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Novels by Kaya

憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う

憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う

凛音は罠に嵌められ、愛する朔夜に信じてもらえず、車の事故で命を奪われるはずだった――。だが、運命のいたずらか、彼女は他人の身体に転生し、記憶を抱えたまま再び朔夜のもとへ戻る。真相を突き止め、復讐を果たすために動き出す凛音。しかし、冷酷な朔夜は以前とは違い、執拗に彼女を追い求める。裏切りと憎悪を胸に、心を閉ざしながらも、彼の視線に胸が揺さぶられる————。誰が彼女を陥れ、誰が守ろうとしているのか。別人へと転生した元秘書×冷酷になったCEO、愛と復讐が交錯する極限の心理戦が、今、幕を開ける。
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Chapter: 第32話:アリバイ
私はアパートの一室に帰り、いつものように上着をハンガーにかける。ただ、ソファに座った新は、まだどこか不機嫌そうだった。いつもの柔らかい笑顔の裏に、かすかに苛立ちが混じっているような気がする。「あの、新さん?」新に私は明るく声をかけた。「座って楽にしてください。今お茶を淹れますね。」「あ、いえ……!その、こちらこそ、すみません!長居するつもりはないので、お気遣いなく!」新が慌てて腰を上げようとするので、私は静かに微笑を浮かべる。「ゆっくりしていって大丈夫ですよ。私ひとりですから。」「……それが、まずいんですよ。」顔を赤らめながら、彼はソファに腰を落ち着かせた。新……?私はキッチンで緑茶を入れ、彼の前に湯呑みを置いた。しばらく彼は立ち上がる湯気を見つめ、沈黙を貫いた。「良かったら飲んでください。」私も彼の前に腰を下ろして、向かい合う。「……ありがとう。そう言えば、光咲さん。さっき、足を引きずっているようでしたが、どこか怪我でも?」「大丈夫です、たいしたことはありません。」一瞬どきっとした。だってスーツの下の怪我は見えないはずなのに。新の勘の良さに驚かされる。少し前に、襲撃されたということは黙っておこう。余計な心配はかけたくない。「本当に?それならいいんですが……こんな時間まで、朔夜と仕事して、なにかあったんじゃないかと思いまして。」これ以上悟られないよう、私は会話を遮った。「本当に大丈夫です。仕事だったのも本当です。それより、こんな夜遅くにどうしたんですか?」こんな時間に新はわざわざ家の前で待っていた。よほどの急用があったはずだ。「凛音の事件のことで、少し思い出したことがあって。
Last Updated: 2026-05-06
Chapter: 第31話:気まぐれな優しさ
「痛むか?」「いえ、大丈夫です」鷹司家の家族オフィスと併設された私有地の一室。そこで、私は朔夜から怪我の治療を受けていた。「あなたは本当に素直じゃないな」「素直じゃない?私は本当に大丈夫だと……」「いや、あなたはいつも『自分は大丈夫だ』という顔をしているが、俺にはそうは見えない。」朔夜、あなた一体何を言っているの?ほんのわずかな時間でも、この男と一緒にいるのが嫌だ。自分を地獄へと突き落とした男。そんな男に足の怪我を治療されるだなんて。それに、体調が悪そうなあなたにだけは言われたくなかったわ。「これで大丈夫だろう。」不機嫌そうな顔とは裏腹に、朔夜の手つきはとても優しかった。かつて凛音がケガをした時にも、こうやって手当てをしてくれた覚えがある。あの時と同じ。頼むから、優しくしないで……私はきゅっと唇を噛みしめ、この時間が過ぎ去るのを待った。慌ただしく警察が駆けつけ、現場を調べたが、男の行方はわからなかった。「防犯カメラを調べましたが、犯人と思われる男の姿がどこにも写っていませんでした。死角を知っていた可能性があります。」庭園の構造を知っている……家族、もしくはグループの内部犯で間違いない。それに男だった。私を狙っていたということは、私に消えて欲しいうちの誰かということだろう。燈か、御堂悟、あの警部。もしくは朔夜の指示……?もしも朔夜が、親切を装っていて、実は裏で殺害を指示していたとしたら。誰も信用などできない。朔夜もそう――ただ、もし朔夜だとすれば、あえて犯人を撃退する必要はないはずだ。ということは、少なくとも今回の襲撃の容疑者からは外れる?いや、警戒するに越したことはない。警察
Last Updated: 2026-05-04
Chapter: 第30話:襲撃
再び、家族オフィスでの調査。今夜は、鑑定士達は連れてきていないと言う。久しぶりに朔夜と顔を合わせたが、顔色が悪く、疲れているようだった。「朔夜さん、どこか体調でも悪いんですか?」美術管理室前。 朔夜は背後に警備員を連れ、一瞬私の言葉に戸惑うような表情を見せた。「いや、体調は悪くない。心配は無用だ」つんとした返事。まあ、そうよね。いくら私が心配したところで、あなたにとって私は、ただの他人でしかないんだもの。私たちは、まるで何かに取り憑かれたかのように、美術品の調査に没頭した。朔夜には、例の海外コードのことは話していない。いずれあれが、朔夜や燈の弱みになるかもしれないから。しばらく真剣に美術品を調べ、朔夜とも最低限のことを話し合った。だが、相変わらず二人きりの空間は苦痛だった。 本当なら今すぐにでも部屋を飛び出したい気分だ。常に理性と嫌悪の狭間で戦っている。しばらくして会話が途切れ、沈黙が襲った。そのタイミングで、私は朔夜に一歩踏み込むことにした。「失礼を承知でお聞きします。 ――婚約者の凛音さんって、どんな方だったんですか?」朔夜の手が止まった。 表情があっという間に険しくなる。「なぜ、それを今あなたに、話さなければならない?」相変わらず嫌な言い方をする。「まあ、そうですよね。ただ、気になったんです。何度も私に“似ている”と言っていた方が、とんな女性だったのかが。」――心臓の鼓動はうるさかったが、私は平常心を装い、朔夜の顔を見つめた。「この前も言ったじゃないか。似ていないと。 勘違いだったと。」朔夜は明らかに怒っているようだった。もしも私が凛音だと言われたら即、ゲームオーバー。命が消える。わかっているけれど、私も必死になるしかない。 あの日の真実を知るために。自分自身の命を守るためにも。「彼女を恨んでいるんですか?」「それ以上言ったら、許さない。」荒々しくなる朔夜の声、態度。凛音を罠に嵌め、殺したから? 事実を知られたくないから?教えて――朔夜。あなたは私のことを―― その時、静かな美術管理室に彼のスマホの着信音が鳴り響いた。「失礼。」朔夜は私に短い断りを入れる。「もしもし?  ああ、工藤さんですか。 こちらこそ、この間は一緒に食事をしていただき、ありがとうございました。」電話口
