具体例を出すと、'ノルウェイの森'のような文学作品で「真剣な表情」があるとき、直訳の「serious expression」では冷たく響くことがある。そこで「earnest look」や「a look of earnestness」といった語に寄せて、登場人物の内面や物語の雰囲気と整合させることが多い。対照的に「真剣勝負」のような固定表現では「a serious match / a go-for-broke contest」など、慣用的に定着した訳語を優先する判断をすることが多い。
短いチェックリストが役に立つ。まず文脈で本質的意味か強調かを判定し、次に対象の語が慣用表現かどうかを確認する。慣用なら定訳を優先し、感情表現に寄るなら自然な口語訳を選ぶ。例として、少年漫画の決め台詞に出る「真の力」は"true power"よりも"full strength"や"their real strength"の方が場の熱量を保てることが多い。'鬼滅の刃'での戦闘描写の訳し方と同じく、語感のテンポを壊さないことが肝心だ。