風は少し冷たくて、気持ちがいい。 頭が冴える。 足取りは軽い。 まるで、買い物にでも行くみたいに。 でも、向かう先は―― “家族”。 インターホンを押す。
その瞬間。 拓也の顔から、血の気が引いた。 ああ... いい顔。 最高。 まだ、始まったばかりなのに... 「なっ...何を訳をわかんない事を... 俺、風呂入ってくる!...」 焦るように食卓を立つ拓也。 「うん!いってらっしゃい... あれ?お風呂場に携帯持っていくの?」 「珍しいね...」 私は笑顔で焦る拓也に声をかける。 「あ...あぁ...やっぱり疲れてるのかな? 今日はすぐに寝るよ。」 携帯をテーブルに置いてお風呂に行った。 私は片付けを済まして、リビングのソファに 座りながら沙織にメッセージを送る。 「起きてる?」 「拓也から同居の話、了
「ただいま...」 玄関のドアが開く音 少しだけ疲れた声... 時計を見ると、もう23時を回っていた。 「おかえり...いつもお疲れ様」 私はキッチンから顔を出して、いつも通りに微笑む。 エプロンを外しながら、スリッパを揃える。 ――何も変わらない、日常。 そのはずなのに。 「……あれ、起きてたの?」 拓也が少し驚いたように言う。 「うん。ちょっとだけ... 拓也の顔見てから寝たいし」 「無理すんなよ... ありがとうな」 その言葉に、思わず笑いそうになる。 ――無理してるのは、どっちだろう。 「ご飯、温める?」 「...
「ねぇ!拓也さん!...これってどういう事!?」 いつもの3人での夕食。 沙織が、テーブルを叩き拓也に詰め寄る。 「......だって、もうこんな状況..... 俺だって疲れたんだよ!」 拓也は、沙織と目を合わせずに 言葉を返す。 「美咲...美咲はいいの!?」 私は、沙織を見つめ何も言葉を返さない。 「もうなんなのよ!訳がわかんない!」 叫びながら拓也に掴みかかる... その時だった。 「やめろよ!!」と拓也が沙織を突き飛ばす... 強く壁に叩きつけられる。 「もういい...この子は美咲と二人で育てる... 拓也なんていらない!!」






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