ページをめくる手が止まらなかった作品をいくつか紹介したい。
まずは雰囲気重視で攻めるなら『
殺し屋1』が真っ先に浮かぶ。残虐さと歪んだ心理描写が渾然一体となった物語で、暴力描写に耐性がある人には強烈なインパクトを与える。読んでいる間は登場人物の狂気と孤独がじわじわと染み出してきて、一度読み始めると後戻りできないタイプの作品だと感じた。映画化もされたので、原作マンガの荒々しさとその後の映像化の受け止め方を比べる楽しみもある。
次にアクション志向でブラックユーモアや人間模様を楽しみたい人には『ブラック・ラグーン』が刺さる。組織同士の抗争や裏社会の描写が生々しく、主人公格の
傭兵たちの道義観がぶつかり合う場面がやたら魅力的だ。僕は特にキャラクター造形が好きで、単なるバイオレンス以上に“信頼”や“裏切り”といったテーマが濃く描かれている点に惹かれた。
もう少し現代社会の裏側を掘り下げた人間ドラマが読みたいなら『GANGSTA.』がおすすめ。仕事としての「殺し」や護衛を冷静に描きながら、街に生きる人々の傷や交錯する利害を丹念に描写している。若い頃にこの作品を追っていたけれど、読むたびに登場人物たちの選択が持つ重みを新たに実感する。
最後に武器や仕事の多様性を楽しみたいなら『ヨルムンガンド』が良い。武器商人とそのボディーガード達を中心に、国際的な裏取引や暗殺任務がスリリングに展開される。アクションの爽快感と武器にまつわる倫理的な議論がバランスよく共存していて、読み終えた後にしばらく考え込んでしまう作品だ。どのタイトルも殺し屋というテーマを異なる角度で扱っているので、自分の好みに合わせて手に取ってみてほしい。