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KAZUDONA
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Novel-novel oleh KAZUDONA

聖衣の召喚魔法剣士

聖衣の召喚魔法剣士

召喚獣と真に心を通わせた者だけが身に纏う鎧を聖衣《ドレス》というんだ! VRが革新的な発展を遂げた西暦2125年。 それはVRMMOにも絶大な進化を及ぼしていた。 Vivid Arcadia Online VAOと呼ばれる人気VRMMOを楽しむのが日課の一色和士(イッシキ ナギト)もまたその一人だった。 メインキャラ(男キャラ)をやり込んだので、今度はサブキャラ(女性キャラ)でこれまでと違ったプレイを楽しんでいたらとんでもない事態に!? 大変なことに巻き込まれながらも前向きに楽しんでいく、 マイペースでポジティヴシンキングなゲーム内ライフ、スタートです!
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Chapter: 64  世界樹の下へ
 一夜明け、ザラーの街に清々しい朝が訪れた。窓から差し込む陽光に目を細めながら、カリナはベッド脇の例の「メイド隊からの衣装」セットの二つ目を取り出した。「……さて、今日の『着せ替え』はなんだ?」 恐る恐る広げたその衣装を見て、カリナは天を仰いだ。「あいつら……本当に森に行く気があるのか?」 そこに入っていたのは、白を基調とし、鮮やかな黄緑と黄色のリボンやフリルがあしらわれた、体のラインが出るタイトなローブ。しかもフードには、ふっくらとした「猫耳」がついている。インナーは紫に白と黒のデザインが施されたシックなワンピースだが、足元はガーターベルト付きの白いニーハイソックスに、黒地に白いラインが入ったショートブーツという、絶対領域を強調するような組み合わせだ。「防御力と動きやすさは最高級の素材らしいが……この猫耳は必要なのか? 完全にコスプレじゃないか」 ブツブツ文句を言いつつも着替えて鏡の前に立つと、そこにはあざといほどに可愛い「猫耳魔法少女」が完成していた。悔しいが、サイズも完璧だ。「ま、誰も見てない森の中だ。我慢するか」 フードを被って猫耳をピコピコさせながら、身だしなみを整えて隊員と共に階下へ降りる。「おはようございますにゃ、隊長。今日もバッチリ可愛いですにゃ」 「うるさい。行くぞ」 食堂に降りると、女将さんが満面の笑みで駆け寄ってきた。「おはよう、英雄さん! 昨日はあんたのおかげで、夜遅くまで祝杯を挙げる客で大忙しだったよ! 街を救ってくれて本当にありがとうねぇ」「いや、私はただのきっかけだ。皆が頑張ったからだよ」「謙虚だねぇ。さあ、今日はサービスで特盛にしておいたよ! しっかりおあがり!」 出された朝食は、厚切りのベーコンエッグに、山盛りのサラダ、そして焼きたてのパンと具沢山のスープ。カリナと隊員は感謝してそれを平らげ、エネルギーを充填した。 宿を出て、人目が少ない場所でペガサスを召喚する。カリナは猫耳フードを抑えながら天馬に跨り、北西の空へと舞い上がった。 ◆◆◆ ザラーの街を離れ、しばらく飛ぶと、眼下の景色は荒野から深い緑へと変わっていった。  『世界樹の森』。   その名の通り、視界の果てまで続く樹海だ。そしてその遥か彼方には、雲を突き抜けるほど巨大な一本の樹――世界樹が鎮座している。「でかいな……。遠近感がお
Terakhir Diperbarui: 2026-01-10
Chapter: 63  凱旋とランチ
