会場で発表が始まった瞬間、空気が一段と張り詰めたのを覚えている。
硬梨菜がステージに現れると、自身初のメジャーシングル『硝子の航路』のリリースと、それに伴う全国ツアーの開催を告知した。映像では楽曲の一部と、制作に参加したバンドや編曲者の名前が流れ、これまでの配信曲とは一線を画すクオリティを強調していた。私にとって印象的だったのは、彼女が楽曲のテーマについて静かに語った場面で、個人的な喪失や再生を歌に込めたと説明していたことだ。
発表後のトークでは、ツアーで披露したい演出案や、ライブでの衣装コンセプトにも触れてくれた。リリース日は数ヶ月先に設定されているものの、ファン向けの先行視聴や限定盤の特典情報まで具体的に示されたので期待が高まる。私は普段ライブの演出や音作りの細部を気にする方だが、今回の発表は彼女の表現の幅が明確に拡がるように感じられた。CD単体の音楽性だけでなく、ツアーでの体験を含めた一連のプロジェクトとして練られている印象が強く、今から次の発表が楽しみだと心から思っている。