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Novels by Kaya

悪役令嬢は星に誓う〜婚約破棄と契約結婚で愛と運命を逆転させる〜

悪役令嬢は星に誓う〜婚約破棄と契約結婚で愛と運命を逆転させる〜

ロジータは、醜い嫉妬により、婚約者のエルミニオに殺される運命だった。 だが、ロジータは自分が『奴隷になった私が、王太子の最愛になるまで』という、〇〇禁小説の悪役令嬢に転生したことを思い出した。 悲劇的な運命から逃れるため、ロジータは当て馬のルイスに契約結婚を申し込むが…? 果たして、二人は互いの悲劇的な運命を変えられるだろうか! ※死ぬ運命の悪役令嬢×ツンデレだけどスパダリな第二王子
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Chapter: 第三章:前王妃の死の真相
思えばエルミニオこそ私を殺そうとしていた男なのに。いくら非常事態とはいえ、私は何を無防備に……首筋にふと、熱いものが触れた。「……っ!?」もう少しで、変な叫び声を上げるところだった。エルミニオが顔を近づけ、吐息を吐いたのだ。それも少し、わざとらしく。怒って首を傾けると、鋭い銀灰色の瞳と目が合う。ドクンと心臓が嫌な音を立てた。何で……そんな目で見るの?扉の隙間から少しだけ差し込む光りで、それが露わになる。私は小声で囁きながら、手でエルミニオを押し退けようと力を込める。「何をしているのですか、殿下……、この非常時にっ。」注意したのに、なぜかエルミニオの口角が嬉しそうに上がる。「やっとお前と会えたと思ったら、まさかこんな風に誘惑されるとはな。」意味深なことを吐き、エルミニオはあろうことか私の首筋に顔を埋めた。漆黒のくせのある髪が肌に触れ、いやでも反射的に体が跳ね上がる。「ちょっ……不愉快です、離れてくださいっ、」全身に悪寒が走る。当然のように私はエルミニオを引き剥がそうとするが、全然離れてくれない。この王子の頭がおかしいことを、もっと考慮するべきだった!「はあ、ロジータ。くそ、なぜ俺は……お前を。」「しー…静かにしてください、殿下。神官が来ます。」内部で揉めている間に、神官が扉の前にまで迫っていた。「見つけましたよ。」「今です———殿下!」男が最接近した瞬間、逆に私は扉を思いきり開いて飛び出す。エルミニオも後に続く。「何を!———っあ!」ドレス姿で私は勢いよく男に飛びかかる。彼は派手に床に倒れ、短く叫び声を上げた。「くそ!ロジータ・スカルラッティ!」「刺し殺されたくなければ、手を上げろ。」抵抗しようとする男を頭上から制したのは、宝剣を構えたエルミニオだった。すごい殺意。ようやく男主人公らしい姿を見せたわね。私は安堵し、男からゆっくりと離れる。---「あなたは、モンテルチの神官だな。言え。このヴィスコンティに潜り込んで、一体何をする気だったんだ?ビアンカ王妃と何か関係があるのか?」神官を縄で縛り、エルミニオが尋問を始める。外では流星群が降り注ぐたびに、国民の歓声がしている。「私は何も企んでなどいません。それに、ビアンカ様とは関係ないことです。」王子に尋問を受けているにも関わらず、神官は惚
Last Updated: 2025-12-16
Chapter: 第三章:前王妃の死の真相
一体この神官のような男は誰なのか。まず、ヴィスコンティの神官たちが着ている神官服とは違う。その時、ダンテの言葉を思い出した。うまい具合に、パズルのピースが当てはまっていく。脇役にいそうな、嫌な感じの糸目の男。「あなた、もしかしてモンテルチの神官?」「おや、バレちゃいましたか?やだなあ、上手く潜り込んだつもりだったのに。」「……身元がバレたというのに、ずいぶんと呑気ね。」男からはある程度の余裕が感じられ、返ってこっちが内心焦らされる。しかし、私は平静を装って二人から距離を取る。「く、く、く……なるほど。だから手こずるわけですね。ですが、ロジータ様。あなたが生きていると、“あの方”の邪魔になるんですよ。なので、死んでもらっていいですか?」一瞬この男が『神の声』をした原作者なのかと思ったが、明らかに声質が違う。「“あの方”って?まさか、リーア?」「そんなこと知ってどうするんですか?もうすぐ死ぬというのに。」男は人が死ぬのを当然かのように言う。でも、ここで怯んではいけない!刻印が熱を帯びてきてる。心臓も、もう少しで完治すると言われている。せっかくルイスが命懸けで治してくれた心臓。こんな所で、死ぬわけにはいかない。何とか時間を稼がないと!「あなたは、リーアや原作者の関係者?あなたも、私のような転生者?」「おや、ロジータ様は知りたがりですねえ。しかし残念ながら、時間切れです。大人しくエルミニオ様に殺されちゃってくださいね〜。さあ、エルミニオ様、あなたの憎いロジータ様を殺しなさい。」軽々しく私を指差し、男は再び剣を手にしたエルミニオを煽る。「ロジータ……」険しい顔をしたエルミニ
