驚くかもしれないが、ファンの声でエンディングが“
元通り”に戻るケースは過去にも起きていて、状況次第で十分にあり得ると思っている。個人的な立場から見ると、大きく分けて二つの要因が動けば作者や制作側は変更に向きやすい。ひとつは商業的圧力で、炎上や失望が売上や視聴率、配信再生回数に直結するとき。もうひとつは作者自身の再考や外部からの協力が得られるときで、時間的な余裕や新たな表現手段が与えられれば改定は現実味を帯びる。
具体的な例を挙げるなら、以前にテレビ版の終盤が物議を醸したことで劇場版を用意して別解を示したケースがある。'新世紀エヴァンゲリオン'は当初のTV最終回に対する反響を受けて、別の形で結末を提示したし、'鋼の錬金術師'も連載の進行具合によってテレビアニメ版と原作に基づく後発作で結末が変わった。こうした流れから考えると、ファンの要望が長期にわたって組織的に示され、制作側にとって損失回避やブランド維持に寄与するなら、元に戻す(あるいは別解を提示する)モチベーションは生じる。
それでも簡単ではないと感じている点も多い。契約、制作スケジュール、スタッフや声優の事情、そして何より作者の表現上の決定が重くのしかかる。変更を望む声が大きくても、作者が持つ物語の一貫性やメッセージを尊重するなら、無理に改めるべきではないとも思う。結局のところ、元に戻るかどうかはファンの熱量だけで決まるわけではなく、経済的現実と創作上の旨味、そして当事者たちの合意が揃ったときに初めて起こるものだと僕は考えている。