テレビドラマで焦らしを巧みに使った作品と言えば、『LOST』が真っ先に思い浮かびます。謎が謎を呼ぶ展開は、視聴者を常に次回作への期待で震わせました。各エピソードの終わりに新たな疑問が投げかけられる手法は、まさに焦らしの極致。あの島の秘密が徐々に明らかになる過程は、視聴者を虜にするのに十分でした。
『ブレイキング・バッド』もまた、焦らしの達人と呼べる作品です。主人公のウォルト・ホワイトが犯罪の世界に深く入り込んでいく様子は、じわじわと進行する緊張感たっぷりの描写。特に重大な局面では、あえて解決を次のエピソードまで待たせることで、視聴者の不安を煽りました。あの手に汗握る待機時間こそ、このドラマの真骨頂と言えるでしょう。
日本のドラマでは『半沢直樹』が印象的です。あの「倍返しだ!」の決め台詞が放たれる直前の緊張感は、見事なまでの焦らし効果。敵との対決シーンでは、わざと間を空け、視聴者の期待を最高潮にまで高めてから
カタルシスを与える手法が見事でした。銀行という地味な舞台設定ながら、あそこまで熱狂を生んだのは、巧みな焦らしのテクニックがあったからこそ。
焦らしは単なる物語の先延ばしではなく、視聴者の感情を操る高度な技術。上質なドラマほど、この手法を芸術の域まで高めているようです。視聴者を最後まで釘付けにしたいなら、適度な焦らしは欠かせない要素なのでしょう。