Last Updated: 2025-12-13
Chapter: 第三章:ヴィスコンティを覆う闇
ヴィスコンティの王宮は巨大で、一つの都市くらいの敷地面積を誇る。 ゴシック調の重厚な中央宮殿の他に、各王族が住む宮殿、政治を行う行政庁、裁判所や大聖堂など、どれを取っても広大で立派な建物ばかり。「はあっ、はあっ、はあっ……。」今私が懸命に登っている塔もその一つだ。 最近、マルツィオの命令で使用人になったばかりだという女性に案内され、私は王宮のやや外れにある塔の長い階段を登っていた。「ねえ、本当にこんな所にルイスがいるの?」遠くからは、国民の歓声や祭りを楽しむ声が聞こえてくる。 流星群は時間おきに、空からシャワーのように降り注いだ。「はい、ロジータ様。もうすぐです。」前を歩く使用人は淡々と言い、ランタンを掲げる。 もちろん普段は何の用もない塔だから、入り口に見張りが二人しかいなかったのも分かる。 けれど、内部があまりに静かすぎる。 妙ね……「ロジータ様、何か様子が変です。 お気をつけください。」「あなたもそう思う?実は私も……」マルコとは別にルイスがつけてくれた、もう一人の護衛騎士が、背後からこそっと囁く。 ふと足を止め、私は前を歩く使用人に問いかけた。「ねえ、あなた、ルイスが本当にここにいると言ったの?私を呼んでいると?」「はい、そうです。間違いありません。」「あなた、名前は?」「わ、私ですか?私は……」明らかに目が泳いでる。 名前を答えられないということは、どうやら普通の使用人ではないようだ。「悪いけれど、名前を答えられない人にこのまま着いていくことはできないわ。 引き返します。」「駄目です———!!このまま着いてこないと私が……!!」「ロジータ様!下がって!」同じく危険を察知し、私を庇うように護衛騎士が前に進み出た瞬間。 使用人の背後からブワッと黒いモヤが飛び出し、それが騎士に襲いかかる。「く……!」「何これ!……っ、彼から離れなさい!」「ロジータ様、私はいいのでお逃げください!」「そんなのだめよ、置いていけないわ!」必死に振り払おうとするが、私も一気にモヤに取り囲まれてしまう。 あっという間に騎士も、あの使用人の姿も見えなくなってしまった。「嘘でしょう?一体何なの?これ……」前に進もうにも、全体に不気味なモヤがあるだけ。 手で振り払おうとしても、まるで雲のようにふわっとすり抜けてしまう
Last Updated: 2025-12-10
Chapter: 第三章:ヴィスコンティを覆う闇
--- 父、ジャコモ・スカルラッティの裁判が始まった。 王族専用の席には私とルイス、国王マルツィオと例の、ビアンカ王妃。 傍聴席側には、私の継母と異母弟もいる。 エルミニオは島でのあの一件以来、久しぶりに顔を見せたが、謝罪する素振りすら見せなかった。 危うくルイスが殺気全開でエルミニオを剣で貫きそうな勢いだったけれど…… 何とか私が宥めて、その場は収まった。 この場には当然、リーアも出廷している。 島で見せた悪女のような顔は一切なかった。 やはりいくらリーアでも、物語の脇役たちの前では何もできないのかも。 それに今のエルミニオも、操られているようには見えなかった。 ただ、時々私を妙な目線で見つめてくるのを除いては。「罪状。ジャコモ・スカルラッティは、娘を王太子妃にすべく、最もそれに近いリーア・カリヴァリオス伯爵令嬢を消すべく、偽の王命書を偽造し、あまつさえ王の偽の御璽までも作って、巧妙に周囲を騙し……」久しぶりに見たジャコモは頬がやつれ、髪や髭もほどよく伸びていた。 悪党らしくもなく、返って潔く、ジャコモはその場で自身の犯した罪の数々が読み上げられるのを黙って聞いていた。 あの後、マルツィオがかなり徹底的に調べたのだろう。 ジャコモの犯した罪が次々と明らかになっていった。 しかし、ジャコモが犯したとされる『星の刻印』の偽装工作については結局何も分からなかった。 だが、ジャコモは最後に悪党らしい顔つきをして、私の方を見上げて言った。「だから私は言ったのですよ。 もし、本当に私がロジータの『刻印』を偽装したのなら、わざわざ彼女が8歳になるまで待つ必要はなかったはずだと。 その証拠に……結局、エルミニオ殿下の刻印は変化したのですよね? それこそ刻印を偽装など、牢にいた私にはできない行為だ。 つまり元々、殿下とロジータは本物の相手だったということですよ。 まあ、今となってはどうでもいいことですが。」ジャコモは恨めしそうな目をして、私を見つめる。 対する私も、決して彼から目を逸らしたりもしな