Last Updated: 2026-05-02
Chapter: 第29話:三人の男
新にアザのことを打ち明けた。彼が《死を望まなかった者》だったらいいなと、願ってしまったからだ。「青いアザが?しかも、突然だなんて……そんな不思議なことがあるんですね。」新は興味深そうな反応をして見せたが、どうやら心当たりはなさそうだった。残念。まあ、そうか。私達はあくまでただの幼馴染だった――それだけのこと。がっかりすることじゃないわ。店を出ると、外は生ぬるい風が吹いていた。もうすぐ梅雨の時期だ。いつの間にか季節はかなり進んでいた。今回もまた新が送迎してくれるという。断ったけど、前回とまったく同じで彼は意見を譲らなかった。「ごちそうさまでした。こんなに高い店……なんだか申し訳ないです。」シートベルトをしながら、私は運転席に座った新にお礼を言った。新は笑い、ハンドルを握った。「本当に気にしないで。光咲さん。一緒に食事ができて良かったよ。」「……はい。」私は遠慮がちに答える。だが、あくまで演技だ。「これからも、時々こうして、一緒に食事をしてくれると嬉しいな。」「もちろんですよ。」私は笑顔で、ついに復讐へとシフトを切り替える。大きく息を吸い込んで――ごく自然と、日常会話のように話題を振る。「それにしても深瀬……新さんが、あの朔夜さんとお知り合いだったなんて驚きました。」「朔夜……?なに?彼のこと、なにか知りたいの?」一瞬、新は目を大きく見開いた。「あ、いえ。そういうわけではないんですが……少し気になって。ビジネスパートナーだから、契約者のことは把握しているんですけれど。朔夜さんの――亡くなった、婚約者のことについて。」大きく踏み込んだ。自
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: 第28話:何も言わなくていい(新side)
俺の前に突然現れて、目の前で倒れ込んだのも。ラグジュアリー・ログハウスで、ちょうどいいタイミングで目覚めたのも。本来なら、警戒すべきシチュエーションだったはずだ。俺のCEOと言う肩書き目当てに、よく知りもしない女が時々、近づいてくることがあったから。滞在先のホテルで、見知らぬ女に待ち伏せされたこともある。『深瀬新さんですよね?CEOの。ずっと好きでした……』その時俺に迫ってきたのは、どこかの社長令嬢だったが、本当に不快だった。あんな誘いに乗るわけがない。いくら俺に婚約者がいないからって。俺にはずっと凛音だけだったから。 彼女が死んだ後も……だが、月島光咲は、それまで出会ったしたたかな女たちとはどこか違っていた。『深瀬さんは、優しい人なんですね。』俺の肩書きを知っても、態度を一変させたりしなかった。むしろ、一緒にいるのがごく自然で。凛音とはまったく違うのに。身長も、体型も。髪色や髪型も、目も口も鼻も。 声も凛音より軽くて、明るめなのに。それでも、なんだろう。 そばにいると落ち着くというか……まるで凛音と一緒にいるみたいに思えて。 惹き込まれた。凛音を想っているのは変わらないのに、おかしな話だなと自分でも思っていたけれど。しかも、彼女は朔夜とプライベートアドバイザーで仮契約を結んだという。美術品に接点があるのも似ている。 どこかで彼女のことを怪しいと思いながらも、誘われて一緒に食事をした。その時に、彼女の箸の持ち方がふと気になった。確か凛音も独特で――だが、偶然にも朔夜に会ったことで、それどころじゃなくなってしまった。なぜか朔夜は光咲さんを外に連れ出した。二人を見失って、再び合流すると、光咲さんはなにごともなかったかのように淡々としていた。けれど――俺には、わかる。彼女は強がっているって。だって、手が震えていたから。朔夜?お前、光咲さんになにをしたんだ?凛音のことでも、まだお前を許せてないのに!気丈に振る舞う光咲さんが、やはりかつての凛音と重なって見えてしまった。凛音もそうだった。仕事でミスし、朔夜に叱られたと言った夜。 辛いはずなのに、凛音は、俺の前では平気な顔をしていた。なぜかそれが、強烈に思い出されて。「心配なんです、あなたが―― なぜか、放っておけないんだ。」この言葉も、無意識に出
Last Updated: 2026-04-28
Chapter: 第27話:見守る愛(新side)
いつからだったのだろう。俺が凛音を好きになったのは。凛音とは、名門私立小学校からの付き合いだった。元々、一歳年上の朔夜とは幼稚園の頃からの付き合いだったけれど、凛音とは小学校で合流。 彼女の実家である高遠物産が、上場企業になってからだ。それぞれ、違う企業形態を経営する親を持ちながら、家族ぐるみの交流のために仲良くなったけれど――「朔夜。」凛音はいつも朔夜の後をついて回るような、おとなしい子だった。ただ、時々、正義感の強い面も存在した。弱いものいじめや、他人が間違ったことをしてると、人を助け、必ず正しいと思う行動に出た。キラキラと、眩く輝く凛音。いつしか、そんな彼女から俺は目が離せなくなっていた。だけど、俺は気づいていた。凛音の目が、いつも朔夜を追っているということに。 無自覚な憧れは、きっといつか本物へと変わるだろう。早くから俺は、失恋の覚悟をする必要があった。 少・中・高と、同じ付属の学校へと進み、やがて凛音が、朔夜への想いを自覚。学年で言えば朔夜は凛音より二学年上だったけれど、幼馴染の二人に距離感はほとんどなかった。 「新。私……朔夜のことが好きみたい。」ついに、恐れていた日が訪れたけど――わかっていただけに、冷静になれた。「そう、なんだ。応援するよ。」俺は凛音はもちろん、朔夜のことも人間として好きだったから、彼女の恋を応援した。その後二人は運命のように付き合うようになり――。 大学まで三人一緒で、あとはそれぞれの道へと進んだ。それから二人は政略結婚のための婚約を結んだ。鷹司グループ内での立場が弱い朔夜のため、凛音の両親は彼に快く協力してくれたのだ。凛音は朔夜の婚約者兼、秘書として鷹司ホールディングスで働くことになり、いつも誇らしげだった。「新。私には朔夜が全てなの。 彼のためなら、私はなんだ
Last Updated: 2026-04-26
愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!

愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!

日本でアラサー主婦だったのに、気がついたら不倫恋愛ロマンス小説に登場する、性格の悪いアデリナに憑依していた!? しかも素人作品!?未完成!? このままでは夫のローランド王がヒロインと出会い、最推しの息子、ヴァレンティンが悲惨な死を迎えてしまうバッドエンドに! よし。すぐに離婚しよう!…と思ったのに? 性悪妻に憑依した元日本人アラサー主婦×愛のために自分の息子を殺す運命の王。 二人の離婚劇の行末は?
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Chapter: 番外編・レェーヴの隠れた恋心
 第一印象は、すげえ変わった王妃だなと思った。 わざわざ俺達のいる危険なアジトに潜入して、呆気なく自分の身分を明かすし。 しかも略奪や破壊行為をやめたら、俺達の故郷を返してやると提案までしてきた。 自分が損しかしてないのに? 馬鹿な女だ。そう思っていたのに。 案の定フィシが裏切り、夜中に部屋に暗殺者を送り込んでまで俺を殺そうとして。 だけど王妃が身を挺し、俺を助けて…… 「こんな昨日、今日会った相手を守ろうと捨て身で飛び込むなんて、あんたは馬鹿なのか!」 そう言って怒鳴ればヘラヘラと笑う。 こんな変な女、見たことない。 それにめちゃくちゃ鈍い。 俺が男装した妹だと本気で思ってる。 命を助けられた。けど大恩を恩着せがましく言わない。 性悪妻とかいう噂は全部嘘だった。 相当変わった王妃。 ……何て面白いんだ! 一緒にベッドに寝転び、俺が男だと分かった瞬間の、あの時の引き攣った顔もそう。 勝手に王宮に住み着いた俺の世話をなんだかんだ焼いてくれるし。 時にたくましく、強かで、鈍くて、常にローランド王のことを考えてる。 しかもローランド王もまた…… こりゃ、付け入る隙もねえな。 そう思って諦めていたのに。 あの性悪看護師リジーの一件で、アデリンと一緒に俺達は南の町に移り住んだ。 出産に育児、共同生活。 アデリン達と過ごす時間は本当に楽しくて。 いっそこのままローランド王と本当に離婚してくれたらなあって考えたりもしたけど…… やっぱり来るんだよな。ローランド王は。 だってこの男がアデリン以外を愛するわけないだろう? 分かってたけどさ。 レェーヴン一味を率いてこの王に楯突いてみようか? なんてな。 そんな事を考えながら、
Last Updated: 2025-10-05
Chapter: 番外編・ホイットニーの願い
 私はホイットニー。 このクブルク国の王妃陛下、アデリナ様の侍女だ。 アデリナ様は性悪妻で、実家の加護を盾にローランド様を財布代わりにしてるだとか、税金を無駄遣いしてるとか言われてるけど、それは絶対に違う。 「キャアアアアアッ!ホイットニー! 今日、ローランド様と目が合ったの…! あのツンとした表情、あの見下したような冷たい瞳! 堪らないわ…!カッコ良すぎて心臓が止まってしまうかと思ったわ!」 ご覧の通り。 アデリナ様はすごくローランド様を愛されていらっしゃるのです。 お顔を真っ赤にして好きな人のことを話す、とても可愛らしいお方。 私はそんなアデリナ様が大好きです。 だけどある日を境に、アデリナ様はお変わりになられた。 「ホイットニー! 私はあの男と離婚したい……!」 ……作戦を変えられたのかしら? だってあんなに好きだった方と別れたいだなんて。まるで別の人のよう。 それにアデリナ様は自分がアデリナ様じゃないと私に言ってくるのです。それも真剣な顔して。 アデリナ様。 アデリナ様……いいえ、あなたはアデリナ様です。 だって……じゃなきゃ。あのアデリナ様はどこへ行ったというのですか? 幸せになって欲しかったのです。 ローランド様は寂しい幼少期を過ごされ、愛を知らないお方だからこそ、アデリナ様に愛を教えて貰いたかったのです。 でも今は……あの方はきっと本当のアデリナ様では無いのだろうけれど、生前アデリナ様が懸命に取り組んできた事を生かし、結果的にクブルクのために動かれていらっしゃる。 悪くはありません。アデリナ様と同じくらい愛くるしいお方です。 それにローランド様は今のアデリナ様をおそらく……… こうな
Last Updated: 2025-10-04
Chapter: 番外編・ランドルフの女神
 私はクブルク国内の有力な侯爵家の次男。 自分で言うのも何だが、頭がいい。 この国の王でいらっしゃるローランド・フォン・クブルク王。 ローランド王に仕えてからは、誰よりも彼を優先し、誠心誠意尽くしてきた。 早くに前王を亡くし、二十代前半で王となられたローランド王。 彼がいつも人にも自分にも厳しいのは、国の危機的情勢を考えての事である。 威厳を保ち、クブルク侵略に目を光らせているぞという周辺国へのアピールでもある。 そんなローランド王が半ば強引に娶らされたのが、マレハユガ大帝国の第一皇女、アデリナ王妃だ。 はっきり言って私も当初は、アデリナ王妃が大嫌いだった。 ローランド王を自身のプライドの為にあちこち引っ張り回し、高いものを買わせ、貶して嘲笑う。 完全なる性悪妻。お可哀想なローランド王。 癒しが欲しいであろうに。 だが……ある日を境にあの王妃は変わった。 しかも180度。というよりもう別人だ。 私が一番初めに驚いたのはまずこれだ。 アデリナ王妃はルナール一派の問題解決の際に、荒れた鉱山から金を見つけ、それを最適なタイミングで届けて欲しいと私に直接依頼をしてきた。 そんな馬鹿なと思いながらも、急いで調査を進めると…… 何と。あの鉱山には通常の倍近い金が含まれている事が判明したのだ! 何ということだ……! 無価値だと思われていた鉱山を購入したのは、この為だったのか……! 私はこれまで自分が間違っていたことを悔い改めた。 アデリナ王妃は……性悪妻と見せかけてこのクブルク国を救う、女神様だったのだと!! それ以降、私は女神様をひっそりと敬うようになった。 時々—————— 「めが…‥じゃない、王妃陛下。」
