歌の挿入は構造的には二つのモードを行き来する装置で、劇内での位置づけによって意味が変わる。私が注目しているのは『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のように、歌そのものが物語世界のルールと直結しているケースだ。ここでは歌唱が試練であり、勝敗がキャラクターの運命に直結するため、歌は単なる感情表現を越えた機能を帯びる。
場面の内側(ディジェティック)でキャラが歌えば、その歌は行為であり決断だ。逆に外側(ノンディジェティック)的に挿入される歌は、感情の解説やムードづくりに寄与する。私はその違いを意識すると、同じ「
唄う」動作でも観客に伝わる密度や重さが全く異なることに驚かされる。
また歌詞やメロディが物語のモチーフと重なると、反復による意味付けが起きる。私にとって、効果的な挿入歌はキャラの成長と物語のテーマを同時に呼び起こす橋渡しの役割を果たすものだ。