Last Updated: 2025-12-08
Chapter: 第三章:ヴィスコンティを覆う闇
そう考えると辻褄が合う気がする。「ロジータ、お前……分かってはいたが、やはり賢いな。さすが俺の妻だ。」———と言ってルイスは私をベッドに、自分と一緒に横倒しにした。「きゃっ。って、何?ルイス、突然。」「だって、せっかく二人きりになれたのに。 確かに考えなければならないことはたくさんあるけれど、俺たち夫婦の時間が、あまりにも少なすぎると思わないか?」横に寝転んだルイスは、さらっと私の髪を撫でた。 私の心臓がまたうるさく騒ぎ始める。 最近ますます、ルイスの色気は炸裂している気がする。「きれいだ、ロジータ。お前のその碧い瞳とか、ちょっと下がった眉とか、長いまつ毛とか…… 蕾みたいなその唇が可愛い。 だから、キスしてもいいか?」「だから?って……まあ、……ど、どうぞ?」ルイスが殺し文句みたいなことを言ってくるから、実際の私はほとんどやられている。 だってルイスが、かっこよすぎるんだもの! そっとルイスの手が私の頬を撫で、顔が近づいたと思ったらキスされて——— 熱い体で抱きしめられて。 ああ、もう……耐えきれないほどの幸せ!「ロジータ、愛してるよ。」 「わ、私も……っ、て、ルイス?」いよいよ私たち、次の段階に進むのかと期待していたらまさかのルイスがお疲れ状態。 寝落ちしそうな雰囲気を出しているし、まあ最近忙しかったから仕方ないかなと思っていたら。 横に寝転んだルイスが、寝言みたいに呟く。「俺、こんな風に優しい気持ちで誰かを愛して…… 結婚式……ごめ、ん……な。 ウェディングドレス、あんなに楽しみに……して、たの……に。 病院……血液検査……あんなことに、……なっ」「ルイス?」しん、とした後、ルイスの寝息が聞こえてきた。 今は違う意味で心臓が音を立ててる。 眠っているルイスの顔を真剣に見つめた。「血液検査って、それ絶対この世界で使わない言葉だわ。 ルイス……あなた一体それ、どこで覚えたの?」温かいルイスに私はぎゅっとしがみついた。 違うと分かっているのに、ルイスが私に希望を抱かせる。 同じ刻印になれただけでも嬉しいのに、これ以上欲張ったらバチが当たる。 懐かしい彼の面影を重ねる。涙が溢れてくる。 忘れてないわ。 この世界で本当に愛したのはルイスだけど、前世で愛したのは間違いなく彼だから。「理佐貴……」
Last Updated: 2025-12-06
Chapter: 第三章:ヴィスコンティを覆う闇
ーーー「ねえ、ルイス。現王妃のヴィアンカ様について、どれだけ知っている?」「どうしたんだ?突然。ロジータ。」久しぶりに二人きりでゆっくりできる夜。先にお風呂に入った私の後で、ルイスもさっぱりしたガウン姿で、寝室へと入ってきた。ルイスはすぐに私に両腕を伸ばし、ごく自然に額にキスをする。照れながら私は「そうじゃなくて……」と言うのだけれど。少し拗ねたようにルイスはベッドに座り、私も横に並んだ。「継母上《ははうえ》か……そうだな。俺が幼い時に母上が亡くなって、すぐにヴィスコンティに嫁いできた、モンテルチ国の元王女。家族と積極的に接してこなかったから、あまり詳しくは知らないな。ただ、兄さんが彼女のことを毛嫌いしていた印象がある。」「エルミニオ様が?」「母上が亡くなって、すぐに父上が新しい王妃を迎えたことが、子供ながらに嫌だったんじゃないかな。確かに彼女はどことなく、俺たちには冷たいようだったし……」「そう。モンテルチ国の元王女様ね。原作にない内容だから、さっぱり分からないわ。」「何を悩んでいるんだ?」「あ、あのね。今日……って、ルイス怒らないでよ?絶対に。」「内容による。」まだ何も言ってないのに、ルイスは早くも唇を尖らせる。「今日、たまたまダンテ様に会って。」「……はあ。ロジータ。俺はこの間の島でのことも根に持ってるのに。兄さんーーエルミニオを殺さないよう必死に耐えてるのに。」って、ルイスあまりに腹が立って、エルミニオを呼び捨てにしてる?「あ、あれは不可抗力だわ!私だって嫌だったのよ?それに落ち着いて!ルイスがエルミニオ様を殺したら、色々問題が起きるでしょう?」何とかルイスの怒りを宥めようとする。「それで、ダンテは何と?」
Last Updated: 2025-12-05
愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!

愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!