Last Updated: 2025-10-03
Chapter: epilogue.愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依しましたが、何やら幸せです
 リジーの件以降、王宮で私の悪口を言い、責め立てていた官僚や兵、侍女達はすっかり勢いを失い、大人しくなっていた。 皆あの時は、まるで魔法にかかっていたみたいだと口を揃えて言ったそうだ。 彼らには降格や謹慎処分、減給など、罪の重さに応じて処罰が下された。 あれからリジーはサディーク国の修道院で真面目に働いているという。 東部地方の守護神となったルナール一派は、時々レェーヴと連絡を取り合い、外敵からクブルクを守ってくれている。 軍事協定を結んだアルバ達もまた、諸外国の動きを把握し、軍備やクブルク国の防衛に協力してくれている。 サディーク国では「聖女祭」という祭ができたそうで、建てられた巨大な聖女像は明らかに私だった。放っておこう。 ちなみにローランドが私を探す時に使ったという聖遺物、あの十字架は、私が触るとまたすぐ使えるようになったみたいだ。 [癒しの力を使いました 聖遺物の力が全回復しました] ………って感じで。 皆の親密度は大体安定している。 だが皆かなり数字が高い(…何で?)。 そしていつも賑やかな現場には、今日もあの人がやって来る。 爽やかな銀の髪を上品に靡かせ「氷の王」と呼ばれ、皆から恐れられていた男。 愛を知らず、誰よりも愛を求めていた人。 だがそれは最早過去の話。 「アデリナ。やっと会えたな。 今日も綺麗だ。 愛してるよ。」 周囲の男達には目もくれず、ローランドは片膝を落とし、今日も欠かさず私の手の甲にキスをした。 そして私だけに最高の笑顔と、最高の愛の囁きを送る。 今や彼の異名は「溺愛王」。 アデリナ王妃と息子のヴァレンティン王子をどこまでも愛する王と言われ、多くの国民達に親しまれている。 私が初めてアデリナに憑依したあの日。 離婚してと迫ったあの時。 誰があの最悪な出会いから、こうなることを予測できただろうか?
Last Updated: 2025-10-02
Chapter: epilogue.愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依しましたが、何やら幸せです
 ◇ 「か、体が持たない………」 散々ローランドに求められるのは幸せなんだけれど、とにかく容赦がない。 というより回数と時間が半端ない。何であんなに元気なの?あれが王の資質!? いや、関係ないか。 「ええ?うふふ。アデリナ様ってば。 愛されていて本当にお幸せそうですね。」 今日もホイットニーは可愛くうふふ〜と笑ってティータイムの為のお茶菓子セットを用意してくれている。 「だから言っただろ。 今ベタベタしたら逆効果だって! ローランド王はお前にベタ惚れなんだ。 煽ってどーする」 ブツブツと文句を言いながら、今日もレェーヴは私の向かいの席で焼きたてのクッキーをつまみ食いしている。 「アデリナ様。いくらあの時子供が産まれたら消えると約束したからって、まさか本当に消えるだなんて。 ……全く。陛下には貴方しかいないんですから。 今後は勝手に消えたりしないで下さいね。 分かりましたか?」 その隣でイグナイトが説教を垂れ、チョコレートケーキを上品に味わっている。 明らかに方向性が違う気がする。 もうローランドの事は諦めたのかな? そう言えばイグナイトの持っていたローランドのあの写真集、今度こっそり見せて貰おうかな。 特にNo.6の、ローランドの肉体美のやつ… 「いや、アデリナ様。 もしローランド王と離婚したくなったら、その時はぜひ我がサディーク国へ! 貴方ならば聖女として、皆から大歓迎されるでしょう。」 さらにその隣にはオディロン王太子。 なぜいる? そして—————— 「アデリナ様……ヴァレンティン様、すっごく可愛いです! もし彼が少し大きくなったら、僕が剣術を教えても良いでしょうか?」
Last Updated: 2025-10-01
Chapter: そして始まるイチャイチャ!馬鹿夫婦と言われて……
 「アオイ。好きだ……」 から始まったローランドとの甘いスキンシップ。 ソファの奥に私を押し倒し、片膝を乗せて体重をかけてくる。 「ん……ローラ……ン、」 体温の高い掌が頬を撫で、やがてローランドはソファを軋ませ、私の唇にキスをした。 キスってこんなに気持ちいいものだっけ? 「はあっ……アオイ。 産後の調子はどうなんだ? どこも悪くはないのか?」 「っ、はあ……っ、大、丈夫ですよ。 癒しの力があるからかな?」 「そうか。……なら思う存分、愛し合えるな。」 「え?」 熱い吐息と伴に唇にまたキスされ、掌で頬を優しく撫でられ、そのうちキスは頬、首筋、鎖骨へと移っていった。 首筋に至ってはキスマークが付くほど強く吸われた。 熱い……どうしよう? だんだん目が覚めてきた。 「っ、はあっ……アオイ。」 「ローランド……っ。」 狭いソファの上で見つめ合い、これでもかと言わんばかりに体を密着させる。 獰猛な獣のように鋭い目をしたローランドが、心地よさそうに甘い息を吐いた。 「お前に好きだとか、愛してるだとか言われたらもう、我慢ができない。 覚悟するんだな、アオイ。」 ローランドはさっと立ち上がると、そのまま私を軽々と抱えてベッドへ下ろした。 「え?あの……?ローランド?」 「アオイ。これまでずっとお前を抱きたくて我慢していたんだ。 今夜はもう……離してやらないからな。」 ローランドの目はやはり獣のようにギラギラと鋭く光っていた。 私も顔を赤くして、ローランドの激情を
Last Updated: 2025-09-30
悪役令嬢と流星の約束〜婚約破棄と契約結婚で愛と運命を逆転させる

悪役令嬢と流星の約束〜婚約破棄と契約結婚で愛と運命を逆転させる