「うおおおおおおっ!! 勝ったぞぉぉぉぉ!!」 「我々の勝利だ! アレキサンド万歳! 緑の戦女神、万歳!」 総裁バズズが燃え尽き、残った魔物の群れが霧散したのを見届けた瞬間、砦に詰めていた騎士達や冒険者達から、大地を揺るがすような歓声が爆発した。彼らは武器を放り出し、兜を脱ぎ捨てて、戦場の中心で悪魔の素材を回収していたカリナの元へと駆け寄ってくる。「すげえ……本当に一人で、軍勢ごと悪魔を倒しちまったぞ……!」 「なんて強さだ、それに近くで見ると本当にお人形さんのように可愛らしい……!」 「あの細い腕のどこにあんな力が……。まさに戦場に降り立った女神だ!」 血と土埃にまみれたむさ苦しい男達が、キラキラした尊敬の眼差しでカリナを取り囲み、口々に称賛を浴びせる。その中心で、カリナの肩に乗ったケット・シー隊員は、ふんぞり返るように胸を張り、これ以上ないほどのドヤ顔を晒していた。「ふっふーん! 見たのにゃお前達! これが隊長の実力にゃ! もっと褒めて、もっと崇めるにゃ!」 まるで自分が倒したかのような態度だが、誰もそれを咎めない。むしろ「何だこの猫可愛いな」と頭を撫でられ、満更でもなさそうだ。 一方、当のカリナは居心地が悪そうに頬を掻いた。「いや、戦乙女とか女神とか、そういうのは止めてくれ。私はただの冒険者だよ」「ご謙遜を! 貴女様は今日、間違いなくこのザラーの街を、いや、アレキサンドの危機を救って下さったのです!」 指揮官を務めていたアレキサンドの騎士団長らしき男が、カリナの前に進み出て最敬礼をした。「この武功、必ずや本国のアレキサンド国王陛下にご報告致します。貴女様のような英雄が訪れてくれたとなれば、陛下も大層お喜びになるでしょう。是非いつか、王都へもお越しください。国を挙げて歓迎致します!」「あ、ああ……機会があればな」 熱烈な歓迎ぶりに、カリナはタジタジだ。このままでは胴上げでもされかねない雰囲気を感じ取り、カリナは素早く空を見上げた。「では、私は報告があるから戻る。後は任せるよ」「はっ! この御恩は忘れません! 緑の戦乙女に栄光あれ!」「戦乙女に栄光あれ!!」 数百人の兵士達が一斉に剣を掲げ、勝鬨を上げる。その熱狂的な声を背に受けて、カリナは再びペガサスを召喚し、隊員と共に空へと舞い上がった。 太陽はまだ高く、まぶしい日差しが照り
Terakhir Diperbarui: 2026-01-09
Chapter: 62  戦場の女神
 ヒースの部屋を出てロビーに戻ると、そこは殺気立った空気に包まれていた。 負傷している者、装備を点検して飛び出していく者。怒号と悲鳴が飛び交う中、数人の冒険者が地図を囲んで深刻な顔で話し合っているのが耳に入った。「南西の防衛線が危ない! 急造の砦を築いて凌いでいるが、魔物の数が多すぎる!」 「正規軍の騎士団も限界だ。このままじゃザラーまで雪崩れ込んでくるぞ!」 彼らの会話を聞いたカリナは、迷わず彼らの元へと歩み寄った。「その南西の砦、私が加勢に行こう」 凛とした声に、冒険者達が振り返る。だが、彼らの目に映ったのは、フリルたっぷりの緑のドレスコートを着た、深窓の令嬢のような美少女と、二足歩行の猫だった。「はぁ? なんだお嬢ちゃん、迷子か?」 「悪いが今は遊んでる場合じゃねぇんだ。お人形さんごっこなら他所でやってくれ」 男達は呆れたように手を振って追い払おうとする。無理もない。この血生臭い状況に、カリナの姿はあまりにも不釣り合いだった。「遊びじゃない。私は冒険者だ。その砦に向かうと言っているんだ」 カリナが出口へ向かおうとすると、男達が慌てて立ちはだかった。「おい待て待て! 死にに行く気か!?」 「そこはピクニックに行く場所じゃねぇんだぞ! そんなフリフリの恰好で戦場に行ってみろ、魔物の餌になるだけだ!」 「悪いことは言わねぇ、家に帰ってママのミルクでも飲んでな!」「隊長は凄いのにゃ! お前達こそ控えおろうなのにゃ!」 彼らは本気で心配し、必死に止めようとしている。根は良い奴らなのだろう。だが、今は一刻を争う。カリナは懐からAランクのギルドカードを取り出し、彼らの目の前に提示した。「忠告は感謝する。だが、心配は無用だ。私はAランク冒険者のカリナ。組合長ヒースからも直々に討伐の許可を得ている」 黄金色に輝くカードを見た瞬間、男達の顔色が変わり、ロビー中がどよめいた。「え、Aランク……!? この歳でか!?」 「ま、待てよ、カリナって……あのルミナス聖光国を救ったっていう、エデンの凄腕召喚士か!?」 噂はここまで届いていたらしい。彼らの表情が、驚愕から縋るような希望へと変わる。「あんたがあの英雄なのか……?! 俺達じゃどうにもなんねぇ数なんだ! 頼む、仲間達を助けてやってくれ!」「ああ、任された。吉報を待っていてくれ」「任せておくにゃ」
