観客としての期待を抱きつつ、
エンヴィーの世界観は視覚と不穏な空気で語られるべきだと考える。僕はまず色彩設計を重視してほしい。エンヴィーの持つ不安定さは寒色系のニュアンスと金属質な質感で表現できるし、時折差し込む生々しい血や皮膚の色がその揺らぎを際立たせる。
映像面では、長回しと狭いフレーミングを交互に用いて観客の視点を揺さぶるのが効果的だ。これによってエンヴィーの「他者性」と人間の「近接感」を同時に伝えられる。変身の瞬間は過度な説明を避け、断片的なショットと音でその恐怖と驚きを強める。
参考にしたいのは『ブレードランナー』のような都市の質感作りと、抽象的な象徴の見せ方だ。役者の身体性を最大限活かす演出、実物感のある造形と控えめなCGを組み合わせれば、原作の持つ不安と羨望を実写でも十分に伝えられると信じている。