前者、つまり本文や台詞に実際に『おざなり』『なおざり』という語が登場するケースは稀だが、後者は枚挙に暇がない。例えば家族や社会が互いを軽んじる描写が印象的な映画『東京物語』は、そのまま“なおざり”という概念の教科書のように扱える。海の向こうからは『The Great Gatsby』の世界が、見せかけの豊かさと本質的な無関心を通じて“おざなり”を描いている。
第一に「明示的にその語が使われている作品」──これは数は少ないが確実で、学術的な調査に向く。第二に「人物の態度や描写が『おざなり』『なおざり』と解釈できる作品」──このグループはかなり大きく、文学から映画まで幅広く含まれる。第三に「物語構造自体が怠慢をテーマにしている作品」──こちらは質的に深い議論が可能だ。実例としてはアニメ映画の一つに数えられる『火垂るの墓』が、社会や大人の対応のなおざりさを突きつける例として挙げられるし、冷酷な無関心を主題化する『No Country for Old Men』や、巨大な探究心の反面で日常を顧みない点が描かれる『白鯨』も参考になる。