典型的な落とし穴は版の違いと通訳の差だ。例えば名ゼリフが微妙に変わる例として、'カサブランカ'の有名な誤引用の話がある。だから出典を書くときは、どの版を使ったのか(劇場公開版/ディレクターズカット/TV放送など)を明記する。学術的には、監督名と公開年、プロダクション、使用したメディア、具体的なタイムスタンプを含める。たとえば:'カサブランカ'(M. Curtiz, 1942; Warner Bros.)、00:16:32。複数の一次資料を照合し、スクリーンショットや引用元の脚注を残しておくと後で安心だ。こうしておけば、誤引用を避けながら確かな出典を示せる。
口に出しただけで場面が浮かぶセリフというのが確かに存在する。私はその中でもまず『The Big Sleep』を思い浮かべることが多い。原作小説では、マーロウの辛辣で機知に富んだ語り口が端的に表れていて、短い一言が登場人物の性格や場の空気を一瞬で塗り替える力を持っている。映画化もされており、映像版での台詞回しがさらに知名度を上げた例だ。
作品の魅力は単なる探偵譚に留まらず、都会の影と人間の弱さを同時に語る点にある。だからこそ、マーロウの代表的な名台詞はこの作品で特に印象深く響く。読むたびに言葉の選び方と間の取り方に唸ることが多く、いまでも誰かと語り合いたくなる小説だ。
映画版での表現や台詞のニュアンスについて語ると長くなるが、要点だけ言えば『The Big Sleep』はマーロウの“らしさ”が最も分かりやすく出ている作品の一つであり、そこに収められた台詞がしばしば代表的に引用されている。