ロジータは、醜い嫉妬により、婚約者のエルミニオに殺される運命だった。 だが、ロジータは自分が『奴隷になった私が、王太子の最愛になるまで』という、〇〇禁小説の悪役令嬢に転生したことを思い出した。 悲劇的な運命から逃れるため、ロジータは当て馬のルイスに契約結婚を申し込むが…? 果たして、二人は互いの悲劇的な運命を変えられるだろうか! ※死ぬ運命の悪役令嬢×ツンデレだけどスパダリな第二王子
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Chapter: エピローグ:流星の約束【完結】
二人で星を見上げた。確かキャンプの日だ。 いつか一緒に。 いつか結婚して、夫婦になろう。 そう誓った時、空には流星が———。 --- あれから二度目の流星祭りが開催されている。 主催者はマルツィオで、ビアンカとはあんな形になってしまったが、彼は今でも数多くの国民に愛されている。 あれからエルミニオは一般人として、立派に働いているそうだ。 モンテルチの神官は処刑、ビアンカは幽閉。 リーアは監獄で、地獄のような日々を送っているらしい。 一方、私とルイスは補佐役で、去年の比ではないくらい目まぐるしく動いていた。「ルイス様!ロジータ様!」向こう側から、手を振って歩いてくるアメリアとマルコたち。「アメリア、マルコ。」爽やかな笑顔を浮かべる、ダンテもいる。 そういえばダンテは目標金額を貯めて、お母様の離婚を勝ち取ったと。 良かったわね、ダンテ。 これで少しは、お母様と気兼ねなく過ごせるかしら。「それではまた後で!」三人はこの後出店に行くという。 楽しんでいるみたいで良かった。 多くの国民。家族が笑顔で私たちの横を通り過ぎて行く。 この後私たちも仕事をひと段落させて、二人きりであの赤い屋根の塔に登った。「わあ、見て!ルイス!」塔の最上階から見た星空。 手を伸ばせば届きそうに感じる。「ロジータ、手を。」今夜のルイスと私のドレスコードは煌びやかな群青色。 星の刺繍が裾を彩る。 輝く空の下で、私とルイスはダンスを踊った。「実はあなたのことを理佐貴じゃないかと感じたのは、ずっと前だったのよ。」「俺もそうだ。何度も何度も。 お前に懐かしさを覚えていた。」ルイスとの幸福なダンス。 嬉しくて回転していたらまた———滑った。 こんないい雰囲気で、例のドジが発動しなくてもいいでしょ!「きゃ!」「ロ
Last Updated: 2026-01-31
Chapter: エピローグ:流星の約束
全てを丸く収めたマルツィオが、ルイスの前で誠心誠意、頭を下げた。「これまでお前に冷たくして、済まなかった。 キアーラの死をどうしても受け入れることができなかったんだ。 幼いお前のせいじゃなかったのに、私は残されたお前にどう接すればいいか、分からなかったんだ。」彼の前妻、キアーラ王妃への愛は深く。 私たちもまさか、マルツィオがリーアの真実を暴くとは夢にも思わずに。 ルイスは少し寂しげに微笑し、マルツィオに優しく応えた。「大丈夫です、父上。お気持ちはよく分かりましたから。 俺にも大切なロジータがいます。だから分かるんです。」「ルイス……!」良かった。二人の間の長い蟠りが解けたようで。 これからは親子仲良く、ヴィスコンティを導いていくことだろう。「ロジータの刻印が変化したのも、治癒力が使えるようになったのも、この世界の本物の神がお前たちを認めたからだろう。」マルツィオの言葉には感慨深いものがある。 確かに、私たちは本来の物語になかった道を歩んできたし…… それに、終盤では原作者も消えた。 リーア(ルクレツィア)の思い通りになることもなかった。 つまりこの世界の本物の神が、世界に干渉した、ということだろう。 あの禁書庫で聞いた女性の声。 あれが、ヴィスコンティの神話に登場する、星の女神だったのかもしれない。 --- これまで、本当に長かった。 私とルイスは宮殿のテラスから、二人で眩しい夜空を見上げた。 ヴィスコンティは星にまつわる伝説の多い国。 その瞬間も、宝石みたいに散らばる星が、空一面に輝いている。「『俺は大丈夫だよ、心配しないで。』と言いたかったのに、声が出なかった。 あの時、病室で…… 涙を流す君に触れて、安心させてやりたいのに、できなかった。 自分は何て無力なんだろうと。 泣いてる君に申し訳なさを感じながら、少しずつ目の前が真っ暗になっていった。 “約束守れなくて、ごめん”な。 あの言葉を、ずっと言いたかっ
Last Updated: 2026-01-30
Chapter: 第三章:運命の大逆転
ルイスは確かに七央と呼んだのだ。琥珀色の瞳で、しっかりと私を見つめて。「理……佐……貴?」喉がごくりと鳴る。また都合のいい夢でも見ているのかと。彼は傷の塞がった胸を見ながら、全ての状況を飲み込んだかのように頷く。私の手に支えられて、ゆっくりと上体を起こした。ダンテもエルミニオたちも、時が止まったように私たちを見ている。「黒い髪に、黒い瞳。名前は白石七央。俺たちは同じ大学だった……初めて会った時、すごく明るくて、可愛い子だと思ったんだ。だから告白した。趣味が似ていたよな。星が好きで……よく二人で望遠鏡を持って、キャンプに出かけた。暑い浜辺で、デートもした。あの時の七央、可愛かったな。結婚しようと、約束したよな……なのに。ごめんな。俺があんなことにさえならなければ……」「……私がおかしいのかな。なんだかルイスが、理佐貴に見えてくるわ。」目の前にいるのはルイスなのに、そのはずなのに。ルイスの姿と、かつて大好きだった恋人・理佐貴の姿が重なって見える。涙がまた溢れてくる。「おかしくないよ、七央。俺は、俺だったんだ。ずっと———お前のそばにいたのに、気づかなくてごめん。」彼が優しく囁いて、私の涙をそっと拭き取ってくれる。それから私の肩を抱きしめ、引き寄せる。どくん、どくんと心臓が音を奏でる。温かくて、どこか懐かしくて。私の知ってるルイスであり、理佐貴だ。夢なんかじゃない。これは現実だ。だって今目の前にいるルイスの中に、確かに理佐貴の存在を感じるのだから。「やっぱり、あなただったの……?理佐貴。会いたかった!」