Terakhir Diperbarui: 2026-01-08
Chapter: 61  緑の戦乙女
 エデンを飛び立ち、ペガサスに乗って北西へ。眼下には雄大な景色が広がる。高度が上がるにつれ風は冷たくなり始めていたが、ペガサスの発する魔力の加護と、ルナフレアから渡された厚手のコートのおかげで、空の旅は快適そのものだった。 やがて右手遠くに、堅牢な城壁に囲まれた巨大な都市が見えてきた。無数の塔と城壁が幾重にも連なる、武骨ながらも美しい石造りの国。「あれが初期五大国の一つ、今の騎士国アレキサンドか……」 かつてゲーム時代、メインキャラであるカーズも、そしてこのサブキャラであるカリナも、冒険のスタート地点として選んだのがこの国だった。騎士や剣士など、物理防御と攻撃に特化した兵科を多く輩出する国。兄設定であるカーズがカシュー達とエデンを建国するずっと前、初心者時代に剣の腕を磨いた場所でもある。懐かしい景色に目を細めつつ、カリナはそこを通過し、さらに西へと進路を取った。 何度か地上に降りてペガサスを休ませ、隊員と軽食をとりながら進むうちに、太陽は西の地平線へと沈みかけ、空が紫と茜色のグラデーションに染まり始めた。「隊長、そろそろ日が暮れますにゃ。お腹も空いたにゃ」「そうだな。夜間の飛行は視界も悪いし、今日はこの辺りで宿をとろう」 カリナは眼下に見えてきた街の近くにペガサスを降ろした。労いの言葉と共に送還し、隊員を連れて徒歩で街の南門へと向かう。 見えてきたのは、高い石壁に囲まれた街。近づくにつれ、カリナは違和感を覚えた。記憶にあるここ「ザラーの街」は、ゲーム開始直後のプレイヤーが集まる、のどかで開放的な初心者用の街だったはずだ。 だが、目の前にあるのは、無数の傷跡が刻まれた分厚い城壁と、物々しいバリケード。100年という時は、平和だった始まりの街を、魔物の脅威に晒される最前線の拠点へと変貌させていたのだ。 石造りの門の前には、二人の兵士が立っていた。槍を持ち、アレキサンドの紋章が入った鎧を着ているが、その眼差しは鋭く、妙に殺気立っている。「止まれ。これより先はアレキサンド領ザラーの街だ。身分証の提示を」「ああ、冒険者だ」 カリナは首に掛けていたギルドカードを外し、兵士に手渡した。兵士は事務的な手つきでカードを受け取り、そこに刻まれたランクと名前を確認する。そして次の瞬間、その目が驚愕に見開かれた。「えっ……Aランク!? それに、名前はカリナ……
Terakhir Diperbarui: 2026-01-07
Chapter: 60  世界樹への誘いと学園への使命
 演習場での模擬戦は、カリナの圧倒的な勝利に終わった。リーサは完膚なきまでに叩きのめされたが、その表情は晴れやかだった。目の当たりにした召喚術の神髄に、彼女は心の底から感動していたのだ。 その後、一行は玉座の間へと移動した。カシュー王が玉座に腰を下ろし、エクリア、アステリオン、レミリア、そしてカリナとリーサがその前に並ぶ。騎士団の面々やルナフレアは、少し離れた場所で見守っていた。 カシュー王が威厳のある声で告げる。「これより、エルフの召喚士リーサを、エデン王国筆頭召喚術士カリナの代行として任命する」リーサは緊張した面持ちで、カシュー王の言葉に耳を傾ける。「リーサよ、カリナはエデンの特記戦力であり、その力は我が国の要である。しかし、彼女は多忙な身であり、常にこの地に留まることはできない。其方には、彼女の不在時にその力を代行し、エデンを守る重要な役割を担ってもらいたい」「ははっ、身に余る光栄にございます」 リーサは深く頭を下げ、カシュー王の言葉を承諾した。「カリナ、其方からも言葉をかけてやってくれ」 カシュー王に促され、カリナが前に出る。彼女はリーサを見つめ、静かに語りかけた。「リーサ、お前の実力は認める。だが、召喚術の道は険しい。決して慢心せず、精進を怠るなよ」「はい! 肝に銘じます、師匠!」「だから師匠はやめろと言っただろう」 カリナは苦笑しながらも、リーサの熱意を嬉しく思っていた。