ページをめくるたびに、作品が誰にしっくり来るかを想像してしまった。
その結果として、新刊の'
エンヴィー'は思春期後半から大人の層に強くおすすめしたくなる。対人関係のねじれや嫉妬の心理描写が細かく、単純な善悪や勧善懲悪だけで片づけられないからだ。行動の動機や倫理的ジレンマを噛み砕いて理解できる年齢であれば、登場人物の葛藤に深く感情移入できる。
例えば、若い頃に読んだ'寄生獣'のように、生き物としての恐怖と倫理が交錯する作品を楽しめた経験がある人なら特に刺さる。一方で、感情表現の生々しさや一部描写の陰鬱さが強いので、幼い読者には向かないと思う。自分の価値観が揺さぶられるのを楽しめる読者にぜひ手に取ってほしいというのが率直な感想だ。