Last Updated: 2026-01-29
Chapter: 第三章:運命の大逆転
原作者がロジータの脳内に直接語りかける。《ロジータ・スカルラッティ、お前は、物語の悪役令嬢だ!エルミニオとリーアの愛の物語を完成させるため、死ななければならない!》彼の怒鳴り声と、リーアの荒々しい声とが重なる。「あなたのせいよ!死んで!」リーアに狙われた私は逃げる暇もなく、反射的に目を閉じる。どこかで聞いたことのあるような、重く鈍い音が響く。あれ……?私、死んでない………。次の瞬間、エルミニオとダンテたちが叫んだ。「ルイス!?」「ルイス殿下!」「ルイス様!」ルイス……?瞑っていた目を開けると———。私の目の前で、ルイスがリーアにあの剣で胸を突き刺され、口から血を流していて……「そんな……ルイス、私はただ……」リーアは困惑した姿を見せ、剣を手放した。そうして、血のついた手を振り払う。あの時と同じだ。私がエルミニオに心臓を突き刺されたあの時と。息もできないほど、痛くて苦しいはずなのに。「ロジータ……無事か?お前が無事でよか……」「だめ、ルイス……」なぜ、私たちはまた、一緒になれないの?また?私は膝をつき、血で体が染まっていくルイスを抱き止める。「ロジータ様、無理に剣を抜いてはいけません!」あの時———エルミニオは、私から容赦無く剣を引き抜いた。そうして、虫の息だった私をルイスが救ってくれた。まずは剣を抜かなければ、何も始まらない。血が出続けるルイスの心臓を抑えながら、私は驚くほど冷静だった。アメリアはルイ
Last Updated: 2026-01-27
Chapter: 第三章:運命の大逆転
あの後、エルミニオに無理やりベッドに押し倒され、「ルイスと離婚しろ」とまで脅される。確かにエルミニオは私が14年間も愛した人。しかし今は、全くときめかない。嫌悪感だけが募っていく。本当の愛というのは、こんな自分勝手なものじゃない。「ロジータ。お前はもう逃げられない。」「私に何かしたら、後悔しますよ。」———と言ったら、今度は泣くし。一体何なのだろう。エルミニオの情緒が壊れてるのだろうか?リーアに操られたせい?彼もまた物語に抗っているのかもしれない。「俺が間違っていたんだ。ずっと、リーアを愛していると思い込んでいた。だが、リーアはどこかおかしい。その違和感に気づいてから、俺はもうリーアを信じれなくなった。だが、ロジータ、お前は違う。お前はかつて、温もりと優しさ、そして純粋な愛を向けてくれていた。その優しさに胡座をかいていたのは俺だったんだ。失ってはじめて、お前の大事さに気づいた。」そう号泣されても困る。私にはもう、エルミニオの大事さはルイスの爪の垢ほどもない。冷たい女かもしれないけれど、先に裏切りを働いたのはあなただ。だからこそ、いつまでも、物語に。リーアに踊らされていればよかったのに。「だが、それとこれとは話が別だ。俺から逃げようとした罰だ。ルイスが貪ったこの体を味わうのは、俺のはずだった。だから今からお前を奪う!お前に俺を刻み、ルイスのことなど忘れさせてやる!」「やめて……っ、私がルイスをどれだけ愛しているか……っ、私がルイスじゃなきゃ駄目な理由がたくさんある。あなたではルイスの代わりにはなれない!一生ね!大事だと思う誰かを裏切る時点で、あなたには愛を語る資格なんてないのよ!エルミニオ・ヴィスコンティ!」———人は、大切な誰かを想うことで変わる。私はルイスを。ルイスは私を。最初から私たちが結ばれない運命だったのだとしても。『星の刻印』が変化したように———私は何度だってルイスのために奇跡を起こす。「愛してる。ロジータ。もう離さない。」エルミニオが私の首筋に勝手に顔を埋める。勝手に指を絡ませてくる。私、ルイスを愛してる!こんなことされるくらいなら死を選んだ方がましよ!「ルイス———!」力の限り彼の名を呼ぶと。バタンと扉が開いた。「兄さん……いや、エルミニオ・ヴィスコンティ!血迷った
Last Updated: 2026-01-25
Chapter: 第三章:リーアの暴走
ルイスを弄んであげようとしたところへ、見張りの兵が慌てた様子で戻ってくる。「何ですって?エルミニオ様が来ない?」あのモンテルチの神官と同様、私を崇拝する兵たち。その一人が、気まずそうに目線をさげる。彼が言うには、確かに途中までは、エルミニオ様はこちらに向かっていたのだという。しかし、後になって、来た道を引き返すのが見えたと。「エルミニオ・ヴィスコンティ……!私があなたのヒロインで、あなたは私のヒーローなのに!私たちは絶対に結ばれるべき運命なのに!ばかにして!」ああああ!!っと叫び、また私はそこら中にあったティーカップや皿を床に投げつける。怒りが収まらない。原作者も私の手のなか。原作の知識も教えてもらって、完結間近まで知っている。急遽、原作の改変までしたのに……なんでこう、うまくいかないの!?一体、何が私の物語を邪魔しているの!「引き続き、エルミニオ様を追いかけて!早く……!」私が怒鳴り声をあげると、兵たちは慌てた様子でその場から立ち去って行った。ガリガリと爪を噛みながら、気を取り直してもう一度ルイスのいるベッドへと足を運ぶ。しかし、またしても———バタンと、荒々しく部屋の扉が開く。「今度は何……!」振り向いた瞬間、体が金縛りにあったように動けなくなった。え……?何これ!塔の扉を無理やり開いたのは、彼ら———。「やっぱり、あなただったんですね!リーア・カリヴァリオス様!」何でこの者たちがここへ……?「ルイス様を返してください!」ただのモブ———であるはずの彼らが一体なぜ、この場所
Last Updated: 2026-01-24
なぜか人気俳優に飼われています〜消えるはずだった私がまさか溺愛されているなんて〜

なぜか人気俳優に飼われています〜消えるはずだった私がまさか溺愛されているなんて〜