日本でアラサー主婦だったのに、気がついたら不倫恋愛ロマンス小説に登場する、性格の悪いアデリナに憑依していた!? しかも素人作品!?未完成!? このままでは夫のローランド王がヒロインと出会い、最推しの息子、ヴァレンティンが悲惨な死を迎えてしまうバッドエンドに! よし。すぐに離婚しよう!…と思ったのに? 性悪妻に憑依した元日本人アラサー主婦×愛のために自分の息子を殺す運命の王。 二人の離婚劇の行末は?
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Chapter: 番外編・レェーヴの隠れた恋心
 第一印象は、すげえ変わった王妃だなと思った。 わざわざ俺達のいる危険なアジトに潜入して、呆気なく自分の身分を明かすし。 しかも略奪や破壊行為をやめたら、俺達の故郷を返してやると提案までしてきた。 自分が損しかしてないのに? 馬鹿な女だ。そう思っていたのに。 案の定フィシが裏切り、夜中に部屋に暗殺者を送り込んでまで俺を殺そうとして。 だけど王妃が身を挺し、俺を助けて…… 「こんな昨日、今日会った相手を守ろうと捨て身で飛び込むなんて、あんたは馬鹿なのか!」 そう言って怒鳴ればヘラヘラと笑う。 こんな変な女、見たことない。 それにめちゃくちゃ鈍い。 俺が男装した妹だと本気で思ってる。 命を助けられた。けど大恩を恩着せがましく言わない。 性悪妻とかいう噂は全部嘘だった。 相当変わった王妃。 ……何て面白いんだ! 一緒にベッドに寝転び、俺が男だと分かった瞬間の、あの時の引き攣った顔もそう。 勝手に王宮に住み着いた俺の世話をなんだかんだ焼いてくれるし。 時にたくましく、強かで、鈍くて、常にローランド王のことを考えてる。 しかもローランド王もまた…… こりゃ、付け入る隙もねえな。 そう思って諦めていたのに。 あの性悪看護師リジーの一件で、アデリンと一緒に俺達は南の町に移り住んだ。 出産に育児、共同生活。 アデリン達と過ごす時間は本当に楽しくて。 いっそこのままローランド王と本当に離婚してくれたらなあって考えたりもしたけど…… やっぱり来るんだよな。ローランド王は。 だってこの男がアデリン以外を愛するわけないだろう? 分かってたけどさ。 レェーヴン一味を率いてこの王に楯突いてみようか? なんてな。 そんな事を考えながら、
Last Updated: 2025-10-05
Chapter: 番外編・ホイットニーの願い
 私はホイットニー。 このクブルク国の王妃陛下、アデリナ様の侍女だ。 アデリナ様は性悪妻で、実家の加護を盾にローランド様を財布代わりにしてるだとか、税金を無駄遣いしてるとか言われてるけど、それは絶対に違う。 「キャアアアアアッ!ホイットニー! 今日、ローランド様と目が合ったの…! あのツンとした表情、あの見下したような冷たい瞳! 堪らないわ…!カッコ良すぎて心臓が止まってしまうかと思ったわ!」 ご覧の通り。 アデリナ様はすごくローランド様を愛されていらっしゃるのです。 お顔を真っ赤にして好きな人のことを話す、とても可愛らしいお方。 私はそんなアデリナ様が大好きです。 だけどある日を境に、アデリナ様はお変わりになられた。 「ホイットニー! 私はあの男と離婚したい……!」 ……作戦を変えられたのかしら? だってあんなに好きだった方と別れたいだなんて。まるで別の人のよう。 それにアデリナ様は自分がアデリナ様じゃないと私に言ってくるのです。それも真剣な顔して。 アデリナ様。 アデリナ様……いいえ、あなたはアデリナ様です。 だって……じゃなきゃ。あのアデリナ様はどこへ行ったというのですか? 幸せになって欲しかったのです。 ローランド様は寂しい幼少期を過ごされ、愛を知らないお方だからこそ、アデリナ様に愛を教えて貰いたかったのです。 でも今は……あの方はきっと本当のアデリナ様では無いのだろうけれど、生前アデリナ様が懸命に取り組んできた事を生かし、結果的にクブルクのために動かれていらっしゃる。 悪くはありません。アデリナ様と同じくらい愛くるしいお方です。 それにローランド様は今のアデリナ様をおそらく……… こうな
Last Updated: 2025-10-04
Chapter: 番外編・ランドルフの女神
