遠い記憶をたどるように説明すると、カンカンの歴史を学ぶ一番確実な入口は一次資料と写真・映像資料に当たることだと思う。
まずはフランスの国立図書館が運営するデジタルアーカイブ『Gallica』や、映像アーカイブの『INA(Institut national de l'audiovisuel)』を探してみるのが手堅い。19世紀末から20世紀初頭の新聞記事、ポスター、舞台プログラムが多数デジタル化されていて、実際に踊られた曲目や観客の評、広告文が読めると、私の中で当時の空気がぐっと具体的になる。
次に映像系のアーカイブ、たとえばBritish PathéやアメリカのLibrary of Congressのコレクションにも短い現存映像やニュース映画が残っていることがある。研究書や学術論文と合わせて当時の衣裳や振付の変遷をたどれば、単なる「派手な踊り」以上に社会的背景や商業演出の意図が見えてくる。さらに、舞台を扱ったフィクションや映画も参考になることがあり、例えば舞台文化の描写が印象深い作品として『Moulin Rouge』のような映像作品に触れることで、当時の興行スタイルの理解が深まると思う。
現地へ足を運べるなら、パリの劇場アーカイブや地方の博物館で保存資料を実際に見ると細かな違いが分かる。自分で史料を読み比べていくと、カンカンがどのように大衆文化として成立し、変容していったかを実感できるはずだ。