「リーサ、お前には期待している。エデンを、そして民を守るために、力を貸してくれ」「はい! この命に代えても、エデンをお守りします!」 リーサは力強く宣言し、カリナに忠誠を誓った。その瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。 カシュー王は満足げに頷き、玉座から立ち上がった。「うむ。これにて任命式を終了する。皆の者、これからもエデンのために力を尽くしてくれ!」「はっ!」 玉座の間に、騎士達の力強い声が響き渡る。 こうして、エデンに新たな優秀な召喚士が加わった。リーサはカリナの代行として、そして一番弟子として、召喚術の道を歩み始めることとなる。 その後、カシュー王は皆を労い、祝宴が開かれることとなった。宴の席では、騎士達がカリナの武勇伝を語り合い、リーサも熱心に耳を傾けていた。 カリナはルナフレアにジュースのグラスを傾けながら、静かに呟いた。「これ
Terakhir Diperbarui: 2026-01-06
Chapter: 59  召喚対決
 翌日の正午過ぎ。太陽が真上に昇り、演習場の砂埃を照らす頃、カリナはルナフレアを伴って騎士団演習場の門をくぐった。 門番の兵士達は、昨日カリナが見せた伝説級の精霊との戦いを目の当たりにしているため、最敬礼でカリナを出迎える。その瞳には畏敬の念が宿っていた。 演習場に入ると、円形の闘技場を見下ろす観覧席には、昨日の今日だというのに、またしても主要なメンバーが勢揃いしていた。   中央の貴賓席には、面白そうに身を乗り出すカシューと、その隣で扇子を片手に優雅に微笑む、完璧な美女の振りをしたエクリア。その後ろには、胃薬でも欲しそうな顔をしたアステリオンと、エクリアの代行であるレミリアが控えている。   騎士団席には、近衛騎士団長のクラウス、王国騎士団副団長のライアンをはじめとする騎士達。そして、戦車隊隊長のガレウスまでもが、「また凄いもんが見れるかもしれん」と最前列に陣取っていた。「やれやれ、暇人が多いなあ」 カリナが苦笑すると、隣を歩くルナフレアがくすりと笑った。「それだけカリナ様の力が注目されているということですよ。……では、私はあちらへ」 ルナフレアは演習場の端、関係者用の席へ向かう前に足を止め、カリナに向かって深々と頭を下げた。「カリナ様、あの世間知らずのエルフに、本物の召喚術というものをご教示なさって下さい。御武運を」「ああ、任せておけ。見ていてくれ」 ルナフレアの言葉に軽く手を振って応え、カリナは演習場の中央へと歩みを進める。そこには既に、対戦相手であるエルフの召喚士、リーサが待ち構えていた。   召喚士特有のローブを風になびかせ、手には身の丈ほどの樫の木の杖を握りしめている。その表情は硬いが、瞳には決して折れない強い意志と、カリナに対する侮りにも似た対抗心が燃えていた。「お待ちしておりました。逃げずに来たことだけは褒めて差し上げます」 リーサは杖の先をカリナに向け、挑発的な視線を送る。「陛下やアステリオン様が何を考えているのかは分かりませんが、召喚術とは長い修練と精霊との対話によってのみ成される神聖な儀式。あなたのような子供に務まるような軽いものではありません」 彼女の言葉に、観客席の騎士達がざわつく。「おいおい、死んだわあいつ……」「昨日のあれを見てないからって……」といった同情の声が漏れ聞こえてくるが、リーサの耳には届いて
Terakhir Diperbarui: 2026-01-03
OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

 元気になって生まれ変われるなら即答だ!  病や世界の因果に翻弄された彼は、 自分を「探していた」と言う女神に神格を貰い転生する。 異世界で目にした容姿は女神の趣味全開。 でも本当に異世界転生? どこか懐かしさを感じる。 封印された記憶の奥底に眠る運命の人。 自分が選ばれた理由とは? 「どんなに迷っても前へ、ただ護りたいもののために俺は剣を抜く!」  巻き込まれ体質主人公の異世界?ファンタジー、開幕です!
