月光は、私に届かなかった私の名前は神崎円(かんざき まどか)。
夫の神崎遙(かんざき はるか)には、極めて深刻な潔癖症がある。
新婚初夜、彼は汚いと嫌がって、私に触れなかった。
私たちの子供の神崎蒼(かんざき そう)は、何度も体外受精を繰り返してようやく授かった奇跡だった。
産後の悪露で、私が衰弱して助けを求めると、彼は鼻を押さえてドアの端まで退き、目には隠しきれない嫌悪が満ちていた。
「ごめん円、俺にはこれは無理だ」
あの瞬間、私の心は体より冷たくなった。
私はもう慣れたと思っていた。彼を愛するとは、この痛みに耐えること。抱擁さえ望めないこと。
彼は生まれつきそうなのだと、自分に言い聞かせていた。仕方がないのだと。
だがSNSで、彼の後輩・若林志乃(わかばやし しの)が投稿した写真を見るまでは。
彼は優しく彼女の前に屈み込み、手には彼女が脱いだばかりの経血で汚れた下着を捧げ持っていた。
【この人が、私の全てを愛してるって言って、こんなものまで自分の手で洗ってくれるなんて感動したわ】
しばらく沈黙した後、私はそのスクリーンショットを保存し、すぐに同級生全員がいる学生グループに投稿した。