私の彼氏が、幼なじみの子供のパパになってしまった
彼氏・斎藤誠人(さいとう まこと)の幼なじみ・高橋優香(たかはし ゆうか)が、婚前に妊娠した。
彼女の評判を守るために、誠人は優香と結婚する決意をした。
私が、私とお腹の子はどうなるのかと信じられない気持ちで尋ねたとき、誠人は落ち着いた様子で言った。
「優香はお前とは違う。彼女にはもう俺しか身内がいない。未婚で出産なんて、噂に耐えられないんだ」
誠人は忘れていた。私にも彼しかいなかったことを。
それに、私だって未婚のまま彼の子どもを身ごもっていたのだ。
後になって、人々が「誰の子かわからないガキを妊娠した女」だと私を嘲笑ったとき、誠人は優香と並んで、ただ冷ややかにそれを見ていた。
そのとき私は、愛にも優劣があるのだとはじめて悟った。
だから私は、この「ちゃんと父親がいる」子どもを堕ろした。
彼氏の幼なじみに対する「深い情」を、完成させるために。