 私はクブルク国内の有力な侯爵家の次男。 自分で言うのも何だが、頭がいい。 この国の王でいらっしゃるローランド・フォン・クブルク王。 ローランド王に仕えてからは、誰よりも彼を優先し、誠心誠意尽くしてきた。 早くに前王を亡くし、二十代前半で王となられたローランド王。 彼がいつも人にも自分にも厳しいのは、国の危機的情勢を考えての事である。 威厳を保ち、クブルク侵略に目を光らせているぞという周辺国へのアピールでもある。 そんなローランド王が半ば強引に娶らされたのが、マレハユガ大帝国の第一皇女、アデリナ王妃だ。 はっきり言って私も当初は、アデリナ王妃が大嫌いだった。 ローランド王を自身のプライドの為にあちこち引っ張り回し、高いものを買わせ、貶して嘲笑う。 完全なる性悪妻。お可哀想なローランド王。 癒しが欲しいであろうに。 だが……ある日を境にあの王妃は変わった。 しかも180度。というよりもう別人だ。 私が一番初めに驚いたのはまずこれだ。 アデリナ王妃はルナール一派の問題解決の際に、荒れた鉱山から金を見つけ、それを最適なタイミングで届けて欲しいと私に直接依頼をしてきた。 そんな馬鹿なと思いながらも、急いで調査を進めると…… 何と。あの鉱山には通常の倍近い金が含まれている事が判明したのだ! 何ということだ……! 無価値だと思われていた鉱山を購入したのは、この為だったのか……! 私はこれまで自分が間違っていたことを悔い改めた。 アデリナ王妃は……性悪妻と見せかけてこのクブルク国を救う、女神様だったのだと!! それ以降、私は女神様をひっそりと敬うようになった。 時々—————— 「めが…‥じゃない、王妃陛下。」
Last Updated: 2025-10-03
Chapter: epilogue.愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依しましたが、何やら幸せです
 リジーの件以降、王宮で私の悪口を言い、責め立てていた官僚や兵、侍女達はすっかり勢いを失い、大人しくなっていた。 皆あの時は、まるで魔法にかかっていたみたいだと口を揃えて言ったそうだ。 彼らには降格や謹慎処分、減給など、罪の重さに応じて処罰が下された。 あれからリジーはサディーク国の修道院で真面目に働いているという。 東部地方の守護神となったルナール一派は、時々レェーヴと連絡を取り合い、外敵からクブルクを守ってくれている。 軍事協定を結んだアルバ達もまた、諸外国の動きを把握し、軍備やクブルク国の防衛に協力してくれている。 サディーク国では「聖女祭」という祭ができたそうで、建てられた巨大な聖女像は明らかに私だった。放っておこう。 ちなみにローランドが私を探す時に使ったという聖遺物、あの十字架は、私が触るとまたすぐ使えるようになったみたいだ。 [癒しの力を使いました 聖遺物の力が全回復しました] ………って感じで。 皆の親密度は大体安定している。 だが皆かなり数字が高い(…何で?)。 そしていつも賑やかな現場には、今日もあの人がやって来る。 爽やかな銀の髪を上品に靡かせ「氷の王」と呼ばれ、皆から恐れられていた男。 愛を知らず、誰よりも愛を求めていた人。 だがそれは最早過去の話。 「アデリナ。やっと会えたな。 今日も綺麗だ。 愛してるよ。」 周囲の男達には目もくれず、ローランドは片膝を落とし、今日も欠かさず私の手の甲にキスをした。 そして私だけに最高の笑顔と、最高の愛の囁きを送る。 今や彼の異名は「溺愛王」。 アデリナ王妃と息子のヴァレンティン王子をどこまでも愛する王と言われ、多くの国民達に親しまれている。 私が初めてアデリナに憑依したあの日。 離婚してと迫ったあの時。 誰があの最悪な出会いから、こうなることを予測できただろうか?
Last Updated: 2025-10-02
Chapter: epilogue.愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依しましたが、何やら幸せです
 ◇ 「か、体が持たない………」 散々ローランドに求められるのは幸せなんだけれど、とにかく容赦がない。 というより回数と時間が半端ない。何であんなに元気なの?あれが王の資質!? いや、関係ないか。 「ええ?うふふ。アデリナ様ってば。 愛されていて本当にお幸せそうですね。」 今日もホイットニーは可愛くうふふ〜と笑ってティータイムの為のお茶菓子セットを用意してくれている。 「だから言っただろ。 今ベタベタしたら逆効果だって! ローランド王はお前にベタ惚れなんだ。 煽ってどーする」 ブツブツと文句を言いながら、今日もレェーヴは私の向かいの席で焼きたてのクッキーをつまみ食いしている。 「アデリナ様。いくらあの時子供が産まれたら消えると約束したからって、まさか本当に消えるだなんて。 ……全く。陛下には貴方しかいないんですから。 今後は勝手に消えたりしないで下さいね。 分かりましたか?」 その隣でイグナイトが説教を垂れ、チョコレートケーキを上品に味わっている。 明らかに方向性が違う気がする。 もうローランドの事は諦めたのかな? そう言えばイグナイトの持っていたローランドのあの写真集、今度こっそり見せて貰おうかな。 特にNo.6の、ローランドの肉体美のやつ… 「いや、アデリナ様。 もしローランド王と離婚したくなったら、その時はぜひ我がサディーク国へ! 貴方ならば聖女として、皆から大歓迎されるでしょう。」 さらにその隣にはオディロン王太子。 なぜいる? そして—————— 「アデリナ様……ヴァレンティン様、すっごく可愛いです! もし彼が少し大きくなったら、僕が剣術を教えても良いでしょうか?」