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Chapter: 第三章 43  凶ツ者<マガツモノ>
 ナギストリア? 誰だよ、俺の元の名を捩ったようなこいつは。「ククク……、漸く自分の肉体を得ることができた。神の秘術を使って俺を転生させてまでその体から取り出すとはな。しかも貴様らはあの時の三人、それに大神までもがガン首揃えるとはありがたい。さあまとめてぶっ潰してくれる!」 背中から巨大な黒い大剣を抜くナギストリア。おいおい、いきなりバトル展開かよ、説明してくれ。「待て、何なんだそいつは? ちゃんと教えてくれよ」「……っ、彼は私達神々が二回目の大虐殺のときに救ったときのあなたです……」 アリアが口を開いた。「ああ、だがまるで感じが違う。あんな物身に着けてはいなかった、何の力も持たない只の人間だったはずだ」 ルクスも知っているのか。だが俺の心の中で語り掛けてきたヤツの証言と一致する。ここが全ての憎悪の始まりとか言ってたしな。「あれが……、遠い過去の俺の姿なのか?」「ええ、その通りよ。彼とあなたの大切な人、今はアヤと名乗ってるのよね、彼女と一緒に救出したときのあなた。でも、まだその時の姿を保っているなんてね……」 サーシャも現場にいたということだな。「だがあの異常な禍々しさは何だと言うのだ? あの時のヤツにあのような力などなかったはずだ……」 ゼニウスは大神だ、さすがに知っているってことか。アリアと話して聞いた限りじゃ、単なる普通の人間だったと言ってたしな。それにしては異常だ、とても人間には見えない禍々しさ。鑑定しても何も視えない。体を乗っ取られた時も俺より遥かに強力な技を放っていたし……、わからないことばかりだ。「やはり神というものは蒙昧だな。貴様らは自分達の行いが全て正しいと思っている。救済だと? 笑わせるな! 俺とアガーシヤを救うと言っておきながら、一緒にいた俺達の家族や友人達までを惨殺したクズ共が何をほざく。それに俺達はあの時言ったはずだ、大切な人達を殺されてまで、貴様らのそのくだらない救済など受けたくないと……。無力な自分に歯ぎしりしながら、泣きながら訴えたはずだ。彼らと一緒に殺してくれとな……。それを……、そして勝手な救済とやらで別世界に飛ばしやがった。そのせいで俺もアガーシヤも余計な苦しみを味わうことになったのだ……、気の遠くなるような年月をな!」 そうか、そういう理由があったのか……。恐らくアガーシヤとはアヤのことだ。ヤツを
Terakhir Diperbarui: 2026-01-10
Chapter: 第三章 42  天界訪問・神々との邂逅
 転移で到着したと同時に、恐る恐る目を開ける。「ここが…、天界…?」 一面の花畑、いや、美しい花々が咲き乱れる世界だ。そしてギリシャ神話に出てくるような建物、上がシンプルな柱はドーリア式、豪華な装飾が付いているのはコリント式、その中間くらいの装飾はイオニア式だったっけ? 実際に見て知ってるのはパルテノン神殿みたいな建築様式くらいだが、そんな豪華な装飾の建物が一つ一つは離れているがどこかしこに建てられている。どこからか琴の音も聞こえてくる。花々にはこれまた見たこともない綺麗な蝶や、羽の生えた小さな妖精達が戯れている。「すごい、なんて美しい……」 陳腐な台詞しか出て来ない。それ程目の前に広がる光景に圧倒された。「ここが神々が済む至上の楽園エリシオン、ですが天上にあるわけではありません。あらゆる世界へと繋がる次元の中心に存在すると言った方がいいでしょうね。さて、物見遊山ではないので早く行きましょう、あそこへ」 アリアが指差した方角の一際小高い丘の上に、一番大きく、豪華な神殿が見える。もう少しこの綺麗な景色を堪能していたいが、仕方ないか。