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人気俳優に溺愛されています〜after story〜イン.ハリウッド

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-08-17 18:19:00
 こうも私が変われたのは、本当に昴生のおかげ。

 あれから死にたいだなんて一度も思わなくなった。

 それよりも、結婚式はどんな風になるだろうかとか、その先の新婚生活はどんなだろうかと、ワクワクするような未来のことばかり考えている。

 私の誕生日に合わせての結婚式。本当に楽しみ。

 まさか私が人気俳優の綿貫昴生と結婚するだなんて、一体誰が思っただろう。

 だが、待ち合わせした場所にはまだ昴生の姿がなかった。

 なるべく人目につかないよう、客室がある階層にしたのだが。周りは静かだ。

 そのエレベーターホール付近で人な話し声がした。

 気になって近づいてみると———。

 「だから、———言ったじゃない!」

 フワリと、長く美しい、カールした金髪の髪が揺れる。

 そこにいたのは、今夜、主演女優賞を受賞したハリウッドスター「キャスリン・カヴァデイル」と、待ち合わせしていた昴生の、二人だった。

 「…昴生?」

 「侑さん?」

 どうしてあのキャスリンと、昴生が一緒に?

 「アナタが、コーセーのパートナー?」

 まるで映画の世界から飛び出してきたかのような美貌のキャスリンは、大胆なスリットドレス姿でなぜか昴生に接近していた。

 しかしキャスリンは私を見るなり、決してテレビやメディアでは見ないような険しい顔をして言った。

 「ふん!大したコトないわね!」

 え……?

 感想は、日本語上手だなとか色々あったけれど、そんなことどうでもいいくらい罵られたのが分かる。

 どうして私がキャスリンに睨まれてるの?

 訳が分からず、呆然としていると。

 さっきまで向こうにいたはずの昴生がいつの間にか隣にいて、私の右手を取ったのち、キスをしてキャスリンを冷たく見おろした。

 「??」

 「キャスリンさん。失礼では?俺の侑さんは、他の誰も敵わない、素敵な女性ですよ。」

 天下のハリウッドスターにも堂々とたんかをきる昴生。やはり只者ではない。

 「…!コーセー!そんな人より、ワタシのほうがイイでしょ!?年齢だっておばさんじゃない!」

 確かに、キャスリンはまだ二十代後半のはず。

 ともかく、なぜ昴生とキャスリンが睨み合っているのか。

 「分かってないですね。キャスリンさん。侑さんのこの大人の魅力がいいんじゃないですか。それに比べてあなたは」

 ハッ、と昴生はキャスリンを冷たく一瞥し、私の肩を強く引き寄
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