旅の途中で偶然立ち寄った小さな町工房から、
起き上がりこぼしの魅力にのめり込んだ顔が浮かぶ。僕は会津の町で、古い看板に「張子」とだけ書かれた店を見つけ、中に入ると世代をつなぐ彩色の筆跡や、小さな工房のにおいに胸が躍った。職人さんが目の前で素朴な表情を描き上げる様子を見て、これは単なる土産物ではなく地域の文化だと直感した。
会津地方、特に会津若松周辺の郷土玩具店や工房では、伝統的な技法で作られた起き上がりこぼしが手に入る。観光案内所で工房の場所を聞けば、展示と販売を兼ねた小さな施設に案内してもらえることが多い。私は数軒回って、色合いや釉の違い、紙張りの感触を確かめながらお気に入りを選んだ。
もし現地で時間があるなら、絵付け体験やワークショップに参加するのを勧める。目の前で作られる過程を見ると愛着が湧くし、持ち帰ればそれは自分だけの旅の記念になる。会津の工房めぐりは、手触りと温度を感じられる旅の楽しみだと思う。