花が咲き誇る中を駆け抜けて、丘の上へと続く階段を昇る。振り返って上から眺める景色もこれまた凄い。何処までも果てのない花の園。あの平原でずっとゴロゴロしていたいと思うという欲望に駆られてしまう。まあ、それはまた次に来れたらでいいか。転移で来れるのなら俺にも来れるかも知れないしな。そうこうしている内に丘の上に到着。 そこには白髪のこれぞ神話の神様って感じのイメージの威厳溢れるムキムキのじいさん。古代の白いギリシャ装束に立派な髭を蓄えた人物が、俺達を待っていたかのように腕を組んで立っていた。見た目はじいさんだが、いかつい。そして全身の筋肉が凄い。ボディビルのポーズ取って欲しい。そしてその立派な髭をわしゃわしゃしたい。「待っておったぞ、アストラリア。そしてお主がカーズじゃな。話はこやつから聞いておる。余は大神ゼニウス、全ての神の親にしてこの天界を治める者だ!」 同時に彼の体から目を開けていられない程の眩しい光が放たれる。後光か? だが眩しすぎて何も見えねえよ。「ゼニウス様、お言葉ですが……。その後光鬱陶しいのでやめてください」 気のせいかな? アリアにツッコミ入れられてる?「ハッハッハ! スマンスマン、久方振りの下界からの
Terakhir Diperbarui: 2026-01-09
Chapter: 第三章 41  邪神の残滓・目覚める憎悪
 誰だ?! 心の中に声が響いて来る。しかも且つての自分自身の声だ。だが、こんなにも悍ましく憎悪に塗れた様な不気味な声、聞いたこともない……。(お前は今、怒りという負の感情に飲まれたのだ)「ぐ……、うっ……、ぐああああああああ!!!!」 何だ? 勝手に魔力が、しかも常闇のような真っ黒な魔力が体から溢れてくる。制御も出来ない。何だってんだ!?「お前は俺にとって一番言ってはならないことを口走ったな……」 誰だ? 誰かが勝手に喋っている。自分の体が言うことを聞かない。(あの雑魚に怒りを感じたのだろう? バカな犬だ、最愛の者を何度も失ってきたお前の心に一番言ってはいけないことを……)「「「それがどうした?!! なんだ?? 怒ったのか邪神殺し!!」」」 やめろ! 余計なことを言うな! コイツは俺じゃない、死ぬぞ!!!「ククク……、やはり死にたいらしいな……。まさか自殺願望者だったとは、なら望みを叶えてやろう」 くそっ! どうなってる!? 誰なんだよ、俺の体を勝手に操っているのは。更に黒い魔力が竜巻の様に吹き荒れていく。「「「な、なんだ……、コイツのこの異常なドス黒い魔力は?! しかも赤だった髪の色まで真っ黒に……。どうなってやがる?!!!」」」 なっ、今の俺はそんな風に見えているのか? くそっ、マジでどうなってるんだ! お前は誰なんだよ?!(お前がこれまで数千年に渡って積み重ねてきた、世界へ対する憎悪とでも言っておいてやろう) なんだと、ふざけるなよ……! 俺にはもはやそんなものはない、それに今の俺には関係ないことだ! 俺の体を返しやがれ!(今のお前は覚えていなくとも、俺はもう長い年月をお前と共に過ごして来たのだ。これまで繰り返してきた輪廻の数、その数え切れない人生の間ずっとな) それは過去の俺だ! 過程はどうあれ今の俺には関係ないだろう。さあ、さっさと俺の体から出て行けよ。さっきからずっと変な感じがしてたのはお前のせいだったんだな。(心配するな、こういう奴らが許せないんだろう? 甘いお前の代わりに、殺さないよう痛めつけておいてやる。お前に本当の力の使い方というものを教えてやろう) やめろ! 話を聞け! もう勝負なんてついてるんだよ!!「さっき流星とか言ったな……? 本当の流星がどんなものか、そしてその星々が砕け散る様を見るがいい。お前の
Terakhir Diperbarui: 2026-01-08
