深く複雑なキャラクターの心理を描いた作品といえば、まず『ベルセルク』が頭に浮かぶ。ガッツの狂戦士としての葛藤や、グリフィスに対する憎悪と憧れの入り混じった感情は、読む者の胸を締め付ける。特に、蝕のシーンでの絶望感は、絵柄と相まって強烈な印象を残す。
もう一つ挙げるとすれば『攻殻機動隊』の草薙素子だ。義体化した身体と自我の関係性、人間としてのアイデンティティの揺らぎは、SFの枠を超えて普遍的な問いを投げかける。サイバネティックス技術が発達した世界で、人間らしさとは何かを考えさせられる。
こうした作品に共通しているのは、キャラクターの内面の闇をあえて突き詰めることで、
逆説的に人間の本質に迫ろうとする姿勢だ。読後にじわじわとくる余韻がたまらない。