「侑さんがもう駄目だと思うなら、残りの人生俺に下さいよ。」 常磐侑34歳。 女優としてしか生きれない不器用な女は人気が低迷して、心を病んでいく。 そんな時に後輩俳優である綿貫昴生が甘い言葉を囁いた。 ※疲れた大人の恋愛ラブストーリー。
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Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 けれど、私と昴生はまさに今、遅い夏休みを取って、余暇を楽しんでいた。 忙しいプロダクションの業務は、優秀な副社長の佐久間さんに任せているから、何の心配もない。彼には悪いけど。 私達は相変わらず仲良しで、あの家のオープンテラスから芝生の広い庭を眺めていた。 「ママー、パパー。」 私と昴生を呼ぶ小さな愛娘。 テラスにいる私達を見つけて、テクテクと歩き、段をよじ登ってきた。 庭には小さなプールが張ってあり、大きなシベリアンハスキーがいて、庭を駆け回っていた。 洗濯物が風にはためき、娘の遊具があちらこちらに散乱している。 慣れた手つきで昴生が娘を抱えて微笑する。 「歩夢《あゆむ》〜は元気だなー。」 「ふふ。誰に似たのかな。」 昴生は愛娘と頬擦りしながら私の方を見た。 「誰だろうね。そうだ、分かった。 …俺の可愛い奥さんだな。」 「も、もう!」 「ははは。侑さん、赤くなる癖は抜けないんだね。 また、そこが幾つになっても可愛いんだけどね。」 相変わらず昴生は、今日も昔と変わらないイケメンぶりで、私を揶揄ってくる。 「昴生だって…相変わらずカッコいいよ。」 「え〜本当?それ嬉しいな。本気で。じゃあ侑さん、今すぐ俺にキスしなきゃね。」 「ええ〜、娘が見てるのに?」 「大丈夫、歩夢の目は一瞬俺が塞いでおくから。ね?早く。」 「もー…しょうがないなあ。」 相変わらず私は昴生の手の上で転がされ、愛おしく、幸せな日々を送っている。 愛する夫と、愛する娘。大きな犬がいる家。 ここに幸せがいっぱい詰まっている。 今私は、昔は知らなかった、幸せな人生というものを謳歌している真っ最中だ——————。※本編・after story完結です。
Last Updated: 2025-09-06
Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 結婚式は盛大に行われた。 本当に天気も良くて、何もかもが私達の結婚を祝福してくれているみたいだった。 憧れのチャペルで私と昴生は愛を誓いあった。 神父を呼んでやるあたり、かなり本格的に。 私達の誓いには「健やかなる時も」ではなく、「病める時も」の方がしっくりとくる。 これまで本当に色々あったけれど———— 「誓います。」 「誓います。」 その時ふと、これから先の、二人の明るい未来のイメージが見えた気がした。 私達ならどんな困難があろうと、きっと乗り越えていける。そんな予感がした。 それでも、もし万が一。 この先昴生に、万が一、何か耐え難いほどの困難が訪れたとしたら————その時私は、そっと彼の隣にいよう。 昴生が何かに傷つけられて、心が壊れそうな時。 それ以上壊れないように、側で傷を癒そう。 寄り添って、対話しよう。 どんなに拒まれても諦めずに、力になれるよう努力しよう。 あの時、昴生が私を無性の愛で支えてくれたように。 私もまた、昴生を愛してるから、そうでありたいと願う。 「おめでとう〜!」「おめでとう、侑さん!綿貫さん!」 「おめでとう、侑ちゃん、昴生!」  鳥飼さんに、佐久間さん。 事務所の先輩後輩達。俳優仲間。米本さん。 我妻監督に、その家族。お世話になった映画のスタッフ。結局、両親は呼ばなかった。 それに変装したキャスリンも祝福で手を叩いてくれていた。  「侑、コーセー、おめでとう!悔しいけどお似合いよー!」 誰よりも熱く、誰よりもユーモラスな祝福に、私も昴生も顔を見合わせて、笑い合った。  ねえ…渉。見てるかな。 ありがとう。貴方が私にこの縁を繋いでくれたんだよ。 貴方を救えなかった私を、今だけは許してね。 その分
Last Updated: 2025-09-06
Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 「あ……はあ。だ、だめ。」 「何が駄目なんです?侑さん。……っ、俺的にはいい眺めですけど。」 その夜、さっそく私は昴生にお仕置きされていた。 今夜はやっと二人きり。早めにご飯を済ませて、お風呂に入って…。 嬉しかったけれど、やっぱり・・・これが待っていた。 二人の寝室は広く、大きな窓、ドレッサーやクローゼット、軽く腰掛ける椅子もある。 薄く暗くついた照明が、私のほぼ裸の姿を映し出していた。 「俺、本気で嫉妬したんで」 「でも、あれ、私のせいではなくない?」 「いえ、侑さんのせいです。侑さんがあまりに魅力的だから悪いんです。…っ、はあっ。」 言っている事は荒々しいのに、昴生は顔を熱らせ、甘い息を吐いていた。 「う、ん……っ、い、これ、深い……」 今夜はお仕置きなので———私が昴生の上に乗り、さっきから腰を沈めたりして律動を繰り返している。下着がずり落ち、下から昴生にそれをじっくり見られて変な気分だ。 「これがお仕置き?…んんっ、はあっ、」 確かに格好は恥ずかしいけど…私だって気持ちいい。 だからこそ、昴生のいうお仕置きってやっぱりよく分からない。 淫らな姿の二人。淫靡な音が室内に響く。 私の下に、胸板が厚く、腹筋が割れた立派な昴生がいる。 甘い声で…私が動くたびに、気持ちよさそうに顔を歪める。 だがしかし、あまりにも私がゆっくり動きすぎたらしく、昴生に我慢の限界が。 眉間や首筋に青筋を立て、私の腰を掴んで、上下に激しく揺さぶり始めた。 「侑さん、っ、すごく気持ちいいです。」 「あ、それ!だめっ昴生…は、激しっ…」 「はあ。侑さん、侑さん、侑———愛してる。」
Last Updated: 2025-09-05