Chapter: 第三章 40  試験最終戦
  やっと来た出番だ。舞台に飛び乗った俺にもありがたいことに声援が飛んでくるんだが……。「あいつが邪神殺しだろ? 女みたいだなー」「それパレードのときにも思った!」「でも途轍もなく美しいわ!」「貴族姓が姫と同じだぞ?!」「ということは……、マジかよー」 などと、まあいらん野次も聞こえてくる。ったく誰だよ……、その呼び名考えた奴は。あのハゲ長男か? 確かに俺の称号にも加わっていたけどさー、まるで俺が悪い奴みたいなんだよな。徐々に大きくなる邪神殺しコール。 いやーこれはマジでやめて欲しい。早速パパさんに役に立ってもらおうか。(|義父《とう》さん、あの不名誉な二つ名呼びを止めさせてくれよ、声が大きくなる魔法かけるから叫ばなくていいし) 通信・念話のスキルについては、アヤの念話の話をしたときに伝えてある。すぐに返事が返ってきた。(うむ、大切な我が息子の頼みだ。任せておけ!) 舞台から|ラウダー・ヴォイス《声量増加》をかける。無茶苦茶言わなければいいんだけどなあ。「「「観客諸君、私は国王フィリップだ。カーズはこの国を救ってくれた英雄にして、私の愛する息子も同然! 二度とそのような不名誉な二つ名で呼ぶことは許さん! 応援するのであれば勇敢な彼の名を呼べ! これは王命である! そしてこれは全王国民にもお触れを出す、破ったものは禁固刑は免れぬと思うように!」」」 うん、やっぱやり過ぎ……。それに持ち上げ過ぎだが、御陰で一瞬にしてあの不名誉な二つ名では呼ばれなくなった。変なオッサンなんだけど、国民には慕われてるんだよな。今はカーズコールだ。これはこれでむず痒いんだが、さっきのよりは万倍マシだよ。(ありがとう、義父さん。もう充分だ)(いや何、役に立ったのなら何よりだ。明日にはお触れを出しておくからな)(あ、あー、うん、助かるよ……) そこまでしなくてもいいんだけど。まあとりあえずはOK、逆側からのそのそとザコジャイが上がって来る。こいつにはブーイングが容赦なく飛ぶ。他の悪党どもは壊滅したし、こいつもやられると思ってるんだろうね。相当悪さをしてきたんだろう、もう観衆は敵意丸出しだ。「くそっ、どいつもこいつも使えねえな……」 なんかブツブツと悪態をついてるな…、うむ、こいつに勝手に喋らせておくだけでもへし折れそうだ。頭を使おう。さあ、自分の汚い内面を
Terakhir Diperbarui: 2026-01-07
Chapter: 第三章 39  アヤの闘い・鮮烈デビュー戦
 場内は何だ? 何でだ、と騒ぎ始める。そりゃそうだろ、登録試験なんていつもやってる程度のことだろうし。こんな中で受けさせるなよな。パンチパーマの筋肉達磨をジロりと睨んでやる。ド田舎のヤンキーのガンたれを喰らえ。「う……、すまない、カーズ。Aランク試験が終わるとどうしても観客が散ってしまう、だから姫のデビューのお披露目は間に入れることになってしまってな…」 ハハーン、なるほどー。今度はジロりと王様を睨んでやる。ド田舎のヤンキーの(以下略)「ハハハ! そういうことだカーズ、許せ。それに其方がトリを飾る方が盛り上がるだろう!」 やっぱこのオッサンか……、もう調子良すぎて尊敬するよ。「武器の扱いと魔法のテストの2つだろ、どうすんだよ?」「ど、同時進行だ……!」 申し訳なさそうに言うパウロ。どもってるじゃねえか。目も泳いでるぞ。「またかよー。王様さー、そういうの職権乱用って言うんだぞ。国営だったとしてもそういうあからさまな根回しはまずいだろ?」「王様ではない、お義父さんだぞ、我が息子よ」「あー、うん。もういいよ、パパって呼んでやるよ……」「うむ、その響きもなかなかの新鮮さがあるな……」 ダメだこりゃ……w「まあまあ、俺らも折角だし大観衆の中で見たいしよ。