Last Updated: 2025-10-01
Chapter: そして始まるイチャイチャ!馬鹿夫婦と言われて……
 「アオイ。好きだ……」 から始まったローランドとの甘いスキンシップ。 ソファの奥に私を押し倒し、片膝を乗せて体重をかけてくる。 「ん……ローラ……ン、」 体温の高い掌が頬を撫で、やがてローランドはソファを軋ませ、私の唇にキスをした。 キスってこんなに気持ちいいものだっけ? 「はあっ……アオイ。 産後の調子はどうなんだ? どこも悪くはないのか?」 「っ、はあ……っ、大、丈夫ですよ。 癒しの力があるからかな?」 「そうか。……なら思う存分、愛し合えるな。」 「え?」 熱い吐息と伴に唇にまたキスされ、掌で頬を優しく撫でられ、そのうちキスは頬、首筋、鎖骨へと移っていった。 首筋に至ってはキスマークが付くほど強く吸われた。 熱い……どうしよう? だんだん目が覚めてきた。 「っ、はあっ……アオイ。」 「ローランド……っ。」 狭いソファの上で見つめ合い、これでもかと言わんばかりに体を密着させる。 獰猛な獣のように鋭い目をしたローランドが、心地よさそうに甘い息を吐いた。 「お前に好きだとか、愛してるだとか言われたらもう、我慢ができない。 覚悟するんだな、アオイ。」 ローランドはさっと立ち上がると、そのまま私を軽々と抱えてベッドへ下ろした。 「え?あの……?ローランド?」 「アオイ。これまでずっとお前を抱きたくて我慢していたんだ。 今夜はもう……離してやらないからな。」 ローランドの目はやはり獣のようにギラギラと鋭く光っていた。 私も顔を赤くして、ローランドの激情を
Last Updated: 2025-09-30
なぜか人気俳優に飼われています〜消えるはずだった私がまさか溺愛されているなんて〜

なぜか人気俳優に飼われています〜消えるはずだった私がまさか溺愛されているなんて〜

「侑さんがもう駄目だと思うなら、残りの人生俺に下さいよ。」 常磐侑34歳。 女優としてしか生きれない不器用な女は人気が低迷して、心を病んでいく。 そんな時に後輩俳優である綿貫昴生が甘い言葉を囁いた。 ※疲れた大人の恋愛ラブストーリー。
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Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 けれど、私と昴生はまさに今、遅い夏休みを取って、余暇を楽しんでいた。 忙しいプロダクションの業務は、優秀な副社長の佐久間さんに任せているから、何の心配もない。彼には悪いけど。 私達は相変わらず仲良しで、あの家のオープンテラスから芝生の広い庭を眺めていた。 「ママー、パパー。」 私と昴生を呼ぶ小さな愛娘。 テラスにいる私達を見つけて、テクテクと歩き、段をよじ登ってきた。 庭には小さなプールが張ってあり、大きなシベリアンハスキーがいて、庭を駆け回っていた。 洗濯物が風にはためき、娘の遊具があちらこちらに散乱している。 慣れた手つきで昴生が娘を抱えて微笑する。 「歩夢《あゆむ》〜は元気だなー。」 「ふふ。誰に似たのかな。」 昴生は愛娘と頬擦りしながら私の方を見た。 「誰だろうね。そうだ、分かった。 …俺の可愛い奥さんだな。」 「も、もう!」 「ははは。侑さん、赤くなる癖は抜けないんだね。 また、そこが幾つになっても可愛いんだけどね。」 相変わらず昴生は、今日も昔と変わらないイケメンぶりで、私を揶揄ってくる。 「昴生だって…相変わらずカッコいいよ。」 「え〜本当?それ嬉しいな。本気で。じゃあ侑さん、今すぐ俺にキスしなきゃね。」 「ええ〜、娘が見てるのに?」 「大丈夫、歩夢の目は一瞬俺が塞いでおくから。ね?早く。」 「もー…しょうがないなあ。」 相変わらず私は昴生の手の上で転がされ、愛おしく、幸せな日々を送っている。 愛する夫と、愛する娘。大きな犬がいる家。 ここに幸せがいっぱい詰まっている。 今私は、昔は知らなかった、幸せな人生というものを謳歌している真っ最中だ——————。※本編・after story完結です。
Last Updated: 2025-09-06
Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 結婚式は盛大に行われた。 本当に天気も良くて、何もかもが私達の結婚を祝福してくれているみたいだった。 憧れのチャペルで私と昴生は愛を誓いあった。 神父を呼んでやるあたり、かなり本格的に。 私達の誓いには「健やかなる時も」ではなく、「病める時も」の方がしっくりとくる。 これまで本当に色々あったけれど———— 「誓います。」 「誓います。」 その時ふと、これから先の、二人の明るい未来のイメージが見えた気がした。 私達ならどんな困難があろうと、きっと乗り越えていける。そんな予感がした。 それでも、もし万が一。 この先昴生に、万が一、何か耐え難いほどの困難が訪れたとしたら————その時私は、そっと彼の隣にいよう。 昴生が何かに傷つけられて、心が壊れそうな時。 それ以上壊れないように、側で傷を癒そう。 寄り添って、対話しよう。 どんなに拒まれても諦めずに、力になれるよう努力しよう。 あの時、昴生が私を無性の愛で支えてくれたように。 私もまた、昴生を愛してるから、そうでありたいと願う。 「おめでとう〜!」「おめでとう、侑さん!綿貫さん!」 「おめでとう、侑ちゃん、昴生!」  鳥飼さんに、佐久間さん。 事務所の先輩後輩達。俳優仲間。米本さん。 我妻監督に、その家族。お世話になった映画のスタッフ。結局、両親は呼ばなかった。 それに変装したキャスリンも祝福で手を叩いてくれていた。  「侑、コーセー、おめでとう!悔しいけどお似合いよー!」 誰よりも熱く、誰よりもユーモラスな祝福に、私も昴生も顔を見合わせて、笑い合った。  ねえ…渉。見てるかな。 ありがとう。貴方が私にこの縁を繋いでくれたんだよ。 貴方を救えなかった私を、今だけは許してね。 その分
Last Updated: 2025-09-06
Chapter: ※人気俳優に溺愛されています〜after story〜二人の未来について
 「あ……はあ。だ、だめ。」 「何が駄目なんです?侑さん。……っ、俺的にはいい眺めですけど。」 その夜、さっそく私は昴生にお仕置きされていた。 今夜はやっと二人きり。早めにご飯を済ませて、お風呂に入って…。 嬉しかったけれど、やっぱり・・・これが待っていた。 二人の寝室は広く、大きな窓、ドレッサーやクローゼット、軽く腰掛ける椅子もある。 薄く暗くついた照明が、私のほぼ裸の姿を映し出していた。 「俺、本気で嫉妬したんで」 「でも、あれ、私のせいではなくない?」 「いえ、侑さんのせいです。侑さんがあまりに魅力的だから悪いんです。…っ、はあっ。」 言っている事は荒々しいのに、昴生は顔を熱らせ、甘い息を吐いていた。 「う、ん……っ、い、これ、深い……」 今夜はお仕置きなので———私が昴生の上に乗り、さっきから腰を沈めたりして律動を繰り返している。下着がずり落ち、下から昴生にそれをじっくり見られて変な気分だ。 「これがお仕置き?…んんっ、はあっ、」 確かに格好は恥ずかしいけど…私だって気持ちいい。 だからこそ、昴生のいうお仕置きってやっぱりよく分からない。 淫らな姿の二人。淫靡な音が室内に響く。 私の下に、胸板が厚く、腹筋が割れた立派な昴生がいる。 甘い声で…私が動くたびに、気持ちよさそうに顔を歪める。 だがしかし、あまりにも私がゆっくり動きすぎたらしく、昴生に我慢の限界が。 眉間や首筋に青筋を立て、私の腰を掴んで、上下に激しく揺さぶり始めた。 「侑さん、っ、すごく気持ちいいです。」 「あ、それ!だめっ昴生…は、激しっ…」 「はあ。侑さん、侑さん、侑———愛してる。」
Last Updated: 2025-09-05
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 成田国際空港。———私達は目張りのあるレンタカーを借り、俳優組は怪しい変装をして、キャスリンを見送りに来ていた。 運転席に佐久間さん、助手席に昴生。 後部座席に私、キャスリン、キャスリンのマネージャーという変な組み合わせ。 ちなみに鳥飼さんはマネージャーの仕事で、お留守番だ。 「キャスリンさ〜ん!楽しかった〜! またいつかお会いしたいです〜」 と、キャスリンとの別れを心底惜しんでいた。 さすがに空港の中まで行くと大騒ぎになるので、空港内の駐車場の中で別れの挨拶をする事にした。 「あー楽しかった!本当に帰りたくなくなっちゃう! 侑、今度はアメリカにも遊びに来てよ、ね?」 「はい。分かりました、キャスリンさん。」 「もー、堅苦しいわね!でも、そんな侑も好き!」 キャスリンがバイである事は別に気にしないけど、狙われてる感があるのはちょっと警戒している。  「行く時は俺も一緒ですけどね。」 「ちょっと!コーセー!二人できたら、どちらともイチャイチャできないでしょ!?」 相変わらずキャスリンはキャスリンだった。 最後は握手を求められて——— 「侑、私達はもう友達よ! コーエーに思いなさい。この天下のハリウッドスター、キャサリン・カヴァデイルが貴方の友達になったんだから。」 「ふふ。ありがとう、キャスリンさ… キャスリン。」 そう言った途端、後部座席にいた私は隣にいたキャスリンに腕を引かれて、「チュ」っとキスをされてしまった。軽めだったけど。 「うふふ!侑の唇、貰っちゃった〜!」 「キャスリン・カヴァデイル! それはルール違反では!?」 助手席にいた昴生が本気っぽく怒り、キャスリンはきゃあ!と言いながら楽しそうに車を降りた。 「キスくらいは許してよ!コーセー! それじゃ、ま