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 成田国際空港。———私達は目張りのあるレンタカーを借り、俳優組は怪しい変装をして、キャスリンを見送りに来ていた。 運転席に佐久間さん、助手席に昴生。 後部座席に私、キャスリン、キャスリンのマネージャーという変な組み合わせ。 ちなみに鳥飼さんはマネージャーの仕事で、お留守番だ。 「キャスリンさ〜ん!楽しかった〜! またいつかお会いしたいです〜」 と、キャスリンとの別れを心底惜しんでいた。 さすがに空港の中まで行くと大騒ぎになるので、空港内の駐車場の中で別れの挨拶をする事にした。 「あー楽しかった!本当に帰りたくなくなっちゃう! 侑、今度はアメリカにも遊びに来てよ、ね?」 「はい。分かりました、キャスリンさん。」 「もー、堅苦しいわね!でも、そんな侑も好き!」 キャスリンがバイである事は別に気にしないけど、狙われてる感があるのはちょっと警戒している。  「行く時は俺も一緒ですけどね。」 「ちょっと!コーセー!二人できたら、どちらともイチャイチャできないでしょ!?」 相変わらずキャスリンはキャスリンだった。 最後は握手を求められて——— 「侑、私達はもう友達よ! コーエーに思いなさい。この天下のハリウッドスター、キャサリン・カヴァデイルが貴方の友達になったんだから。」 「ふふ。ありがとう、キャスリンさ… キャスリン。」 そう言った途端、後部座席にいた私は隣にいたキャスリンに腕を引かれて、「チュ」っとキスをされてしまった。軽めだったけど。 「うふふ!侑の唇、貰っちゃった〜!」 「キャスリン・カヴァデイル! それはルール違反では!?」 助手席にいた昴生が本気っぽく怒り、キャスリンはきゃあ!と言いながら楽しそうに車を降りた。 「キスくらいは許してよ!コーセー! それじゃ、ま
Last Updated: 2025-09-04
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 昴生と二人、ベランダに出た。 この辺りは閑静な住宅街だ。夜の静寂に混じって、微かな風が吹いてくる。 少し火照った顔で、昴生は不満を口にした。 「何で皆、我が家に集まるんですかね。」 「ふふ。皆昴生を慕っているからだよ。」 「理由は、俺だけじゃないと思いますけど。」 私は改めて昴生に頭を下げる。何だか申し訳なくて。 「…昴生。ありがとう。母にお金を貸してくれて。相当な金額だったのに。」 私がそう言うと、突然、昴生がこちらを真剣に見つめ返した。 「侑さん。さっきは、侑さんのお母さんなのに、冷たくしてしまい、ごめんなさい。 そして…もしも侑さんが望むなら、結婚式に招待してもいいんですよ?」 「母を?」 「ええ。お父さんでも構いません。侑さんが望むなら、今ならまだ間に合いますから。」 昴生の黒髪が風に揺れる。 私のお母さんもお父さんも、招待リストには載せてなかったのに。 とっくに二人とは縁が切れたとばかり。 普通の娘なら許せていただろうか。 普通の娘なら、結婚式に来てと… その瞬間、昴生の逞しい手が私の長い髪に触れた。 「侑さん。無理にいい娘をやらなくてもいいんですよ。」 「え?でも、自分の親を招かないなんて。」 「さっきキャスリンも言っていたじゃないですか。家族って言うのは、血のつながりだけじゃないって。 辛い時にそばに寄り添ってくれる人を、本当の家族と言うのだと。 侑さん、俺があなたの家族になります。」 髪に触れる昴生の眼差しが熱い。 こんな風にいつも昴生は私を、情熱的に、躊躇いもなく見つめてくれる。そんなところも… 「侑さんが辛い時は、俺が支えます。 苦しみは一緒に背負います。 楽しいことは二人で分け合いましょう。 二人で幸せになりましょう? 恋人から夫に。家族に。 俺が侑
Last Updated: 2025-09-04
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 「侑!あなたもっと、ビシッと言ってやれば良かったのに!私を甘く見ないでって! しかも何なの〜!お金の話を終えたとたん、帰るとかありえな〜い!」 どうしてキャスリンが酔い潰れてるんだろう。 しかも私と昴生の新居で。 この惨状は一体…… 「侑さん〜、そうですよー!ずっと侑さんが苦しんでいた時は知らんぷりで、自分が苦しい時だけ頼ってくるなんて…ブツブツ」 鳥飼さんも私が作った料理を勢いよく食べ、お酒をたくさん飲み、いつもの事ながら酔っ払っている。 「も〜!まさかキャスリン・カヴァデイルとこうして食事する事になるなんて! 私ってやっぱりついてるわ〜!この仕事していて本当に良かった!」 「うーん!和食サイコウ!」 米本さんに、キャスリンのマネージャーもすっかり酔って、上機嫌だ。 あの後、おかずが足りず、急遽私と米本さんの二人で増えた人数分の食事を用意する事になった。 私はリクエストにあった通り、昼と同じ照り焼きチキン、和風つくしの食事を用意。 米本さんは色々アレンジを効かせ、家事代行サービスならではの、まさにプロのご飯を作ってくれた。 皆それを食べているうちに酔っ払ってしまった…というわけなのだが。 「キャスリンさんって、侑さんのお母さんの事、何か知ってるんですか?」 お酒に強い昴生が、向かい側に座るキャスリンを怖い顔して問い詰める。 「そう言えばそだね。キャスリンさん、あなた、私の事を何か知ってるの?」 キャスリンが、ああやって母をバッサリ切り捨てる理由は何だったんだろう? 何だか母に怒っているようにも見えたし。 「…調べたのよ。ロサンゼルスで初めて二人に会った夜に。 どうしても悔しくて! 私の大好きなコーセーのハートを奪った侑は、一体どんな人なんだろううって!」 キャスリンは顔を真っ赤にし、半ばキレ気味に私の過去などを調べたと、暴露した。 その事に対し、なぜか昴
Last Updated: 2025-09-03
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