な、我が弟カーズ!」「そういうことです。アヤの晴れ舞台、それくらい派手でなければ、ね、我が弟カーズ?」「はあ、アランにレイラ、あんた達もかよ……。それ流行ってんの? アヤ、大丈夫か?」 神格で能力が大幅に強化されているとはいえ、レベル的にはまだ30に満たない。心配にもなる。この大観衆だしな。ていうかここの観衆みんな仕事はどうしたんだよ? 暇なの?「うん、このくらい国民の前で挨拶したりするのに比べたら全然平気。それに、これであとはあの犬だけになるしね」 殺る気満々だ……。もうこうなったら止めても無駄だな。装備の確認をするアヤを見る。「そっか、まあ仕方ないけど。怪我だけはしないでくれよ」「心配し過ぎだって。サッサと片付けてくるからね」 ノリノリだな。そう言って俺をギュッと抱きしめてくる。可愛いので俺も抱きしめ返してしまう。「ハイハーイ! イチャイチャはあとでー、アヤちゃん容赦しちゃダメだからね!」 おい煽るなユズリハ、エリックもうんうんと頷いているし。「アヤ様、ご武運を!」 クレ
Terakhir Diperbarui: 2026-01-06
Chapter: 第三章 38  Aランク昇格試験 その2
 開始と同時に無駄に派手な装飾の|細剣《レイピア》を鞘から抜くイヤミーナ。ただの魔導士と思ってるユズリハに近接戦で勝負を決めるつもりなんだろうか。「先ずは|魔法剣士《ルーンセイバー》の剣捌きというものを見せつけてあげますわ、オーホッホッホ!」 へえー、あいつ俺と同じジョブなの? なんか嫌だなあ。「本物の|魔法剣士《ルーンセイバー》がどんなものか知らないのね。アンタがカーズと同じジョブとか、虫唾が走るわ」 うん、代弁ありがとう。グングニル・ロッドに魔力を注ぐユズリハ、同時に先端についた魔石の形状が変化していく。相手に合わせるようなレイピア、寧ろ突きに特化した|刺突剣《エストック》だ。柄の部分を短くし、槍というよりも剣に近い形になる。同じ土俵で受けて立つのか……、いきなり大魔法ぶっ放すかと思ってたけど意外と冷静? なのかな。「随分と変わった武器ですのね。ただのロッドだと思っていましたけど。でもそんなピーキーな武器、しかも剣士と刃を交えようなどと魔導士のすることではありませんわね」 挑発には乗らずに冷静にグングニルを構えるユズリハ。ピーキーとか言うな。「ハアッ!!」 一直線に距離を詰め、レイピアで連続の突きを繰り出すオホホエルフ。うん、まあAランクだしそこそこ速いな。だが無策で突っ込むとは、舐めてるんだな。 カカカカッ!!! だがその高速の突きの剣先に寸分の狂いもなくグングニルの穂先を合わせて相殺する。おー、すごいな! Aランクだけあって結構なハンドスピードなのに。さすが成長して|魔導槍士《マジックランサー》にクラスアップしただけある。 ガギィーン!! ビシッ、ビキキキッ!!!「なあっ!!??」 イヤミーナが繰り出した渾身の一突きに魔力を集中させた穂先を合わせると、その華美なレイピアは先端が割れ、鍔の部分、刀身の根元まで大きな亀裂が入った。俺の自作だが、元々の強度差に加え、ただの突きと魔力で強化した突きとでは威力に大きな差が出る。もうあのレイピアは使い物にならないな。「そんな、わたくしの美しいレイピアが……。あんな品のない真っ赤な槍如きに砕かれるなんて……!?」 おい、訂正しろ。カッコいいだろ、自信作なんだぞ。その無駄な装飾が施された実用性のなさげな剣よりはマシだろ。「しかもあなたは平凡な魔導士だったはず。なぜこんな芸当ができるというの?
Terakhir Diperbarui: 2026-01-03
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