Last Updated: 2025-09-04
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 昴生と二人、ベランダに出た。 この辺りは閑静な住宅街だ。夜の静寂に混じって、微かな風が吹いてくる。 少し火照った顔で、昴生は不満を口にした。 「何で皆、我が家に集まるんですかね。」 「ふふ。皆昴生を慕っているからだよ。」 「理由は、俺だけじゃないと思いますけど。」 私は改めて昴生に頭を下げる。何だか申し訳なくて。 「…昴生。ありがとう。母にお金を貸してくれて。相当な金額だったのに。」 私がそう言うと、突然、昴生がこちらを真剣に見つめ返した。 「侑さん。さっきは、侑さんのお母さんなのに、冷たくしてしまい、ごめんなさい。 そして…もしも侑さんが望むなら、結婚式に招待してもいいんですよ?」 「母を?」 「ええ。お父さんでも構いません。侑さんが望むなら、今ならまだ間に合いますから。」 昴生の黒髪が風に揺れる。 私のお母さんもお父さんも、招待リストには載せてなかったのに。 とっくに二人とは縁が切れたとばかり。 普通の娘なら許せていただろうか。 普通の娘なら、結婚式に来てと… その瞬間、昴生の逞しい手が私の長い髪に触れた。 「侑さん。無理にいい娘をやらなくてもいいんですよ。」 「え?でも、自分の親を招かないなんて。」 「さっきキャスリンも言っていたじゃないですか。家族って言うのは、血のつながりだけじゃないって。 辛い時にそばに寄り添ってくれる人を、本当の家族と言うのだと。 侑さん、俺があなたの家族になります。」 髪に触れる昴生の眼差しが熱い。 こんな風にいつも昴生は私を、情熱的に、躊躇いもなく見つめてくれる。そんなところも… 「侑さんが辛い時は、俺が支えます。 苦しみは一緒に背負います。 楽しいことは二人で分け合いましょう。 二人で幸せになりましょう? 恋人から夫に。家族に。 俺が侑
Last Updated: 2025-09-04
Chapter: 人気俳優に溺愛されています〜after story〜愛するということ
 「侑!あなたもっと、ビシッと言ってやれば良かったのに!私を甘く見ないでって! しかも何なの〜!お金の話を終えたとたん、帰るとかありえな〜い!」 どうしてキャスリンが酔い潰れてるんだろう。 しかも私と昴生の新居で。 この惨状は一体…… 「侑さん〜、そうですよー!ずっと侑さんが苦しんでいた時は知らんぷりで、自分が苦しい時だけ頼ってくるなんて…ブツブツ」 鳥飼さんも私が作った料理を勢いよく食べ、お酒をたくさん飲み、いつもの事ながら酔っ払っている。 「も〜!まさかキャスリン・カヴァデイルとこうして食事する事になるなんて! 私ってやっぱりついてるわ〜!この仕事していて本当に良かった!」 「うーん!和食サイコウ!」 米本さんに、キャスリンのマネージャーもすっかり酔って、上機嫌だ。 あの後、おかずが足りず、急遽私と米本さんの二人で増えた人数分の食事を用意する事になった。 私はリクエストにあった通り、昼と同じ照り焼きチキン、和風つくしの食事を用意。 米本さんは色々アレンジを効かせ、家事代行サービスならではの、まさにプロのご飯を作ってくれた。 皆それを食べているうちに酔っ払ってしまった…というわけなのだが。 「キャスリンさんって、侑さんのお母さんの事、何か知ってるんですか?」 お酒に強い昴生が、向かい側に座るキャスリンを怖い顔して問い詰める。 「そう言えばそだね。キャスリンさん、あなた、私の事を何か知ってるの?」 キャスリンが、ああやって母をバッサリ切り捨てる理由は何だったんだろう? 何だか母に怒っているようにも見えたし。 「…調べたのよ。ロサンゼルスで初めて二人に会った夜に。 どうしても悔しくて! 私の大好きなコーセーのハートを奪った侑は、一体どんな人なんだろううって!」 キャスリンは顔を真っ赤にし、半ばキレ気味に私の過去などを調べたと、暴露した。 その事に対し、なぜか昴
Last Updated: 2025-09-03
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