サビに差し掛かる瞬間の違和感と快感が混じった感覚を、今でもよく覚えている。'
カンタレラ'の初音ミクカバーを初めて聴いたとき、声質の透明さと不穏なメロディの取り合わせが予想以上に胸に刺さった。原曲のもつダークで遊園地的な狂気を、機械的な発声が逆に浮き彫りにしているのが面白い。
僕は若いリスナーとして、アレンジの細部に夢中になるタイプだ。ピッチの操作やビブラートの付け方、効果音のタイミング一つで楽曲の印象ががらりと変わる。特に高音域の処理が原曲よりもクリーンだと感じるカバーでは、歌詞の皮肉めいた部分がより前に出る。コーラス処理やリバーブの使い方によって、楽曲がクラブ寄りに振れているもの、ホーンやピアノを生かして映画的に仕上げているものなど、バリエーションが楽しめるのがカバー文化の魅力だ。
友達と熱く語り合うときは、イントロの選択やテンポの微妙な違いで好みが分かれることが多い。僕は少し荒っぽくてもエッジの効いたミックスが好きで、そういうカバーはライブ映像や同人アレンジでも盛り上がる。全体として、初音ミクの特性を活かしたカバーは、原曲の持つ狂気や悲哀を別の角度から照らし出してくれると思う。