今回の展開を見て、単純な“
元通り”とは違うと強く感じた。映像的には能力が大きく戻った瞬間が描かれているけれど、その戻り方は以前のものと同一ではない。私は細かな差異に目が行くタイプで、力の挙動や発動時の負荷、周囲との相互作用に注目すると、明らかに何かが付け加えられたり削ぎ落とされたりしているのが分かった。以前の万能感が薄れ、代わりにコストや制約、新しい思考プロセスが差し込まれている。これって、たとえば'鋼の錬金術師'でいうところの「等価交換」が形を変えて戻ってきたような印象だ。
劇中の説明や描写を総合すると、回復のメカニズムは二重構造になっているようだ。外側のエネルギー供給が一時的に元に戻したとしても、内側の制御系や習熟度、精神的なトレーニングが同時に再構築されないと“同一の使用感”は取り戻せない。私は主人公の動きを見ていて、以前よりも意図的に慎重になっていること、無意識の反射が減っていることを感じた。これは能力自体が弱まったのではなく、操作のレイヤーが変化したと考える方が自然に思える。物語的にはこれが成長の余地を生むし、視聴者にとっても戦闘が単調にならず興味深い。
個人的には、この修復には代償がつきものだと考えている。完全復活を描くと盛り上がりやすいけれど、作劇としては何かを失わせたり新しい枷を設けたりする方が深みが出る。主人公が力を“取り戻した風”に見えても、その裏で失ったものや学んだものが今後の選択に重くのしかかる――そんな余韻を作品に残すことで、単なるパワーインフレーションを避けられるはずだ。だから私は、今回の回復は部分的であり、元通りでありつつも新しい制約や代償を伴うものだと受け止めている。これからの展開でその落とし所がどう描かれるか、本当に楽しみだ。